チューブラーでは不可能! 僅かな力で曲がる→小さな力で繊細に操作できるソリッドティップの武器

近年、いろんなロッドメーカーから「硬めのソリッドティップ」を搭載したベイトタックルが登場している。その機能と役割、モデルごとの個性を深堀りしてみよう。今回は黒田健史さんにエクスプライドのソリッドティップモデルについて触れてもらった。

●文:ルアーマガジン編集部

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黒田健史さんのプロフィール

黒田健史(くろだ・けんし)

1985年静岡県出身。2009年からJBトップ50に参戦、3年のブランクを挟んで2017年に復帰し、昨年の弥栄湖戦で念願の初優勝を果たす。シマノのロッドやリール開発、デプスのルアープロデュースにも携わっている。

「チューブラーには不可能なテーパーを出すのが目的」

弱い入力域を生かすためのソリッド

この手のロッドは、従来ならティップだけクイッと曲がるような作りが多かったのですが、僕がプロデュースさせてもらった2機種(エクスプライド 1610M-S/168MH-S)はかなり硬い印象を受けると思います。MやMHパワーのチューブラーに、やはりMやM Hのソリッドを繋いで作っているからです。

今現在、僕がベイトタックルで扱うソフトベイトの釣りでは、この2本が使用頻度の6~7割を占めていると思います。

ソリッドティップが必要な理由はシンプルで、「テーパーを変えたかった」先端からきれいに曲がる先調子にするには、チューブラーでは限界があるんですよ。

たしかにチューブラーでも先調子のロッドは存在しますが、「さらに弱い力でもティップが曲がるように作る」には、ソリッドティップしか選択肢がないんです。

ロッドを曲げる力が、0から100まであると仮定します。チューブラーの場合、「0~60」の力ではティップが曲がらないから、「60~100」という強めの力でコントロールせざるを得ない。「60以下」の繊細なシェイクをしても、極端にいえばリグが動かないわけです。

一方で、ソリッドティップなら弱いほうの入力域が使える。「30~60」程度でもティップが反応するので、軽めのソフトベイトを丁寧に扱いやすくなる。

具体的にいえば、10~14gのジグストならチューブラーのMHで問題ないですが、5~6g台のジグを泳がせるときは「168MH-S」が圧倒的にやりやすい。一昨年のトップ50霞ヶ浦戦はまさにそんなシチュエーションでした。

ちなみに、記者さんから「エクスプライドの価格で高機能なソリッドティップが作れるんですか?」と、ぶっちゃけた質問があったのですが……。

異なるメーカーのロッドを価格で比較することは意味がないと思う。トヨタだからこそランクルを「たった800万円」で作れるわけで。エクスプライドのこの2機種は、どこにも負けない優れたソリッドティップモデルだと思ってますよ。

22 エクスプライド 1610M-S(シマノ)

巻き物などにも使えるミドルクラス・バーサタイルの「1610M」を、ソリッドティップ化で先端から曲がるようにしたモデル。7g程度のテキサスリグやロングワームのネコリグなどを繊細に扱うのに適している。

22 エクスプライド 168MH-S(シマノ)

「1610M-S」よりも重量のあるリグ、具体的にはシンカーウエイト10g~程度のソフトベイトに適したモデル。一見ソリッドとはわからないほど硬いティップだが、わずかな違和感をティップでダイレクトに判断できるうえ操作性もアップする。


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