「出てこいや!」スティック大活躍!! 47cmのブラックバスすら霞む琵琶湖の釣果!!

あれから2ヶ月、梅雨の最中にあった6月下旬に再び琵琶湖へと訪れた当連載の主・奥田学さん。既にお気付きの通り、圧倒的な釣果を魅せたことはご理解いただけるだろう。獲った総数は全16本! 全てを誌面で公開するのは困難なため、全7本の50アップのみご覧いただきたい。

●文:ルアマガプラス編集部

奥田学
おくだ・まなぶ/ビッグベイトやジャイアントベイト、そしてアンブレラリグなどストロングスタイルを主軸に、現場最大級のバスを仕留め続けるMr.バンタム。愛称は“ロボ奥田”。直立不動で精密機械の如く狙った獲物を確実に仕留めるのがその名の由来だ。当連載ではバスのみならず、淡水海水の大物ゲームに挑む氏のフリースタイルをお届けしている。

小手調べの初日にいきなりの50UP!

奥田「諸々あって、今回はシーズン2で2度目の琵琶湖です」

日本最大の湖にして、世界屈指のでかバスレイク・琵琶湖が今回の舞台。琵琶湖大橋を境に北側を北湖と呼び、今回はその中でも長浜エリアより北側が主な舞台。乗り換えたばかりの新艇、バスキャット・ジャガー(SDG Marine)で終始快適な釣行を実現。

今年の梅雨は非常に厄介ものだった。地域によって降水量の差が激しく、一方では桁外れに降ったかと思えば、もう一方では快晴続き水中の季節進行が例年とは大きく様変わりしていた地域も多いことだろう。

奥田「実のところ、紀伊半島のリザーバーを考えていたものの、今はどこも大雨・濁流・増水で釣りができるような状態じゃない。寸前まで悩みに悩んで決めた」

釣行日程は奥田学さんの多忙を極めるスケジュールと照らし合わせ、半年前からフィックス済み。再調整できない日程の中で、最適な実釣地を選ぶには困難を極めたのだという。

奥田「長らくの間、淡水海水問わず日本各地へ飛び回っていたもんで、ここ2週間ほど琵琶湖に出ていない。ただ季節的にポストでタフ、それにこっちも雨が降ったんでその影響がどこまで出ているのか。探りながらやっていきましょう」

本来、初日はボートを降ろす北湖の長浜港へ向かう移動日。ところが奥田さんは「わずかな時間でも」
と湖上へ浮かぶことを望み、昼からの実釣となった。

奥田「探して探してようやく答えに辿り着いた。うん、完全なるポストスポーンやね」
この日は左の52・5センチを頭に良型3本をキャッチ。キーとなった釣り方は後述することにしよう。

「やっぱ、そうか。ポストスポーンのド定番か」。半日3本の全てが、同一リグでの釣果。この1本で取材が成立するグッドサイズだが、この翌日驚くべき結果が待っていた。

アーリーサマーの神器Btベイトという即戦力

2日目、この日のクライマックスが訪れたのは午前10時のことだった。場所は、今回結果的にメインとなった長浜エリアから大きく北へ移動したロックエリア。それまで曇りと小雨を繰り返していた空が、一転して快晴となった瞬間のことだった。

奥田「表層のそこかしこに平和そうなコアユがおる。(バスが)追ってはおらんな」

そこで奥田さんがラインの先に結んだのは、伝家の宝刀「Btベイト」。全長99ミリ、マッチ・ザ・ベイト。奥田さんの言葉で表すなら「マッチ・ザ・シルエット」だ。
静寂な水面の彼方へ優しいシュートを決め、スローにリーリングを開始。水面直下を艶めかしく泳ぎ始めるや、その後方に3本の大型の追尾が見えた。そして!

北のロックエリアに到達するや、初夏の匂いを感じた奥田さん。Btベイトを投入するや、即座にマイクロスイムベイト専用機・バンタム264L/Mが根元から絞り込まれる!

奥田「完璧なアプローチやったね! 平和そうなコアユの群れ。なのに、Btベイトには食ってくる。コイツには何か特別な力がある」

53.5センチ2960グラム!!初夏、表層のベイトを追うバスに応戦する奥田さんの定番がBtベイト。「マッチ・ザ・シルエット。しかも投げて巻くだけで誘える。あとはスピードをどの領域にするか。今回はスローが効いた」。背中にはマーカーステッカー(コーモラン)を貼り視認性を高めた

当釣行での最重量魚を捕獲! 俗に言う〝神が宿るルアー〟、それがBtベイトなのかもしれない。

単日で50UP×5本!猛打を浴びせたのは…

実はこの日、Btベイトで獲った魚は単日8本目の魚。それ以前に7本、以降に1本の計9本を仕留め、うち5本が50アップという実に見事な結果を奥田さんは叩き出している。前日含めれば全12本中、6本の50アップ。何と50アップ打率は5割だ!

奥田「広大な琵琶湖だけに、場所場所によって季節の進行具合が異なる。Btベイトで浮いた魚を獲るアーリーサマーの場所はまだ少なく、多くはまだまだポストスポーンの状態やね」

その言葉通り、ここまで仕留めた12本のうち、11本を仕留めたのはわずか1つのライトリグだった。そして、そのリグを自在に扱ったのは、もはや言うまでもなく、あの名竿だった。

〝陸王スピン〟 またの名を〝「出て来いや!」スティック〟と呼ぶ名竿。

奥田「何年前やったかな、コロナ前のことやけど、米国カリフォルニアに釣りに行ったことがあるんよ。とある湖でガイドさんに案内してもらったのが、ちょうど日本の春の頃。ムコウはちょっと季節の進行が早いから、スポーンの段階も進んでいたんよね」

そう前置きして、奥田さんが当釣行で連呼したのが、そのガイドさんの言葉だった。

奥田「『ノーノーノー、マナブ。ポストスポーン、ベリー・スロー!』。ちょっと動かし方が早くなるだけで、何度も何度も言われたよ(笑)。でもさ、それが真理なんだよね」

訳「ダメダメダメ!ポストスポーンなんだから、ごくスローに!
2010年代後半、カリフォルニアでお世話になったプロガイドさんとのやり取り。「ポストだぞと言われ、沖のロックエリアに連れていかれ、ズル引きをほんの少しでも早くすると『ノーノーノー!』て(笑)。でも、その通りにごくスローにすると必ず食うんだ。やっぱ現場の今を知る人は凄いなと思ったよ」

バスにとって一年で最大のイベントとなる産卵を経て体力回復へと向かう最中、それがポストスポーンと呼ばれる時期。動きの速い小魚を追う体力はまだ蓄えがなく、少ない労力で獲れるエサを捕食するのがこの時期のセオリーだ。

奥田「ボトムでネコリグ。今回の結果からも明らかなように、完全なるパターンフィッシングと言っ
ていいと思う」

マグナムスワンプクローラー(ZBC)+ネコリグ [写真タップで拡大]

●フック:モスキート ヘビーガード♯2/0(バリバス)●シンカー:タングステンネイルシンカーCP 3.5グラム(カンジインターナショナル) [写真タップで拡大]

「素材の絶妙な張りがシェイクで活きる」

「フックは大きからず小からずの♯2/0で、ウィードも増える時期なのでガードは必須」。縦刺しがハリ先のスタックを回避。「ネイルシンカーは他より短いタイプ。ワームの動きを妨げない」。そしてワームは奥田さん長年愛用の逸品だが「円安で、今や国内ではなかなか買えないのが難点」という。カラーはグ
リパンブルーの一択。

1カ所の沈み物で獲るや、移動した先々でも同様の手法でさらに釣果を重ねていく奥田さん。個体数の減少が叫ばれる昨今、そこにいる1本の魚とどう向き合って結果を出すか…とは異なる本来のバスフィッシングの姿がそこにあった。

奥田「ポストは1本獲ると、同じ場所で後が続かない。プレッシャーのせいもある。その1本を確実に仕留めることができるかどうかは、タックルセッティングにかかっている」

当釣行のMVPロッドは、奥田さんの代名詞とも言える〝バンタム274M+〟だった。2010年陸王決勝を制した際には、その系譜がスピナーベイトの超遠投で完勝を導き、以降〝陸王スピン〟の名を受け継ぐ。

バンタム274M+(シマノ)

●全長:7フィート4インチ●パワー:Medium-plus●ルアー:5〜21グラム●ライン:ナイロン・フロロ10ポンド、PE MAX1.5号●価格:5万3790円(税込)

陸でも艇でも頼りになるスピニングの決定版

この日ただ一度のミスもなく仕留め続けたバンタム274M+という名竿。振るだけでワームにトルクフルな動きを与え続けるエキサイトトップ。74というレングスはロングシューティングを可能にして、パワフルなバットで掛ければ耐えているだけで勝手に魚を浮かせることができる。「陸でも艇でも1本あればかなりの武器になると思う」。当連載でもほぼ皆勤の登板率だ。

シェイクの際には人差し指と中指をV字に、サイドに添えて振るのが奥田流。「効率が最もエエ。試してみればわかる」。

2017年には異例の生中継戦となった艇王琵琶湖戦では、複雑なストラクチャーから「出て来いや!」の叫びと共に幾本もの好サイズを導いて勝利を飾ったのは記憶に新しい。 当釣行はまさに後者と同様。その迫真のシーンを幾度も目撃することになったのだった。

奥田語録「挑まなければ結果は絶対に出ない」

2日目を終えた時点で、捕獲した総数は実に全12本。通常であれば、取材は成立したも同然。当連載の名物コンテンツ・ご当地グルメに時間を割くのもアリだろう。しかし、奥田さんにはストイックなまでの飽くなき野望があった。
奥田「狙いはロクマル。時期的に確率がごくごく低いのはわかっている。けど、今日は昨日より季節が進行していたり、状況が少しでも変わっているかもしれない。それをどうしても確認しておきたい」

この日は前日までに大多数の釣果を得たネコリグを封印。「大型を選んで獲れる」マンバのネイルリグを投入。すると、朝イチに!

55センチ2560グラム!

奥田「ジャイアントへの入り口、55センチを狙って獲れた。とりあえずの正解。さて、ここから!」
ところが後が続かない。ビッグベイトを主体に浮いた魚を獲る戦略を時に挟み込むも、前2日間と同様にチェイスはほぼ皆無。

本当にロクマルはいないのか? 奥田さんは時にジャイアントベイトをフル遠投して広範囲を探ることも。食わせるのではなく、魚影を確認するためのティーザー仕様だった

昼を前に「確認の意味で」と敢えてネコリグを投入するや即座にヒット。これには奥田さんも苦笑いだった。

奥田「そう簡単に状況が変わるわけはないね。ネコリグでしか食わない。それが今現在の正解やと思う」

3本目、そして4本目と追加して当釣行は大団円を迎えた。

奥田「ロクマルはなかなか厳しい。コンディションが完璧に整って釣れるサイズやし…。ただ良い釣りはできたと思う。セオリーに基づいた定番の釣りで再現性のある釣りを見せることができたかな」

「47センチで小さい?アカン…琵琶湖はヒトをクルわせる」
当釣行ラストの1本は47センチ。これもまた沈み物でのネコリグだった。奥田「もっと撮らんの? いつもだったらバシバシ撮ってるのに(笑)」。さすがに7本も50UPを見た後では…スイマセン。

ロクマルはまたいずれ魅せていただくことにしょう。

奥田さんのタックル

右上から

[マンバフリーリグ用]
●ロッド:ベイトロッド・プロト●リール:メタニウムXG LEFT+夢屋ウルトラストロングハンドル48ミ
リBH-1●ライン:アブソルートAAA16〜20ポンド(バリバス)
[黒龍220用]
●ロッド:バンタム1711MH+SB/2●リール:カルカッタコンクエストMD 300XGLH●ライン:アブソルートBBM25ポンド(バリバス)
[アーマジョイント190SF用]
●ロッド:ディスラプション ビッグベイトC610-XX●リール:アンタレスDC MD XG+夢屋ウルトラストロングハンドル48ミリBH-1●ライン:アブソルートAAA20ポンド(バリバス)
[ウルトラカープ用]
●ロッド:バンタム170UH-SB●リール:カルカッタコンクエストMD 300XGLH●ライン:アバニ キャスティングPE SMP6号+VEPショックリーダー[ナイロン]50ポンド(共にバリバス)

右上から

[Btベイト用]
●ロッド:バンタム264L / M●リール:ステラS2500+夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型M●ライン:ピットブルG5スティールグレー 0.6号/スーパートラウト アドバンス ビッグトラウト ショックリーダー8ポンド(バリバス)
[マグナムスワンプ用]
●ロッド:バンタム274M +●リール:ステラC3000XG+夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型M●ライン/リーダー:ピットブルG5スティールグレー 1号/スーパートラウト アドバンス ビッグトラウト ショックリーダー12ポンド(バリバス)
[マンバ用]
●ロッド:バンタム274M H●リール:ステラC4000XG+夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型M●ライン/リーダー:アバニ キャスティングPESiX X8 1.5号/スーパートラウト アドバンス ビッグトラウト ショックリーダー22ポンド(バリバス)


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