DAIWAフィールドテスターの渡邉長士さんの連載企画「今日もいいチョーシ」。水温も適水温となり、ハイシーズンへと突入したソルトルアーシーン。渡邉さんは各地のフィールドでその釣れぶりを実感中! そんな中、いよいよ登場となった新しい「月下美人」の情報を詳しく教えてくれたぞ。感度を突き詰めたスペックに、トルクも持たせるという個性。果たしてどんな竿に仕上がっているのか…?
●写真/文:渡邉 長士(DAIWAフィールドテスター)
渡邉 長士(わたなべ・たけし)
千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。
秋のハイシーズン突入!SLSJと新潟の釣り場を満喫!!
適水温になってきました
こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士です。いつも「今日もいいチョーシ」を読んでいただきありがとうございます。
今年の夏も例年通りの猛暑で、9月に入ってからもまだ残暑が続いていました。しかし、海の中は少しずつ秋に近づいているようで、近年よく行く東京湾のバチコンでは秋ならではの数釣りができるようになってきました。
東京湾をはじめとする関東周辺では夏場には水温が高すぎてアジの活性が落ちるものの、台風などで海がかき回されると水温が下がり、アジの適水温のど真ん中に入ってきます。例年も9月頃からショアも船のバチコンも上向きになり、バチコンでは落とせば勝手に食ってくる“落ちパク”も多くなってきます。
そんな感じで関東でもバチコンやショアのアジングも楽しくなる時期ですが、先日は新潟県に行っていました。前回の新潟釣行は4月に直江津のパッピーフィッシングで尺アジングを楽しみ、その模様は前回の「【尺アジ率100%!?】新潟とNEWルビアスのポテンシャルが半端なかった! 」でもご紹介しました。
DAIWAフィールドテスターの渡邉長士さんの連載企画「今日もいいチョーシ」。今回は先日公開となり、4年ぶりのフルモデルチェンジで話題を呼んでいる大人気スピニングリール「ルビアス」について、渡邉さんがそ[…]
お手軽なジギングは色々釣れて楽しい!!
新潟はもちろんアジの好フィールドではありますが、今回メインで狙ったのがサーフからのSLSJ。SLSJとは、スーパー(S)ライト(L)ショア(S)ジギング(J)のことで、10~30g程度のメタルジグを使った超ライトなショアジギングです。
SLSJはタックルがライトなため手軽に楽しめ、釣れる魚種は青物だけでなく様々な魚が狙えるのも魅力。この釣りは地元の外房でもよくやる釣りで、夏には堤防からゴマサバ、ソウダガツオ、カンパチの幼魚のショゴ、ブリの幼魚のワカシなどを狙い、秋になるとメッキなども面白くなります。
新潟は漁港や堤防の多くが立ち入り禁止や釣り禁止になっているため、今回は新潟市から上越市にかけてのサーフをメインに釣り歩いてみました。
釣果はワカシ、ショゴ、キジハタ、小さなヒラマサなどが釣れ、場所によってはカマスの大群に当たり、釣れども釣れどもカマスという時もありました。
そして新潟東港にあるハッピーフィッシングにも初めて訪れ、渋い中でしたがショゴをキャッチ。他にもジグに尺アジがヒットしたのですが、残念ながら抜き上げでポロリ。
この日の渋さを物語っていたのが来場者の少なさで、普段は入る隙間もないほどの釣り場と聞いていましたがガラガラ。一時は堤防に自分を含めて2人だけという時間帯もありました。次回はぜひ良いときに尺アジングやサゴシの連発劇を楽しみたいです。
安全かつ快適なスゴイ釣り場もありました
ハッピーの後は出雲崎町にある堤防にも向かいました。先ほど新潟県の多くの堤防は立ち入り禁止と書きましたが、「出雲崎フィッシングブリッジ」は堤防から釣りができる貴重な場所。
もともとは離岸堤だったところに橋を架け、手すりや救命具も設置され安全に釣りが楽しめる環境になっています。
この釣り場が誕生したのは地元の小学生が「人を呼ぶために釣り場を整備してみては」というアイデアがキッカケと地元の方に聞きました。
釣り場だけでなく、無料の駐車場や綺麗なトイレ、手を洗える水道、飲み物の自動販売機なども完備されているため、まさに最高の釣り場。
訪れたときはエギンガーが多く、秋サイズのアオリイカをキャッチしており、私は短時間でショゴやシマフグをキャッチ。時期やタイミング次第では尺クラスのアジが連発したり、大型のシーバスが回遊してきたりもするらしいです。こちらも再訪したい釣り場となりました。
極上の感度! 新たな月下美人EX現る
チューブラーティップの『57UL-T燕(EN)』
さて、またも近況報告が長くなってしまったのでそろそろ話をアジングに戻しますが、アジングにおいて大きな戦力となるロッドが9月に発売したので紹介したいと思います。そのロッドというのが「月下美人 EX 57UL-T 燕(EN)」です。
現代のエキスパートなアジンガーの多くはジグヘッドリグでの緻密な釣りをして繊細なアタリを掛けていく釣り方が主流。そしてその釣り方をするにはタックルに「感度」が求められます。このロッドは現代のアジングに重要な『感度に特化させたジグ単専用ロッド』なんです。
その高感度を実現した大きな要因が“チューブラーティップ”を採用したこと。ロッドというのは基本は中空のチューブラーです。中空にすることで軽量にでき、反響感度が大きくなるため、手元で感じる “手感度”が高くなります。しかし、現在のアジング用のジグ単ロッドの多くがソリッドティップを採用しているのはナゼでしょう。
それはソリッドの方が径を細くできるためシャープな操作感が得られ、ソリッド部が柔軟に曲がることで食い込みや目感度が良くなるためです。実際に月下美人 EXのラインナップでジグ単用の510UL-S 麗(REI)と66L-S 凛(RIN)はソリッドティップを採用しています。
510UL-S 麗(REI)はティップが0.7mm、バットが6.8mm のULクラスで、ショートレングス&ややマイルドな調子のため小型~中型のアジを狙った近距離戦にベストマッチします。66L-S 凛はティップが0.6mm、バットが7.8mm のLクラスで、繊細なティップとパワーのあるバットを合わせ持つため幅広いシチュエーションで使え、個人的には遠投やディープなどの遠距離戦によく使ってます。
もちろんこのロッドたちもダイワの様々なテクノロジーのおかげで感度は非常に高いのですが、同じテクノロジーであれば手感度においてはチューブラーに軍配が上がります。そして感度はロッドの長さも関係してくるのですが、基本的には短い方が高感度になります。
今回リリースされる57UL-TはEXシリーズで最も短いため感度が非常に高く、ULクラスながら全体的にシャキっとして操作性も高いです。
グリップエンドも短く設計したため片手での取り回しもしやすく、指揮者のタクトのように自在に操作することが可能です。そのため、担当者は「ツバメのような軽快な身のこなし」を連想し、燕(EN)というサブネームを付けました。
ちなみに、57UL-Tはティップが1.2mm、バットは6.9mmで、ティップの径は66L-Sの倍ありますが、42gの自重と短いレングスのため“もったり感”は全然ありません。
調子と感度と実用性
このロッドも監修させていただいたのですが、チューブラーのジグ単ロッドの調子を感度と実用性のバランスを調整するのは簡単ではないんです。感度を高めるには高弾性のカーボンシートを薄く巻いてシャープにすれば感度は上がりますが、実用強度と操作感とキャスト感がまったくダメになります。
ティップだけでなくバット部との兼ね合いもあり、 “ちょうどいいバランス”にしなければ実用性のあるロッドにはなりません。感度が良くてもアジを抜き上げるだけで折れるようなロッドだと話になりませんからね。
その点57UL-Tは感度にステータスを大きく振り分けていますが、それでいて「ストレスや気兼ねなく使えるロッド」にしているんです。
使いどころとしてはジグ単の釣り全般に使え、アンダー1gの軽量ジグ単の繊細な近距離戦から3g程度の重めのジグ単での遠投&ディープでもシャープでトルク感のあるブランクスで繊細に操作でき遠投中のアタリも明確に届けてくれます。
個人的な使い分けは港内などの普通のアジングには57UL-T、深場や大場所では66L-Sを使うことが多いです。普段は共にPE0.15号+フロロ3lbのラインシステムですが、港内などの近距離戦ではエステルなどのモノフィラ系が合うかもですね。
まだアジングでPEを使う人は少数派ですが使ったことがない人はPEを一度試してみるといいと思います。細い0.15号ほどのPEはトラブルも少ないですし圧倒的な感度に驚くと思いますよ。
そんな57UL-Tが大活躍したのが、8月に放送したザ・フィッシングのロケ。前回の当連載でも冒頭で少し触れましたが、宮城県の牡鹿半島でアジ、メバル、ケンサキイカを狙い、どれもイイ感じに釣れました。この時のタックルがまさに57UL-Tでした。それも使ったタックルはこの1セットだけ。
これでアジもメバルもケンサキイカも、さらには40cmほどのアイナメや、カットされてましたがサバ、ワカシ、ショゴなどの青物までキャッチしており、プラではトビウオのサイトフィッシングで遊んだりもしていました。
アジは当然だとして、メバルの最大は27cm(未放送。放送での最大は26cm)を筆頭に良型メバルやアイナメを寄せるパワーがあり、ルアー重量が0.3~5gなのでエメラルダスライト 2 RV DEEP1.5(5g)も難なくキャストできます。
軽量&高感度&高い操作性を持ちながら十分なパワーがあるため、汎用性も高いところがソルトルアーゲームでは嬉しいポイントです。
でも「アジングロッドならアジに必要以上のパワーはいらないんじゃない?」と思う人もいるかと思いますが、やっぱりパワーやトルクはある程度あった方がいいと考えてます。先日、それを強く再認識した出来事がありました。
アジングロッドにもトルクを!
それは久しぶりに他社のロッドを使ったとき、同じULクラスのロッドでありながらロッドのトルクが全然違ったのです。57UL-Tだと牡鹿半島でも釣ったような30cmクラスのアジやメバルがヒットしてもロッドにはまだ余裕がありますが、たまたま使ったモデルがそうだっただけかもしれないものの、全然トルクがなかったのです。
そう感じた理由が使うラインにあります。
現在メインで使っているのがPE0.15号ですが、強度は2.8lbあります。そのため、ドラグはライン強度に合わせて調整していたのですが、トルクのないロッドだとそのドラグではロッドが負けてしまうのです。
ロッドに合わせてドラグを調整すると、ドラグがズルズルになり、ちょっといいサイズの魚がヒットするとキャッチまでに時間がかかり、根に入られたりフックアウトなどでバレるリスクも増えます。
モノフィラ系の1~1.5lbのラインを使えばバランスが取れるのですが、それだと豆アジの近距離戦でしか使いどころがなくなってしまいます。
その点、57UL-Tであればモノフィラ系の1~1.5lbのラインを使った近距離戦からPEを使った遠距離戦や良型のアジ狙いから、ポテンシャルが高いため1.5号ほどの小さなエギを使ったライトエギングなどの他魚種まで幅広く使えます。
もちろん、普通のアジングでもトルクを生かした強気のランディングも可能です。
「アジングロッドなんだからアジだけ釣れればいい」と思っていた時代もありましたが、やはり海で釣りをする以上、アジ以外の魚がヒットすることはありますし、トルクはあるに越したことはありません。57UL-Tのように感度、軽さ、操作性があってからの話ですけどね。
ということで、9月に発売した「月下美人 EX 57UL-T 燕(EN)」を紹介してきましたが、最後に宮城県のソルトゲームのお話を。
宮城県で遭遇したパラダイスな釣り場
宮城県北東部にあり三陸海岸の最南端にある牡鹿半島へは今年の6月に初めて訪れ、その後立て続けに2回行きましたが、色々とパラダイスでした。
その中の1回がザ・フィッシングだったのでご覧になってくれた方もいるかと思いますが、デイでアジやメバルが連発し、ナイトゲームではケンサキイカも連発でした。
今年は黒潮が大きく北上したため宮城県周辺の水温が高かったせいか小型回遊魚も多く、ショゴやワカシなども各所に回遊し、小サバはそこら中にわんさかいました。
そしてこの春からアオリイカの親イカがまともに狙えるようになったらしく、やはり各所で1~2kgサイズを目撃しました。恐らくですが、親イカがこれだけいるということは、それなりに産卵もおこなうはずで、今頃は新子のイカも生まれているはずです。
アオリイカは食いしん坊で成長が早いため、大量にいるサバなどを食べればあっという間に大きくなります。ということは、成長段階で捕食されるリスクも減り、生き残る数も多くなると思います。となれば、今シーズンの秋イカもパラダイスになるかもしれません。
そしてアジもメバルの魚影も濃く、釣りができる漁港もまだたくさん残っているため、ソルトゲームの魅力的なエリアにますますなっているといっていいでしょう。ただし、近年はケンサキイカやイケスから逃げ出したギンザケ目当ての釣り人が多数訪れ、各所の漁港でトラブルになっているという話も聞きます。
釣り人にとってはとても魅力的なフィールドなので、私の地元の関東みたいに多くの漁港が釣り禁止にならないよう、訪れる際はマナーやモラルを守って楽しみましょう。
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