「本能を刺激する不思議なルアー…」「ブラックバスが”中”から飛び出してくる」一定に引くだけでバイトするルアーって?

H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は2024H-1GPX 津久井湖戦を優勝した様子をレポート。

●写真/文:大津清彰(ティムコ)

とあるルアーを使って高反応をゲット

2024H-1GPX 津久井湖戦では、優勝という最高の形で終了!そんな津久井湖戦を振り返ってみたいと思います。

優勝!

プラクティスでは様々なことを試しました。やはり毎年同じ流れになってしまうのですが…ステルスペッパー70Fを使ったドラッギングには高反応。

ステルスペッパー70F [ティムコ]

小型サイズから最大49cmまで、とにかく釣れました。

その中でも今年違うのは、ベイトタックルを使用したステルスペッパーのキャロでした。

ステルスペッパーのキャロ

ベイトタックルでラインを太く

例年ではスピニングをメインにします。PEは0.4号。ただ、今回はそういった繊細なタックルは組みませんでした。使用ベイトロッドはLINKS68CM-STJ、これに14lb.ラインを使用し、リーダーは10lb.。ただしウエイトが例年より重く、1/2~1.5oz.!

ラインが太くなっても、ウエイトが重くなれば深い場所を引きやすいという考えでした。実際これでも食いは変わらず、しかも根がかっても回収が容易。ステルスペッパー70Fは細軸フックが付いていますので、無理をすれば確かにフックが伸びます。そのため、慎重なファイトが要求されますが、代わりに根掛りをしてもフックが伸びて回収できるという考えです。


実際、ステルスペッパーはプラを含めた4日間で一つもなくしませんでした。このステルスペッパーの使い方は極めてシンプル、「ひたすらフラットボトムを引いてくるだけ」。GPS計測で時速1.5km/hでしょうか?

ボトムをわずかに切って泳ぐような感じで引くのがポイントですが、それも大した理由ではないです。問題はステルスペッパーが持つルアーパワーです。このルアーは、バスの本能を刺激する何かを持っている不思議なルアーで、何もせずただ一定に引くことでバイトするルアーです。

ひたすら釣れます

バスが広範囲に散る秋は、ステルスペッパーのキャロライナリグは効果的。

ぜひお試しください!

ビッグフィッシュが高反応!スピナベライブサイトって?

他にもいろいろパターンを模索しました。そんな中でも今回ステルスペッパー70Fのキャロ以外に強力にビッグフィッシュが反応したのがスピナベライブサイトでした。

謎多きテクニックのひとつ、スピナベライブサイト・・・各地で優勝者が出ており、釣れるのはわかっている。現在最強の技のひとつ、しかし使い方がイマイチわからない。そんなテクニックでしょう。

今回は優勝したので、スピナベライブサイトに関してすべて公開しちゃいます。

とはいえ私もこのテクニックに関して日々進化しているので、来年は違うことしてるかもしれませんが。

ハイピッチャーにて釣りあげたバス。ナス型おもりを使い分け。

ご覧の通り、ナス型おもりを6~15号まで使い分け、使用しました。これを沖の木や岩にかすめて引きます。バスは魚探では見えません。津久井湖は現在、バスたちがライブ慣れしてしまっているので、のんびり泳いでいるようなことはほとんどないからです。

木や岩をかすめるように引いてくると、中からバスが飛び出してくる感じですネ。ココで重要なのはスピードで、これが遅くても速くても良くない。その日その日で変わるのですが、最適なスピードを出すためにおもりを変える感じです。

最近は上にひいても真横にひいても食わず、重要なのは下方向斜め45度くらいで引くこと。距離感も重要で、最適な速度を出すために距離を考えて引くのがポイントです。食わせのキモはバスの顔色次第ですが、「ここぞ」というときにジャークやシェイクを加えるとバイトのきっかけになることが多いです。

バスのバイトを深くするのに重要なのは…

実はバスのバイト自体は多いのですが・・・ほとんどのバスが掛かりません(涙)。実際、津久井湖でバイトしてきたバスの1/3くらいしかハリ掛りしない感覚です。

そしてバスのバイトを得る、より深くバイトさせるために最も重要だと考えているのは、「ラバースカート」です。

ハイピッチャー[O.S.P]

ライブスコープで明らかになりましたが、バスは後ろから追尾してバイトします。そのため、ここで重要なのはスピナーベイトの後ろ姿になると考えているのですが、具体的にはラバースカートの動きが最後に口を使わせるポイントです。

プラで使用したハイピッチャーのラバーカット

細かい部分は写真を見ていただきたいのですが、ラバー1本1本の長さを変え、それぞれが干渉しないように工夫しています。また、外側にくるラバーと内側にくるラバーの段差を大きくし、独立させます。特に重要なのは、内側にくるラバーをきっちりドーム状に巻きあげること。

内側のラバーはお互いがくっつきすぎてしまい、良い動きになりにくいことが多く、ヘッド部の段差に対しぎゅっと巻き上げるのがポイントです。外側を短め、内側のほうを長めにすると、良い感じに動きます。実は今現在、私はスピナーベイトのラバーをそのまま使うことはほとんどありません。巻き替えるか、必ず自分が納得するようにカットして使用します。

ラバージグでは普通に行われるオリジナルカットですが、それによる釣果の違いがあるのは明らか。間違いなくスピナーベイトでも同じことが言えます。
バスはじっくり見て、バイトするか考えているのですから。

カットしたスピナーベイトは、必ず泳ぎを見て判断します。水流を受け、しっかり動いていればOKですが、引く速度でも動きは変わるので要注意です。

今回、試合ではこのハイピッチャーではなく、D-スパイカーを使いました。これは湖が増水してしまったからです。引き抵抗感が少ないD-スパイカーは、深く入れるには向いています(6~12m)。


また、D-スパイカーはラバースカートが長いので、オリジナルカットするのに向いています。

D-スパイカー

こちらも同じようにラバー1本1本の長さを変え、それぞれが干渉しないように工夫しています。スピナーベイトはバイブレーションやブレードサイズよりも、リトリーブ速度とラバースカートを重要視するのがマイブームです。

さて、津久井湖のどこで釣っていたかというと、実は特定の場所はありません。試合中は津久井観光から沼本までを2周しました。ただ、今の津久井湖は朝よりも昼から夕方が釣れると思います。実際、同じ場所を回っていても朝の2時間はノーフィッシュでしたから。

っということでH-1GPX津久井湖戦は終了。実は年間を意識して「津久井湖戦は10位を狙おうか」とも考えていたのですが、年間トップを走る方が結構釣っていたので「やっぱり優勝を狙おう!」と思ったのが良かった。

結果的に反応させていったバスはどれもビッグフィッシュでしたのでパターンとしてはプラ通り強力なものでした。

次回H-1GPXは亀山湖、こちらも気合入れて頑張ります。

【使用タックル①】
ロッド:フェンウィック LINKS 610CMHP+J [ティムコ]
リール:スティーズAⅡTW [ダイワ]
ライン:バリバス アブソルート 14lb. [バリバス]
ルアー:D-スパイカー [ディスタイル]

【使用タックル②】
ロッド:フェンウィック LINKS65SMLJ【プロト】
リール:ヴァンキッシュ2500S [シマノ]
ライン: エックスブレイド フィネスシャングリラ 0.6号+LDLフロロ1.75号 [XBRAID]
ルアー:ステルスペッパー70Fのキャロライナリグ14g(リーダー50cm) [ティムコ]

アングラープロフィール

大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の『奇人』。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。