DAIWAフィールドテスターの渡邉長士さんの連載企画「今日もいいチョーシ」。寒さが本格化してくると面白くなるのが、デカアジを狙った遠投ゲーム。サーフや磯で行うスタイルなのだが、この釣りにぴったりな長士さんの肝いりアイテム『鯵天』がこの冬再登場するのだとか!今回はその使い方や実際に釣りで使っている様子をレポート!
●写真/文:渡邉 長士(DAIWAフィールドテスター)
渡邉 長士(わたなべ・たけし)
千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。
初「サワラゲーム」に行ってきました
こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士(たけし)です。
本日も「今日もいいチョーシ」を読んでいただきありがとうございます。
この連載は近況報告から入るのがパターンになっているので、まずは例に倣って最近の釣りを少しご紹介します。
今月もいつものように日常的に釣りに行っていますが、11月後半にある釣りに初めてチャレンジしてきました。
その釣りというのが「サワラゲーム」。
サワラはこれまで西日本に多い魚でしたが、近年は関東にも多く回遊するようになり、東京湾でも人気が急上昇しているターゲット。
沖提や海釣り公園などのショアからも狙えますが、確実性が高いのはやはりボートからの釣り。
サイズは60cmほどのサゴシクラスから大きいものだとメーターオーバーまで狙え、釣り味のみならず食味の良さからも熱中している人が増加中です。
ショアからではサゴシサイズは釣ったことがあるものの、これまでサワラを本命で狙ったことがなく、ボートからのサワラゲームはまったくの未経験。
一応、「ブレードジグの速巻き」が主流というのは知識としてはありますが、なにしろ初めてなので船長に釣り方を聞くと、「ベイトのイワシがボトムにいるので、ジグが着底したら速巻きして下さい」とのこと。
アンダーハンドでキャストし、言われたとおりに速巻きすると1投目でヒット!
75cmほどのサワラを難なくキャッチしてしまいました。
そして夕マヅメになりベイトが上ずってきたところを中層の速巻きで攻めているとズシンとヒット。こちらは96cmと惜しくもメーターには届きませんでしたが良型をキャッチできました。
速巻きからのズシンとくるアタリはかなり痛快で、引きも強く、帰宅後に刺身の炙りや味噌漬けなどで食べましたが、前評判通り脂が乗って本当に美味しかったです。
これは流行るのも納得。またシーズンがきたらぜひやりたいです。
ついに復活!! 大遠投アジングを実現した新たな「鯵天」
さて、ここからは本題のアジングの話に移りましょう。
秋も深まり冬に入るころになるとアジングで釣れるアジのサイズが良くなってきます。
それは春ごろに生まれた0歳魚が成長するからだけでなく、30cm以上の大型も沿岸に多く回遊するようになるからでもあります。
そしてそんな大型のアジが接岸しやすくなる理由の一つが「ベイト」の存在。
冬は稚アユ、ハク(ボラの稚魚)シラウオ、シロウオ、シラスウナギなど、沿岸に多くの小魚が集まる時期。
そしてアジは大型になるほど魚食性が強くなる傾向があり、20cmほどまではプランクトンが主食ですが30cmほどになると小魚も多く捕食するようになります。
つまり沿岸にやってくるベイトを追って大型のアジが沿岸に回遊してくるわけです。
以上のことから、冬はデカアジを狙ったアジングが熱くなるのですが、ベイトフィッシュを求めて回遊するアジを狙うため、釣り方は必然的にリトリーブを主体とする横方向の釣り方がメインになることが多くなります。
その最たる例が磯やサーフのアジングで、潮通しの良い磯や急深のサーフで回遊してくるアジを狙うと40cmを超えるようなデカアジもヒットします。
そういった釣りでは遠投が不可欠のため、キャロやフロートのような重量のある分離系のリグがメインになりますが、待望していたキャロシンカーがDAIWAからリリースされます。
それが「月下美人 鯵天R」です。
実はこのアイテムは2012年秋に登場し、2017年頃まで発売されていたのですが、生産工場の都合などで近年は廃盤となっていました。
自分のアジングではマストアイテムだったため廃盤後も密かに使い続けていましたが、この度再び販売されるようになりました。
これは本当に助かります。
鯵天がなかった期間はダウンショットなどで対応していましたが、やはりキャロでなければ釣れないアジはいますからね。
この「鯵天R」はアジングやメバリングで使うキャロライナリグのシンカーですが、一般的なキャロシンカーとはかなり違います。
その主な特徴は以下の4つ。
① キャスト時にワイヤーがL字になりハリスが絡まりにくい
② シンカーの向きを変えるとレンジを変えられる
③ ラインを切らずにシンカーの交換が可能
④ 多彩なアレンジが可能
①はキャスト時に天秤状のかたちになるため、リーダーとハリスが離れることでハリスの絡みが少なくなります。
リトリーブ時には直線状になり、引き抵抗が小さくシンカーは半遊動式なので感度は損なわれません。
②は付属のスナップを外せばシンカーが抜けるため、180度向きを変えるとレンジが変わります。
シンカーは銀色部分がステンレス、白い部分が浮力のあるEVAのため、ステンレス部をルアー側にすると浮き上がりが早くなりシャロー攻略や同じレンジをスローに攻められ、反対にすると浮き上がりにくくなるため速巻きでのレンジキープやディープ攻略が可能です。
③はスナップを外せばシンカーが抜ける構造のため、シンカーの向きだけでなくウエイトの交換もラインを切ることなく簡単にできます。
④は付属のシンカーだけでなく、色々なものをワイヤーに通すことでラインを切らず簡単に様々なリグに変身させることができます。これは後でアレンジ術を詳しく紹介しましょう。
以上のような特徴がある「鯵天R」ですが、実は私がプロデュースしたアイテムでした。
当時、新しいキャロシンカーをつくる上でまず欲しいと思った機能が「沖の表層」を攻められるものでした。
というのも、私のホームである外房は遠浅の地形が多く、海藻帯も多いため2m以内のレンジをキープしなければいけない場合も多々あります。
「それならフロートでいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、フロートだと少し水深のあるところではレンジを下げるのがじれったく、引き抵抗も大きいためリトリーブでテンポよく撃っていく釣りには微妙でした。
そこでシンカー部に浮力のあるEVAを使い、ある程度の長さにすることで潮を受けて浮き上がりやすくしました。しかし、そうなると外房のようなシャローではいいものの、西日本に多い水深の深い場所や潮の速いポイントでは使いにくいだろうと考え、シンカーを入れ替えられるようにして深場も攻められるようにしました。さらに、当時使っていた投げ釣り用の天秤に目を付け、キャスト時に絡まりにくいように天秤タイプにして、アジングで使いやすいように調整して完成したのが初代の鯵天です。
こんな感じで鯵天には様々な特徴があるため、地元の房総はもちろん、日本各地でデイ、ナイト問わず使ってきましたが、様々な状況で使える理由は多彩にアレンジできる点にあります。
アレンジ自在な点にも注目!!
ラインナップですが、SSサイズの3.5g、Sサイズの4g、Mサイズの6g、Lサイズの9.5gの4種類あります。
このまま使うのが基本ですが、前述のように各サイズ持っていればスナップを外すだけで各ウエイトに簡単に交換することができます。
そしてシンカーの代わりにフロートを入れることも可能なんです。
アイ付きのフロートをワイヤーに通せばワンタッチでフロートリグの完成です。
これは本当に便利で、最初にフロートを使い、表層で反応がなければシンカーに戻してキャロにするというのも簡単にできますし、もちろんフロートを入れた時もキャスト時にはワイヤーがL字になるためハリス絡みが少なくなります。
飛距離が欲しいときや深場を攻めたい時にはシンカーの下に1~2号の中通しのオモリを追加するのもアリです。
遠投したいけどゆっくり攻めたいときは1号+9.5gのシンカー、素早く沈めたいときは2号+6.5gのシンカーにするなど、組み合わせ次第で様々なパターンが作れます。
さらにさらに、フロート+オモリというのもアリです。
遠投したいけどキャロよりもスローに攻めたい時や、強い横風などでリグにブレーキをかけたい時、流れに乗せながらボトム周辺を攻めたい時などに効果的です。
そしてリーダーにはスナップが結束しているので、ワイヤーを外せばメタルジグやプラグに素早く交換もできます。
夕マヅメではメタルジグで広範囲をスピーディーに探り、暗くなったらキャロやフロートに素早くチェンジするということも可能です。
ちょっと早いけどサーフアジングに強行!!
こんな感じで鯵天をとことん使いこなしている私ですが、先日、真新しい鯵天Rを持って今シーズン初の西湘サーフアジングに行ってきました。
西湘サーフのアジングといえば40cmを超えるデカアジが釣れるのが魅力で、ハイシーズンの冬~春にかけてはよく通っています。
以前にも「釣れれば尺アジ! そんな夢のような場所が身近にあった! フロートリグ絶対有利のそのポイントとは?【渡邉長士の海釣り今日もいいチョーシ!】」で紹介してます。
最近はメインパターンにもなっている河口パターンを発見した時のことも綴ってますので、そちらもぜひ読んでみて下さい。
釣行したのは11月中旬。
この日は福岡の釣具店でのイベント帰りに羽田から直行する強行スケジュール。
体力的には問題ないのですが、気がかりなのは時期が少し早いこと。
釣果情報をリサーチするとデカアジの回遊は少しあるものの、数は出ていない様子でした。
使用するタックルは以下の通り
●ロッド:月下美人 AIR AJING 711M-T
●リール:エアリティLT2500S-XH
●ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.4号
●リーダー:エメラルダス リーダー エクストリーム II 3号
●ハリス:月下美人フロロリーダー 6lb+8lb
●シンカー:月下美人 鯵天R L 9.5g
●ジグヘッド:月下美人アジングジグヘッドTG 1.5g#8
●ワーム:月下美人ブレーキンビーム2.0
※全てDAIWA製
まずは比較的大きな河口に行ってみますが、思ったよりも河口付近が遠浅になっていて沖側のブレイクが攻められない状況。
このような時は苦戦することが多いのですが、とりあえずやってみましょう。
河口の流れが岸とほぼ平行に流れているため、その流れの中にキャロをキャストすると1投目からアタリ!
おおっ!!いるぞ!!と期待が一気に膨らみます。
そして次のキャストにもアタリ!でもこれはおかしい・・・
魚のサイズ感がデカアジではなく、小魚のような感じ。
その後も毎キャストアタリはあるものの、なかなかフッキングせず、10投目ほどでようやく掛かりました。
その正体は10cmほどのコトヒキ。やはりまだまだ水温が高いようです。
その後もコトヒキの猛攻が凄かったため少し河口から離れたところでキャスト再開。
しばらくキャロで反応がなかったため、シンカーから15gのフロートに替え、ワームも「月下美人アジングビームバチコンカスタム3インチ」にチェンジ。
河口の直下よりも弱くなった流れにリグを乗せてゆっくりとドリフトさせていると、竿先がわずかに重くなるだけの違和感バイト。
アワセを入れるとフッキングしたものの、引きはそれほど強くありません。
スルスルと寄ってきたのは本命のアジですが、サイズは本命ではない20cmほど。
例年シーズン序盤はこのサイズが混じることがあるので、やはりハイシーズンには少し早いようです。
しかし、このバイトでアジングロッドの優位性を再確認しました。
サーフからのデカアジ狙いの場合、シーバスロッドやエギングロッドを使う人もいますが、小さなアタリを感知するには繊細なロッドが不可欠。
だから私は「月下美人 AIR AJING 711M-T」を選んでいるんです。
高感度でパワーのあるロッドならドリフト中の小さなバイトを感知でき、キャロやフロートでも繊細なアクションを付けることができます。もちろん、デカアジの強い引きでもトルクのあるバットで魚をコントロールすることができます。
引き続き探っていると、先ほどは沖の流れの中でバイトしましたが、今度は波打ち際でヒット!
ドラグが勢いよく逆転し、デカいのは間違いない!
しかし残念ながらフックアウト。
その後はアタリがなくなったため別のサーフへ移動。
このサーフにも小さな流れ込みがあり、期待を込めて歩いていると、ぶっこみサビキの方がいました。釣果を訪ねてみましたが、アタリは1回もないとのこと。
期待はしぼんでしまいましたが、流れ込み付近に到着すると5cmほどのベイトが跳ねていて雰囲気はムンムンで期待は復活。
ワイヤーに15gのフロートを入れたフロートリグで波打ち際を丁寧に攻めるとヒット!
これもデカそう!!
今度はフックが伸ばされないよう慎重に寄せてサーフにズリ上げると、そこには銀色のアジ・・・ではなくヒラスズキでした。
サイズは45cmほどなので、デカアジと紛らわしいんですよね。
その後、車に戻っていく途中で先ほどのぶっこみサビキの方に「その後どうでしたか?」と声をかけると、「最後の1投のつもりで投げたやつに来ました」と足元に40cmほどのアジがいました。
ただ、アタリはこの一度だけだったようで、結局その後もデカアジは出ませんでした。
今回は本命のデカアジをキャッチすることはできませんでしたが、西湘のサーフアジングはこれからが本番ですし、房総でも尺アジがもっとも出やすい時期になります。
大阪~和歌山周辺なども今からがデカアジシーズンになるので、ぜひ鯵天Rをぶっ飛ばしてデカアジにチャレンジしてみてはどうでしょうか。
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。