H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は、H-1グランプリ開催直前の新利根川での釣行をレポート。
●写真/文:大津清彰
水温の低下で厳しい状況となった新利根川
今回はH-1グランプリ第6戦、茨城県・新利根川での釣行のお話です。フィールドとなる新利根川には、テスト等を含めて4日間練習に入りました。状況としては、2週間前まで好調だったものの、前回の雨以降、急速にブラックバスの活性が落ち、例年通り厳しくなってきたタイミングとなりました。
水温は14~16℃。一日の流れでは、朝よりも日が差す日中から夕方に関しては活性が上がる感じです。新利根川の最上流から妙技水道まで、すべてのエリアをチェック。その中で個人的に仕掛けやすいのは洲の野原方面かな?と感じました。
理由としてはこういった水温低下や水質悪化が激しくなってくると、起点となるディープエリアがある場所付近のシャローにタイミング次第で差すと思っていて、だらっとした場所にはバスは少ないと思っているためです。
実際、釣ったエリアは全ていわゆる洲の野原にある「一級エリア」付近のシャロー。何度も入りなおすとバスに出会える雰囲気を感じていました。
4日間で釣ったバスは3本。まぁ厳しいのですが、釣ったバスのコンデションは抜群! 結果は1,200g、1,070g、500gとなっていました。
釣れたブラックバスの食性をチェックすると…
バスを釣ったタイミングは11:00頃と13:30頃、そして夕方でした。魚のストマック(胃)調査を行うと、意外な事実が判明しました。釣れたブラックバスの胃から出てきたのは、どの個体もスジエビ系でした。それも、捕食したてのようです。
エビは死ぬとすぐに赤くなってくるので、捕食時間におおよその予想が立てられます。つまり、朝のフィーディングの残りではなく、日中差してエビを捕食しに来るバスが存在し、それがビーブルを襲ってきているという点です。
もちろんエビ系捕食ならステルスペッパー70S(ティムコ)のようなルアーが効果的なように感じるのですが、季節が秋になっている状況では、スピードで騙した方が釣果に繋がりやすい可能性もあります。
そして朝よりも日中に集中してキャストする必要がある、という予想を立てました。これぞストマック調査の真骨頂!食べているエサとその状態で、確信めいた「何か」を組み立てられるので、キャストに迷いがなくなります。
ちなみに釣ったのは全てスピナーベイト! ビーブル3/8oz(ボトムアップ)とチビーブル1/4oz(ボトムアップ)なのですが、速く巻くために前側のブレードをカットしていまし。リア側のブレードをチビーブルの2番にすべて変更したものを使用。
世界一エッチなスカート「スーパーバイブレーションスカート」
この時期になると、「思いっきり速さを上げるか?」「思いっきりスローに誘うか?」の二極化が進むと思っています。このチューニングは速く誘うためのチューニングです。
※スローに誘うときはステルスペッパー系です
ちなみに、チューニングチビーブルのスカートはオリジナルカットを施しました。具体的にはチビーブル1/4ozは、写真のようにラバーを活かし、そのまま一本一本が干渉しないように長さを変えてカットしています。
あっ、でもビーブル系はスカートの取付方法が独特なので、ノーマルの状態でもめちゃくちゃ生き生き動くスカートです! それが日本全国の釣果に結び付いており、当然そのままでも良いのですが私の場合、さらに自分で気に入った動きになるようにチューニングする感じです。
それ以外には現在単品売りをするために進めている、シンプルに取り付けるだけの通称:世界一エッチなスカート「スーパーバイブレーションスカート」を搭載し、カットして使用したビーブル3/8oz。
スーパーバイブレーションスカートは、どのような販売になるか未定ですが、そのままでも強波動を演出するラバーで、動きを見たら「こんなエッチなスカートは見たことない…」というレベルの動き。チャターベイト・ラバージグ・スピナーベイト・バズベイトどれにつけても恐ろしく動くスカートです。それをカットして使うとこれまた大変な動きになります。
【世界一エッチなスカート】
2匹目〜
— うなぎいぬ@大津清彰 バス釣りヘブンズ・ドアー&マッチザベイト学概論連載中 (@unagiinu1092) November 29, 2024
スーパーバイブレーションスカート(プロト)は長いです
日本のスピナーベイトはみんな同じようなスカートの長さですが、それが本当に釣れるというよりも単なる固定概念だと思います。
ワームと同じく、色々なサイズがあって良いはず。 pic.twitter.com/0BKH8PILeR
ライブスコープを通して、バスは間違いなくスカートの動きを見てバイトすることがわかってきました。現在、私が最も注目しているのがこのスカートの動き、動きの良いスカートは釣れるスカート!ぺったりと動かないスカートはバスが白ける…。これは最高のスカートのアクションを簡単に出せる交換用スカートです。ご期待ください!
惜しくも、年間総合優勝ならず…。「また修行します」
さて、H-1グランプリ 第6戦の試合当日の動きですが、洲の野原方面の一級エリアをひたすらランガンして回る戦略。朝よりも一瞬風が強まったタイミングや、水温が上がったタイミングで口を使う魚がいると考えていたためです。
ルアーはチューニングしたビーブル関係と、ステルスペッパー70S、ステルスペッパー110Sマディウォーターチューン。結局、ステルスペッパー110Sマディウォーターチューンで500gくらいのバスが一度バイトしてきたのですが掛からず(涙)。そのまま終了…。
参加者106名中、ウエイインしたのは8名で8匹。昨年より厳しい結果となりました。私の最終成績は年間総合2位。2年連続総合優勝ならず。実力不足ですね、また修行します。
2024年もH-1GPXを通し、様々なハードルアーの研究が進みました。本気で考えるからこそ、釣れるアイテムは生まれる! 2025年にはそんなルアーや今回のスカートが登場します。
お楽しみに♪
【使用タックル①】
- ロッド:フェンウィック GW 68CMLJ
- リール:アルファスエアTW
- ライン:バリバス アブソルート14lb.
- ルアー:チューニングビーブル系
【使用タックル②】
- ロッド:フェンウィック S-TAV 610CMHP+J
- リール:スティーズA2TW
- ライン:バリバス アブソルート16lb.
- ルアー:ステルスペッパー110Sマディウォーターチューン
【使用タックル③】
- ロッド:フェンウィック ACES 76CMLP+J
- リール:アルファスエアTW
- ライン:バリバス アブソルート10lb.
- ルアー:ステルスペッパー70
アングラープロフィール
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。