毎回語り尽くしのネタ満載トークインタビュー・清水盛三「帰ってきたシン・ネバギバ。」。連載7回目は、11月末に開催されたバサー・オールスター・クラシックの振り返りから、12月~1月にかけての攻略パターンについて語っていただきました!!
●文:ルアーマガジン編集部(写真提供:MORIZO SHIMIZU)
CH007① バサー・オールスター・クラシックを終えて思うこと、そして、これから。
メインパターンはやはりクランクベイト…も、勝負は時の運
――モリゾーさん、バサー・オールスター・クラシック、今年もお疲れ様でした!
清水「ボクは出てませんから!」
――……。イヤイヤ。
清水「出てなかったことに…」
――なりません!
清水「…やなぁ。ていうか、もう遠い昔の話ですワ~。成績が悪かった時って言い訳にしかならんから振り返りたくないワ」
――このしゃべり出し…アメリカツアー中の『ネバギバ。』インタビューを思い出しました。振るわなかった成績の時って、大抵こんな感じでしたねぇ。
清水「ソコは引退しても変わりませんねぇ(笑)。もう、試合のことは忘れました…と、いいたいところやねんけど、ちょっとだけ話すとね、まあ、これはいつも言ってることやけど、出るからには当然勝とうと思って試合に臨んでる。当然、魚も見つけていた。でも、自分ではどうすることもできない不可抗力が作用する時が間々あって、なかなか思い通りにいかない。体調不良も相まって今回はどうやらそんな年やったかなと。まぁ、トーナメントで勝つのは一筋縄ではイカン、難しいっていうところやね」
――初日ノーフィッシュ、2日目1本となかなか思い通りにならないゲーム展開は、毎度ながらもどかしいですね。
清水「初日の朝イチから魚を掛けたんやけど、バレて…そこから頑張ったけど、アカンかった。2日目はなんとか平常心を取り戻して1本キロオーバーを獲って…でも、時すでに遅しでそこまで。こうやって冷静に振り返ると、なんやかんやで後悔する部分も多々ある。アクションを起こす前に、気を取り直して考えたり、時間配分の調整を再構築したり…。トーナメントは時の運とはいえ、結果からして、今年は僕が勝つべき試合ではなかった、ってことですワ。巻きで釣ってこれる展開のはずやったんやけんどなぁ。悔しいワ」
――巻きというのはクランクベイトですか?
清水「そう。ピッコロ・ダイブシャローとフラットフォースの2本立て」
――おぉ。では、2日目に獲ったのも…
清水「それはテキサスリグやワ」
――っとっと。
清水「それで、釣れる確信のもとクランクベイトで攻めていたんやけど、一向にアタリがなかった。で、割り切って撃ちの展開にシフトチェンジしたら待望のファーストフィッシュ。さっきも言ったけど、時すでに遅しって、こういうことやねんなぁ」
――なるほど…。
清水「それもこれも力不足。勝つべき試合って、そのタイムラインの流れの中で困難に遭遇した時でも、すぐに新しいルートを見つけられる。いくつかの選択肢の中から選択を強いられた時でも、結果として正解を導き出せる。それが今回はなかった、ということですワ」
Mo-doブランドのコンセプトは“一生涯釣れるルアー”
――今回試合でピックアップしていたピッコロ・ダイブシャローもそうですが、モリゾーさんの作るルアーのコンセプトは一貫していますよね。
清水「本気で釣れるルアーを作りたいだけ。言い換えると、試合で勝つことのできるルアー。ひとつのルアーが出来上がるまで妥協は一切許しません!!」
――(笑)、だから、完成するまで異様な時間を費やすんですね。
清水「僕は実際にモックを作ったり削ったりするわけではないからアレやけど、アイデアの絞り出しから完成に至るまでのスイムチェックや指示出し等々、納得がいくまでGOサインを出さへんから、まぁ時間がかかることといったら(笑)」
――メーカーさんも大変です…。
清水「そうなんやけど…ソコはもう譲れないところやねん。コレが僕のやり方やから」
――でも、そのコンセプトがあるから、20年以上たった今でも釣れるルアーとして残っているんですよね。Dゾーン・フライもそうですが、そのルアーで釣ったことがないアングラー向けのルアーでありながら、いざというときにはウイニングルアーとしても活躍するという、とんでもない代物です。
清水「でも、そういうことやねん。永遠のスタンダード。生涯釣れるルアーをプライドを持ってプロデュースしていく。コレが僕の今の仕事のメインでもあるからね。長年アメリカで培ってきた経験則から紡ぎ出される理想のルアーたち。僕はずっと昔から、日本のトーナメントに関しては、自分で作ったルアーのみで試合を戦ってる。一昨年は実際にそれでバサー・クラシックを優勝で飾ってるしね」
――そうですね。成績が全てを代弁してくれていますね。
清水「そうやねん。バサー・クラシックみたいなスポットトーナメントみたいな形式やったら、公式プラクティス含めて今の僕のスタイルでも、まだまだ戦えるんじゃないかと」
――んんん? といういうことは、ひょっとして、またアメリカに?
清水「……可能性はゼロではないよ。今回、自分が惨敗したからこそ見えてきたモノがいくつかある。具体的に何かというのは口にはしないけど、まだまだ自分は途上だということと、だからこそ、まだ今以上にうまくなる…強くなるチャンスがあるということ。それが分かっただけでもエエんちゃうかなと。試合に出た甲斐もあったし、無駄ではなかった。だから、例えばの話で、シーズン3戦あるけどB.A.S.S.のオープン戦もそうやし、レイク・ミードのUSオープンとか、一年トレイルではないスポットスタイルやったら、全集中して戦える気力はありますワ。さすがに体力は鍛え直さなアカンけどね。…ていうか、車とボートを向こうで揃えてくれるスポンサーさんをまず探さないとね(笑)」
体感は『冬』…人間。体感は『秋』…サカナ。
――ということで、今月のバス釣り上達のヒントですが、気付けば冬です。
清水「そうやねん。ちょっと前までは秋がどうのこうの、ってノリやったけど、あっという間に4寒3温になっちゃったね。でもね、冷静に考えてみると、今、山間は紅葉真っ盛りでしょう?」
――ですね。12月の、季節外れの紅葉狩り的な。
清水「ココがミソで、実はまだまだ秋の魚がいっぱいいますからね。先日リザーバーに釣りに行った時は、水温13度。ちょっと前までの日本やったら10月とか11月の温度ですワ。サブいサブいって肌で感じてるから、もう冬やで、って思っているのは人間だけかもね」
――そういえば、先週のロケでも、朝方は湯気が出ていました。
清水「でしょ。外気温に比べて水温の方がまだ暖かいんですよ。だから、こちらが思っている以上に水の中はまだ活性の高い魚がいる。ということを踏まえると、僕の感覚でいうと、水温が10度を切ってくる初冬の釣りになるのは、1月を過ぎてからかな」
――ということは、秋の釣りと初冬の釣りの両方を準備しておけば…
清水「万端やね。秋の釣りは、もう、表層から中層の巻きですワ。DDXオーバー、Dゾーン、ジャックハンマー、ワイルドハンチ、フラットフォース…といったラインナップ。表層ならカバーやストラクチャーまわりを、中層ならブレイクや馬の背など地形を意識した巻き方で狙ってみるといいよ」
――フィールドが初冬っぽくなってきたら?
清水「その場合は、フェイスのジャーキングやXオーバーのポンプリトリーブなどの“止めて見せる”アクションを意識した釣りに徐々にシフトやね。狙いどころは同じやけど、よりリアクション要素の強い攻め方で、食わせの間を与えてあげる釣り。季節がさらに進んでくると、フットボールジグやメタルジグのライトリアクション系…静と動を意識した釣りがエエかなと」
――お、新しい言葉が出てきましたね! 『ライトリアクション』って?
清水「それは、また次回にお話ししましょう!!」
<モリゾー・おすすめタックル> ジャックハンマー&DDXオーバー仕様ver.
●ロッド:7.2フィートプロトロッド(デパシオン)
●リール:ジリオンSVTW1000 ※6.3:1(DAIWA)
●ライン:エクスレッド NS 16ポンド(東レ)※DDXオーバーは10ポンド
●ルアー:ジャックハンマー 3/8オンス、DDXオーバー(EG)
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