「”イキイキ”とクネクネ…」「本当に難しい!」開発中のワームを公開!? 動きのキモが…

プロアングラーとして活躍する川村光大郎さんの連載「OPENMIND」。今回は、開発中のワームについてレポート。どうやら開発が難航しているようで…

●写真/文:川村 光大郎

休日も開発の毎日…

この一週間は、平日も休日も開発に費やしました。オールスターのプラクティス期間から開発が進んでいなかったツケもありますが、やるなら間を空けずに集中した方が感覚が鈍らず、はかどりますね!

よって、釣行はしておらず… 今回は今開発中のソフトベイトについて記させてください。

開発は、ボクの場合3~5アイテムを同時進行しています。それぞれ、一応の発売予定時期はあるものの、納得するまでとなると予定どおりにリリースされることはほぼなく…

仮に5アイテムを手掛けていたとしても、そのうち1年にリリースできるのは3アイテムくらいが平均かな。サイズ違いとてサイズごとに適したデザインに調整するので、一発OKとはいかず。

ちなみにサイズ違いでは、ギミー2.4インチの開発を終えて量産待ちです。(これも最初は2インチでしたが、狙いのアクションが出ず2.4インチとなりました)

今はスクーパーフロッグの、マグナムより大きいやつ!の一次試作を依頼し、ソフトベイトではありませんが、ビーブルのサイズアップ版が二次試作を待っているところです。

スクーパーフロッグマグナム(ボトムアップ) [写真タップで拡大]

ビーブル(ボトムアップ) [写真タップで拡大]

この“試作待ち”の間に、他のアイテムの開発で手を動かす。その繰り返しです。ボクは一応経営者ですが、社内的な仕事は開発がメイン。社長らしいことはあまりなく、やっていることは独立前から変わっていないです。

強いて言えば、平日でも釣りに行ける自由度はある一方で休日の意識はなく、土日も釣行以外は出社していることがほとんど。フィールドテストやロケなど外部からいただく仕事もあるので、平日の時間を確保すべく、土日にやってしまうのが習慣になっています。

鋭意開発中のスティックベイト

話が逸れましたが… 今集中して手を動かしているのは、高比重素材を用いたスティックベイトになります。

スティックベイトにも、トゥイッチングによるダートアクションを得意とするタイプと、フォール時に自発的アクションを発するタイプに大別できますが、ボクが開発しているのは後者。狙いはズバリ、4インチ以下でフォール中にイキイキとクネる自発的アクションを発すること。

これが本当に難しい!!左右にクネクネとウォブリングフォールするタイプには “ サイズの壁 ” が立ちはだかります。例えば5インチモデルはイキイキとクネるのに、4インチモデルとなると微かに震える程度になってしまう。

それでも良く釣れるモデルは存在するのですが、4インチ以下でイキイキとウォブリングフォールするモデルを実現したい!

ちなみに、ロール系の自発的アクションを発するものは4インチ以下でも存在し、過去に手掛けたドライブスティックの3.5インチ。ひとつの完成形だと思っています。

ドライブスティック(O.S.P)

さて、今挑んでいる、4インチ以下でのウォブリングフォール系。4インチほどの長さで良くクネる個体が出来たとして、少しずつ寸詰めしていくと徐々に振り幅がタイトになっていき、求める自発的アクションから遠ざかっていく。

出来れば3.5インチで叶えたいと思っているのに… これが細身のストレートワームなら容易いのですが、3.5インチクラスでもベイトタックルで容易くピッチングできることも条件で、7グラム以上は欲しいところ。

長さに対して太身にするとクネりにくくなる一方で、自発的アクションを生むには自重も稼ぎたく太くなる。矛盾しているようですが、それくらい絶妙なバランスを強いられるということです。

開発中のスティックベイト

手作りでは動きが出る個体が出来、反映した金型での一次試作が上がってくると全く動かず。届いてワクワクからのガックシ… いつものことです。

今はその一次試作を叩き台に、バリエーション違いを作っては水槽でアクションの確認を繰り返しています。

だいぶ絞り込めてはきたものの、動きと引き換えに犠牲になる部分を解決できておらず、もう少し足掻いたうえで2回目の仮金型に進もうと思います。また、フォールベイトとしてだけでは用途が狭いので、もう一つ求めるアクションと、可能性を秘めたセッティングも模索中です。

一次試作からどう変わっていくか、お楽しみに!

アングラープロフィール

川村光大郎(かわむら・こうたろう)
陸王5冠、バサーオカッパリオールスタークラシック3度制覇など、その実力が証明されている岸釣りの天才アングラー。ボートでの釣りも高いスキルを持つ。代表を務めるボトムアップでは、数々の傑作ルアーを設計。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。