【3系統とは…?】2025年アンタレスがモデルチェンジ!正統後継とも呼べるその全貌を黒田健史が激白!!【シマノ新製品】

「ベイトリールのフラッグシップ」とも表される、シマノの最高峰ベイトリール・アンタレスの新型モデルがついにベールを脱いだ! 最初の一般公開となる「釣りフェス2025」前の緊急取材となるだけに情報量は決して多くはないが、可能な限りを皆様にお伝えしよう。解説は『アンタレスジャンキー』として名高い、シマノ・インストラクターの黒田健史さんにお願いした。

●文:ルアマガプラス編集部

黒田健史
くろだ・けんし/1985年静岡県出身。2009年からJBトップ50に参戦、3年のブランクを挟んで2017年に復帰し、2023年の弥栄湖戦で念願の初優勝を果たす。トーナメントやメディアの取材を通じて、シマノのロッドやリール開発に携わっている。

黒田式アンタレス論「アンタレスには3つの系譜が存在する」

新型アンタレス(左巻きモデル)

比較対象としてお持ちいただいた、黒田さん所有の歴代アンタレス(の一部)が並べられる中、最後に取り出されたのが待望の新型アンタレス。

その象徴とも言うべき“ヌルテカ”なボディフィニッシュは健在だが、フォルムは先代の’19アンタレスと比較するとサムレストの部分の左右非対称形状が若干緩やかになっていると同時に、かなり前方までせり出しているように見える。カラーも若干ガンメタ気味か。

新型アンタレス前方 [写真タップで拡大]

新型アンタレス後方 [写真タップで拡大]

見た目に関しては後ほど言及するとして、まずは先代アンタレスと比較して何が進化しているのか、聞こうとした矢先に黒田さんの方から口を開いた。

黒田「’98年モデルの初代から現在に至るまで、数多くのアンタレスが世に送り出されてきましたが、僕はアンタレスって大きく分けると『3つの系譜』に分かれていると思っています」

3つの系譜? それは…というか、アンタレスは’06年からDCブレーキモデルが登場して以来、それが今現在に至るまでメインストリームに取って代わったような気がする。そうやって考えるとオリジナルのSVS(遠心)ブレーキモデル、途中から加わったDCブレーキモデルの…まだ2系譜ですね(汗)。

黒田さんが考える歴代アンタレス「3つの系譜」。37mmスプール採用モデル、DCブレーキモデル、そして34mmスプールモデルと、それぞれ別の系譜というとらえ方だ。

黒田「う~ん…惜しいというか、チョイ擦っているというか…ま、あくまでも僕の見解なので、ちょっと整理しますね。まずは①初代’98年モデルと’12モデルに採用されている「SVSブレーキ37mmスプール」の系譜。次にご指摘通りの②’06年から登場した「DCブレーキ」の系譜。最後に③’03年に登場した「AR(SVSブレーキ34mmスプール)」の系譜です」

新型アンタレスは初代のコンセプトを継承するカッ飛びリール!

’12モデル以降のフルモデルチェンジでは、最初にオリジナルのSVSモデルが登場した後にDCモデルが追加される、という流れが定石だった。それだけにブレーキがSVSか? それともDCか? といった違いくらいしか認識していなかった人も多いのではないだろうか。

そしてAR(オールラウンド)モデルは34mmの小径スプールを採用して’03年に登場したが、’19年に登場した34mmスプールを採用するノーマルのアンタレスからはなぜか“AR”の文字は外されている。

それだけに③ARの系譜に関しては、黒田さんほどのマニアでなければ系譜とまで認識していないかもしれない。

斜め前方より。角度によってはレベルワインダーが隠れてしまうほど、サムレスト部分が前方に大きくスラントしている。 [写真タップで拡大]

斜め後方より。遠心ブレーキのSVSは外部ダイヤルから調整可能のようだ。サムバーは比較的高めの位置にマウント。 [写真タップで拡大]

黒田「で、新型アンタレスですよね。このアンタレスは37mmスプールを採用したSVSブレーキモデルです。つまり①の系譜に属するもので、’98年モデル、’12年モデルに継いでの三代目と考えています。この系譜は簡単に言ってしまうと37mmという大口径スプールを用いることで慣性モーメントを小さくして、スプールの回転性能を向上させる。そこに初速の立ち上がりが早く伸びが良いSVSを組み合わせることで、これまで以上の飛距離を追求できる…要はカッ飛ばせるリールの系譜なんです」

初採用「マグナムライトスプールⅣ」こそがカッ飛びのキモ!!

さて、ここで最初に聞くはずだった「先代アンタレスと比較して何が進化しているのか」に戻して、新型アンタレスの具体的な進化ポイントについて語ってもらおう。

黒田さんの考える系譜を基にすると、後方に写る’12アンタレスが先代モデルとなる。今でもコアなファンが多い名機だ。

黒田「僕の考える①の系譜を基にすると、先代アンタレス=’12年モデルとなります。13年振りのフルモデルチェンジなだけにあらゆる部分が新しくなっていますが、今の時点で公開できるのはスプールに関して。’12年モデルはGフリースプールⅢでしたが、新型モデルにはシマノベイトリール史上初となる「マグナムライトスプールⅣ」が搭載されています。このスプール、何か気が付きませんか?」

…あ、よく見ると真ん中が若干、ホンの少しだけ盛り上がっているような…。

マグナムライトスプールⅣ。よく見ると真ん中が盛り上がった山なりの形状をしている。

黒田「そうなんです、この真ん中が盛り上がった形状にすることで、ラインを限りなく均一に、真っ平らに巻くことができます。なぜ均一に、真っ平らに巻く必要があるかというと、実はランダムにラインを巻かれるとスプールはバランスを崩し、キャスト時に高速で回転すると振動が発生しやすくなります。振動は回転性能のロスにつながるので、必然的に飛距離にも大きな影響が出てしまう。この振動=ロスを徹底的に排除するために均一で真っ平らなラインの巻き取りを追求したのが、このマグナムライトスプールⅣです」

キャスト時の震動を抑えることで回転性能を最大限に発揮し、飛距離アップに貢献するマグナムライトスプールⅣ。

ノーマルギアモデルは「アンタレスMG(ミドルギア)」の呼称に

そして、誰もが気になるギア比に関しても、貴重な情報をリークしてくれた。ご期待通りノーマルギア、ハイギア、エクストラハイギアの3種類だが、商品表記がこれまでと若干異なるという。

黒田「ハイギア=HG、エクストラハイギア=XGというのはこれまで通りですが、ノーマルギアは「ミドルギア=MG」という表記になり、ノーマルアンタレスは「アンタレスMG」と呼ぶことになります。今後発売されるシマノのベイトリールも、同様の表記になると思います」

歴代アンタレスを前に思いが溢れ出し過ぎる黒田さんだが…おや、左側にも見慣れぬリールが…それはまた、別のお話で。

と、黒田さんからの詳細情報はここまでである。さらなる追加情報に関しても鋭意調査中なので、これ以降もルアマガプラスをチェックしてほしい。いち早く現物を見たい&触りたい人は、2025年1月17日(金)からの「釣りフェス2025」に足を運んでほしい。最後にこの新型アンタレス、どんな釣りにオススメか聞いてみた。

黒田「それこそ初代となる’98モデルならば時代背景的にも、ほぼ100%に近い形でモノフィラメントラインを使った「バスフィッシング専用」モデルと位置付けられていたはずです。そして、この新型アンタレスも先述のように同系譜ではあるんですが、僕ならばPEラインを巻いてさらなる飛距離を追求したゲームや、太めのPEラインでのビッグベイトゲームなどにトライしてみたいです」

精悍なロゴデザインはそのままに、それ以外は完全刷新された新型アンタレス。その全貌が明かされるのは間もなくだ!

黒田「ただ、これは何もバスフィッシングに限ったことではなく、海外での怪魚ゲームやソルトでのビッグゲームなど、もっとフリースタイルな使い方をした方が本来の性能を活かし切れるのではないかと思っています。もっと詳しく知りたい人は、横浜の釣りフェス&大阪のフィッシングショーOSAKAのシマノブースに遊びに来てください。僕が責任を持って解説しますよ!」

モデルスプール径/幅(mm)ギア比最大巻上長最大ドラグ力自重ラインキャパ(ナイロン)ベアリング数ハンドル長
100MG/101MG37/215.665cm5.0kg210g14lb-100m11/142mm
100HG/101HG37/217.486cm5.0kg210g14lb-100m11/142mm
100XG/101XG37/217.891cm5.0kg210g14lb-100m11/142mm

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