[シマノ新製品]頂点を極めたスペシャルモデル。3機種全てを湯川さんが解説。ついに東レM46Xを採用したNEWセフィア リミテッドのスゴさ。

セフィアエギングロッドの最高峰、セフィアリミテッドが2025年春に待望のフルモデルチェンジ! 2019年にデビューした初代セフィアリミテッドの完成度は高く、これを超えるのは難しいと思われていただけに新型の期待は高まる。開発テストで数え切れないほどのプロトロッドを振り、完成までの道のりを知るシマノ インストラクターの湯川マサタカさんにNEWセフィアリミテッドを紹介してもらった。

●文:ルアマガプラス編集部

すべてのエギンガーが本気でワクワクするロッドを目指して開発!

初代セフィアリミテッドの誕生から6年もの歳月が流れ、2代目セフィアリミテッドが3月発売予定だ。

湯川「出すからにはすべての面で前作を超えなきゃいけない。納得いくまでとことんこだわって作りました。だから予定していた発売時期よりだいぶ遅れてしまいましたわ(笑)。すべてのエギンガーが本気でワクワクするようなロッドを作ろうぜ! というところからスタートして」

セフィアリミテッドは、多くのエギンガーが注目のフラッグシップモデル。開発が遅れたのは、それだけこだわって作り込んだということ。期待が高まる。ワクワクというのは機能的にもデザイン的にも?

湯川「あともう一つ、僕がシマノと契約する際に1本サオを作って納得できるものができたら契約しませんか、という話になった。そのロッドがエクスチューンS804L+。めちゃくちゃ調子の良いロッドで、それに磨きをかけてリミテッドで復刻させたかったんです」

湯川さんがエクスチューンS804L+を手にシマノ インストラクターとして本格的に活動をはじめたのが2017年のこと。強い思い入れのある伝説の名竿の復刻も湯川さんをワクワクさせ、開発テストに力を込めたに違いない。

さて、新しいセフィアリミテッドはどんな進化を遂げたのか? 具体的に紹介いただこう。

NEWセフィアリミテッドはS84L+、S76ML+、S85ML+の3機種をラインナップする。

スパイラルXコア+M46Xでより細く、軽く、強く! 投げやすくてシャクリやすいブランクスに進化

ブランクスは前作同様、シマノ独自の基本構造スパイラルXコアに、新たに新規炭素繊維トレカ®︎M46Xをプラス。前作はMパワーのみ高弾性素材のトレカ®︎M40Xが使われていたが、新セフィアリミテッドはリリースする3機種すべてに採用する。

トレカ®︎M46Xは、従来と同等の弾性率を維持したまま強度を20%以上向上させ、より細く、より軽く、より強いブランクスを実現。ただし通常、高弾性素材はキャスト時のリリースポイントが狭まったり、シャクリの感覚で違和感が出ることがあるが、それらは設計面で改善されているようだ。

湯川「ブランクスが変わって、持ち軽さ、振り軽さがさらに一段上がっています。シャクるときも手元重心で、細くて軽いからロッドがスッと楽に起きてくれる。張りがあるのにしなやかだから、例えばスラックジャークでパンッと瞬間的にラインを張るときもティップが曲がってエギを引っ張りすぎず、戻りが早いからラインスラックを一瞬で出してエギをダートさせやすいです」

それはエクスチューンS804L+を復刻したセフィアリミテッドS84L+に関してですか?

湯川「ML+の2機種も同じです。キャストもしなやかなのに張りがあるからより遠くに飛ばしやすい。適度に曲がるからリリースポイントがシビアということもなく投げやすいです。軽いから感度も良いし、細いから空気抵抗が減る。風が吹く日のキャスト、シャクリの操作性がさらに上がっています」

湯川「調子に関しても、例えばS84L+はロッド全体がL+ではなく、ティップからベリーはLで、バットはMパワーくらいあるという感じ。曲げるとパワーが継ぎ目なくグラデーションでつながり、ワンピースのようにきれいに曲がってバットが強いから、L+で3kgのイカと余裕でやりとりできる。ML+の2機種もきれいに曲がってパワーがある調子に設計されています」

“真の軽さ”と“強さ”は適合エギにも表れている! 全機種、秋イカから赤系モンスターまで対応

まさにすべての面で前作のスペックを超えていると?

湯川「超えています! あとセフィアリミテッドといえば“真の軽さ”。持った瞬間、自重以上に軽く感じる。キャストもシャクリも軽く感じる。新しいリミテッドはそれがさらに高められ、より強くなっています。これってすごいことで、それは適合エギにも表れています」

適合エギが“真の軽さ”や“強さ”を表す?

湯川「ロッドに表記される適合エギは、色々な方が使うことを考慮して通常は控えめに表示します。きちんと使えれば4号もイケるけど3.5号までにしておくとか。でも、新しいリミテッドはS84L+の適合エギが1.5号~4.0号。ML+の2本は1.8号~4号。1.5号と4号のエギが同じロッドで普通に使えるってヤバくないですか?(笑)。張りがあるのにしなやかで細くて強いブランクスの特性が、ここにも表れています」

この適合エギの幅広さは、全機種、秋イカからレッドモンスターまで対応できるということでもある。

キャストやシャクリで心踊る“振り軽さ”も新セフィアリミテッドの大きな魅力

ブランクスだけでなく、前作からの大きなスペック変更がフルXガイド(3Dチタントップ+3Dチタン+エアロチタン)化だ。Xガイドのメリットは高剛性、軽量化、空気抵抗軽減、トラブルレス性などが挙げられるが、前作はトップ、ティップ、バットに搭載。新しいセフィアリミテッドはすべてXガイドで、そのメリットが最大限活用されている。

湯川「キャストもシャクリも振り軽さを感じます。ガイドが軽いだけでなく、ブランクスの細さも相まって空気抵抗が軽減されているのも大きい。とくに横風を受ける状況でのロッドの操作性が断然上がっていますね。糸抜けもめちゃくちゃ良くなってる。ジェットブースト(クリンチロングアピールジェットブースト3.5号)なんて恐ろしいくらい飛びます(笑)。現場でフルXガイド化にして良かったと実感しています」

グリップ周りもマイナーチェンジ! 快適な握り心地と手感度が向上

リールシート周りは、前作に引き続き高感度のカーボンシェルグリップを採用するが、側面にスライス形状のスリットを取り入れ、握りやすさが向上。リアグリップのカーボンモノコックグリップもキャスト時に手が添えやすい新形状に変更されている。

湯川「グリップの握りこみにもめちゃくちゃこだわりました。贅肉を削ぎ落として、握った瞬間、手に馴染んで滑りにくい形状です。自然とシャクリに力が入りやすく感じます。あと人によってリールフットをかける指が違うけど、どの指にかけても握りやすい形になっています。カーボンモノコックグリップは反響感度を高め、新形状で投げやすくなっている。グリップ周りの形状変更も操作性の向上につながっています」

湯川マサタカが不退転の決意で開発テストを繰り返した結果がNEWセフィアリミテッドだ!

新たなブランクスの採用やガイド、グリップ周りのブラッシュアップなどで前作を超える性能を実現したNEWセフィアリミテッドは、シマノ開発陣と湯川さんの不断の努力の結果とも言える。

湯川「自分の年齢を考えるとトップ(エギンガー)で活動できるのはあと10年あるかどうか。もしかしたらこれが最後のリミテッドになるかもしれない、という思いで100ではなく120%納得のゆくロッドを出したかった。それで想定以上に開発に時間がかかってしまいました」

湯川「フィールドで新しいリミテッドを手にして、自分やシマノの開発陣の本気度を感じてほしいですね」

実釣ではセフィアリミテッドS84L+でセフィア クリンチエクスカウンター3.8号(2025年3月発売予定)を操り、小型イカを釣ってみせた。

湯川「小さなイカの引きもめちゃくちゃ楽しめる(笑)」

イカの引きを楽しむ! これも湯川さんのロッドづくりのこだわりだ。大きなエギを意のままに操作し、小さなイカの引きを楽しむというのは相反する特性で、ロッドづくりとしては非常に難しい。エギを投げ、シャクり、イカをかければNEWセフィアリミテッドの“本気度”が手に伝わるはずだ。

NEWセフィアリミテッドは3機種。湯川さんはどう使う?

NEWセフィアリミテッドは2025年4月に発売予定。最後に全3アイテムと少数精鋭の各機種の特徴と湯川さんなりの使い分けを解説いただいた。

セフィアリミテッドS84L+ 「汎用性抜群で3kg超が余裕で獲れる僕のメインロッドです」

湯川「8ft4inと長すぎず、取り回しが良いから3.0号を使ってシャローをランガン。エクスカウンター3.8号をシャクってもティップがもたれすぎることもないから、春イカ狙いのスローな釣りやレッドモンスターの回遊待ちもできる。オールマイティに使えて、3kgオーバーが余裕で獲れるパワーもあります。自分にとってはメインになるロッドで、とくにサオを曲げてイカの引きを楽しみたい方に使ってほしいモデルです」

セフィアリミテッドS76ML+ 「きれいな曲がりをみせるショートロッドです」

湯川「ショートロッドにパワーを持たせると、パリッとした張りのあるロッドになりそうな気がしますが、S76ML+はシームレスなきれいな曲がりをみせます。キャストもシャクリもしやすく、イカの引きもたっぷり楽しめます。取り回しの良い長さなので、足場の低い磯でもストレスなくシャクれるし、近距離のピンスポットも高精度で撃ちやすい。自分ならシャローのランガンやボートエギングで使います」

セフィアリミテッドS85ML+ 「普段、Mクラスのロッドを使っている方にぜひ!」

湯川「普段、Mクラスをメインに使っている方に手にしてほしいモデルです。今まではMクラスで対応していた深場や潮の速いエリアでもパワー不足は感じず、ML寄りの繊細さがあり、エギが操作しやすいと感じてもらえるはずです。エギングロッドの標準的なレングスとパワーで年間通して使ってもらえるし、大きいエギをしっかり操作し、大型イカを狙うパワー系ロッドとしても活躍します」

NEWセフィアリミテッド(シマノ) スペック

品番全長(ft.)全長(m)継ぎ方式継数()仕舞寸法(cm)先径(mm)エギサイズ()適合ラインPE()リールシートタイプカーボン含有率()
S84L+8’4″2.54インロー2130.51.61.5-40.3-1UPLOCK99
S76ML+7’6″2.29インロー21181.61.8-40.4-1UPLOCK98
S85ML+8’5″2.57インロー21321.61.8-40.4-1UPLOCK99
※発売:2025年4月予定(価格未定)

アングラープロフィール

湯川マサタカ(ゆかわ・まさたか)

豊富な経験と鋭い洞察力でアオリイカを的確に追い詰める日中エギングのスペシャリスト。空気を切り裂く鋭いシャクリから“侍JOE”の異名を持ち、ベストな釣りを引き出すためのタックル選びにも強いこだわりをもつ。シマノインストラクター。


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