
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は、バス釣りにワインド釣法というお話し。そのための新製品を紹介してくれた。
●写真/文:大津清彰(ティムコ)
ワイドかつ切れの良いスーパーダートでフィッシュイーターを刺激! 当然、バスにも効く!
あらゆるフィッシュイーターに効果的なテクニックの一つであるワインド釣法。バスに対しても有効であることが、近年明らかになってきました。そのための新製品を紹介しましょう。
ダートパニック60です。
PDL ダートパニック60(ティムコ)。ソフトベイトの全長は60mm。
パッケージの説明文は次のとおり。
PDLダートパニックは、バスが最も反応が良い動きを徹底的に追及。
その結果辿り着いたのが、水流抵抗を極限まで減らしたヘッド+ボディ形状です。
流体力学から割り出された無駄のない形状により、ワインド釣法ならではのダートのキレの良さを実現しました。
魚の視界から一気に消えるほどのスーパーダートは、かつてないほどにバスの本能を刺激。
存在を見破ることができないダート幅とキレの良さにより、最後には口を使ってしまうルアーとなっています。
※ワームはFマークが下になるように、真っ直ぐセットしてください。
※エラストマー素材を使用しているためクセが付きやすく溶融する恐れがあります。他のワームやルアーとは別の容器で曲がらないように保管してください。
ここからはダートパニックの裏話を。
最初は45mmから出しました。これは小型サイズのほうが結果的にだましやすく良く釣れるから、という結論からでした。
ワインド釣法は、バスが追いきれないほどの左右へのダートがバスを狂わせ、バイトさせるルアーです。 このときにスピード+小型が効くというのと、ショートバイトが多いので小さいほうがかかりが良かったというのが結論に至った主な理由です。
ただワインド動きの原理はかなり複雑です。上にひかれたラインの影響で、ルアーが左右に飛んでいく…考えてみれば不思議です。 普通なら上に引かれれば、ルアーは上に向かうでしょう。
ルアーが左右に飛ぶというのは、揚力を利用しているからです。
「凧が重力に逆らって飛ぶ原理」を利用した抗力と揚力をしっかり考えなくては、ワインドルアーとして成立しないのです。また、それを効率良く使うための「水流抵抗と圧力抵抗」のバランス。そこから導き出された流線型ヘッドと断面が三角ボディ…。
とにかくワームなのにハードルアー並みにごまかしが効かない…それがワインドルアーなのです。ダートパニック45も前述のように、全体のボディバランスで動きは決定されます。
つまりヘッド重量が変わればワーム部分の最適なサイズも変わります。実はダートパニック45の1.5gと3g、とくに3gは完璧に動くように設計しています。もちろん5gもワインドルアーとしては十分すぎるほど動いているため、良く釣れるというのは間違いありませんが。
ダートパニックヘッド。上から1.5、3、5g。
しかし本来、重量がアップするならより速く動いてほしいのです。より速くフォールし、より幅のあるスーパーダートを出してほしい。 そうすればリアクション効果は一段と高まる。それがホンネです。
ダートパニックはフックの水流抵抗までこだわってスーパーダートを追求!
ダートパニック60はより速くフォールし、切れが良くて幅のあるスーパーダートを演出するために作りました。
ダートパニック60にラインナップされているのは5gと7g。どのメーカーもワインドルアーはヘッドとワームをセット販売しますが、それはピッタリ合うルアーを使わないと効果を発揮しにくいからです。
今回のワームサイズに合うのは5gと7g。それ以上もテストしましたが、アクションが破綻してしまうのでお蔵入り。また、ボディサイズもいくつかテストしたのですが、結局どれも破綻してしまったため、60mmに5g、7gというサイズに落ち着きました。
特徴の一つとしてフックサイズは少し大きくしています。
重量がアップすることによりフックを大きくしても動きに支障が出ないと判断したためです。
ワインドルアーを作っていくと、「円柱状の物質が作る水流抵抗の大きさ」を改めて感じることになります。なんと計算していくとフックが生み出す水流抵抗のほうが、ヘッドとルアーによる水流抵抗より大きくなってしまうのです。
これが切れの良いワインドの妨げとなる。そのためフックのサイズは小さければ小さいほど基本的には良いのです。
実はヘッド下側にアイを設け、トレブルフックを使えるようにすることも検討していました。しかし、上記の理由でアクションに満足のいく結果が得られずボツに。これは計算ではなく勘ですが、ヘッド重量を20g以上に設計しないとトレブルフックで切れの良いアクションを出すのは難しいでしょうね。
ダートパニック60による釣果
スーパーダートを引き出すために直結で使用
したがってダートパニック60を使うときは、絶対にスナップを付けないでください!
スナップの水流抵抗は莫大で、小さなパーツ一つで大きなブレーキがかかってしまうからです。必ず直結で使用してください。
ダートパニック60の5g、7gのダート幅と切れの良さは、私の知りうる限り世界最高峰の出来だと考えております。ぜひ、そのスーパーダートを体感してください!
根がかり回避性が高く、カバーに落とし込んでバーチカルに使うのもおすすめ!
さて、バスにも効果的なワインド釣法ですが、実はこのヘッド形状、 根がかりしないんです!
最初は私もなぜ根がかりににくいのかかわからず不思議だったのですが、フックが倒れず、しかもアイの位置から長く突き出たヘッド部分がクランクベイトのリップのように障害物をかわすことがわかりました!
このため、立ち木の中とかにぶち込んでも根がかり回避性はかなり高いです。
仮に根がかりしてもシングルフックなので、ナス型オモリを入れれば回収できます。ゴチャゴチャしたところでは、ぜひバーチカルで使ってみていただきたいですね。
あらゆるフィッシュイーターが釣れる。それがワインド!
- PDL ダートパニック45 ECO(ティムコ)
- Qty: 2 head & 3 baits
- 価格:1,100
ダートパニック60推奨タックルセッティング
- ロッド:フェンウィック LINKS-CT65SLP+J クリッタースティック(ティムコ)
- リール:エアリティLT2500S(DAIWA)
- ライン:オルトロスPE WX8 フィネスシャングリラ 0.6号(XBRAID)+LDLフロロティペット1.25号(ティムコ)
- ルアー:ダートパニック60(ティムコ)
アングラープロフィール
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の『奇人』。