
悩み多きバスアングラーの質問に、人気メーカーのレイドジャパン代表であり、陸王優勝経験もあるエキスパートアングラー、金森隆志さんがズバッと本音で回答! 今回は、次々と生み出される新しいテクニックとオーソドックスな釣りについての質問に答えてくれた。
●写真/文:金森隆志(レイドジャパン)
サイクルの早い釣りテクニック。その要因はSNS?
おはようございます、こんにちは、こんばんは。さて2025年、この1月2月は釣りシーンにおいては新しいモノ・コトの基軸になるタイミングってことで、今回はこの質問に答えます!
【質問内容】
バス釣りではどんどん新しいルアーやテクニックが生まれて、しばらくしたら消えてまた新しいものが出てきたりと、流行り廃りのサイクルが早い気がします。セオリー通りのオーソドックスな釣りではもう釣れなくなってしまったのでしょうか?
同じ阿呆ならなんとやら。ですが、自分の立ち位置をしっかりさせてから眺めてみましょう。俯瞰することが大事です。いまの時代にドンピシャの質問ですが、内容的にもなんら間違いはなく、その通りだと思います。バス釣りのテクニックのサイクルが早い要因のひとつにはSNSの存在が挙げられるでしょう。
SNSが世の中を変えたように釣りもSNSが変えました。釣りと世の中って総じてリンクしてますので、世の中が変わっていく方向に釣りも変化していくモノだと思います。SNSで釣り場、釣り方が露出されることによって無意識にそれを利用しよう、悪い言葉で言えば『奪おう』とする人たちが出てきます。
当然ですが、情報を与える人よりも、情報の恩恵を享受する人の方が多いわけです。多くの人が、SNSで得た情報を釣り場で実践すればするほど、その元の情報は素早く消費されます。母数が多ければ多いほどです。
これが流行、質問にある新しいルアーやテクニックのサイクルですよね。まぁ、釣りに限らず世間一般の流行ってそういうことですよね。アニメですが、『鬼滅の刃』なんてまさにそうで、あの時はコロナ禍ってこともありましたが、一気に大勢の人間が見て感情を揺さぶられてあっという間に大流行しましたが、次作が露出する頃には「まだやってたんだ?」みたいな感じになりましたよね。
あるいはネットフリックスなんかに代表されるオリジナル動画コンテンツ。ひとつの作品が流行ると、同じようなジャンルのドラマやアニメがわんさかと出てきて、いまはトレンドだからといって群がりますが、決して長続きはしません。
釣りもそう、バス釣りもまさに。それが今です。クオリティを気にしていたのはふた昔前のこと。昔なら釣り場もたくさんあってバスも相応にいて、釣り人もそういった情報に集中しなかったからそれなりに長続きしました。
でもいまは悲しいかなまさに逆ですよね。釣り場は減る、バスもしかり、でも情報だけには敏感な釣り人が残ってそれを奪おうと集中してしまう。サイクルの展開も瞬間です。だからこそ、質問にあるセオリー、オーソドックスが重要になります。
最新のテクも、スタンダードな釣りも、どちらも否定しない姿勢
奪おうとする釣り人たちは、自分から考えることはできないとまでは言いませんが、得意ではないでしょう。これもまたいまの世の中ですよね。セオリー、オーソドックス、スタンダードこそ強いです。でも、以前の意味合いとはちょっと違ってきます。深い理解度があってのスタンダードを実践できる力。柔軟な対応力ですよね。
なんとなく投げたら釣れたというのは違います。「こういう状況ならクランクベイト」「今ならスピナーベイトだな」といった対応力は、このような時代で釣るには最も強いでしょう。
全員で少ない可能性の潰し合いをしている中で、スタンダードを実践できれば釣れる確率は高いはず。その精度が高ければなおのことですよね。単純な逆張りとは違うんですが、まぁそういうことです。
なので、回答としては『むしろ釣れます』ですが、一方で最新最先端も釣れないことはありません。最新のテクニックも『むしろ釣れます』。最新の釣りをやるなら、誰よりも早く理解して実践することでしょう。
そしてオーソドックスも同時に深めていく。否定をしないことが重要なのもいまの世の中です。今回、世の中を斬ってますね(笑)。変化が大きい分、振り回される側に回らないこと。闇雲に否定もせず、諸手も挙げず、しっかりとした立ち位置で考えること。そうすれば迷うことはないはずです。
と言うわけで、keep it 現場スピリッツ!! また来週!
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アングラープロフィール

【Profile】
金森隆志(かなもり・たかし)
岸釣りを中心として活動を続けている超人気プロアングラー。レイドジャパン代表取締役社長でもある。