「最新鋭の装備でも釣れん」バス釣り難しい。そんな日に20年前の王道で「誰でも知っているような場所」をタコ粘りした結果。

H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は、2024年末に開催されたつり具の上州屋さん相模湖例会の模様をお届け。各社の2025年新製品が密かに集う例会。その裏で往年の名リグが火を吹いた! そうな…。

●写真/文:大津清彰(ティムコ)

メーカー各社の2025新製品が極秘お披露目! 大津さんが釣れるルアーの開発について改めて思うこととは?

上州屋さんの年末の相模湖例会。

この会は、各社メーカーが集結し2025年新製品のお披露目をいち早く行うというもの。どこのメーカーもいろいろ考えてきますね。当時は極秘事項。現在は各フィッシングショーなどで公開されているはずです。

今回、ティムコからはフェンウィックのロッド新機種4本、クランキーダーター200A、ダズリングフラッシャー、ダートパニック60、スーパーバイブレーションスカートなどを紹介させていただきました。ルアーに関しては水中アイテム系が多いです。

これは以前から述べていることですが「ライブスコープの恩恵により、ルアーは今後、飛躍的に進化するだろう」ということ。今回のアイテムは、ライブスコープによる釣りの中で生まれてきた製品が多いです。

クランキーダーター200A(ティムコ)

魚の反応が目視できれば釣果に基づいたルアーが作れる!

私はルアー開発において、魚の挙動を観察することこそが最も重要だと考えています。魚の反応を見ずにルアーを練り上げていくことなど、あり得ないからです。そのためライブスコープ誕生以前は、私自身、表層から水面直下のアイテムを作ることが多く、水中アイテムの開発には消極的でした。

魚の反応が良いのか?悪いのか?よくわからなかったからです。

これはほかの開発者にもいえると考えていて、目視できないルアーに関しては、アメリカに古くから存在するルアーの“使いやすさUP”や “飛距離UP”などを重視して開発したものが多かったと感じています。

逆に目視しながら開発できるルアーは“釣果”に基づいたアイテムが多く、日本では独自進化したルアーが数多く誕生してきました。デカハネやロングワーム、ギル型ルアー、虫系ルアー、i字系ルアーなどです。釣果に裏付けされた開発の結果です。

ライブソナーによって生み出された釣れるルアーの恩恵は陸っぱりでも受けられる!

2025年に提案するティムコのバスルアーは、確かに一風変わったものばかりですが、すべて釣果に支えられたものであると自信をもって言えます。

忘れてはいけないのが、ライブスコープを通して生み出されたルアーの釣れる恩恵は、ライブスコープがあろうがなかろうが同じであるということです。

例えば、今回の例会にも持ち込んだスーパーバイブレーションスカート。付け替えるだけのシリコンラバースカートです。

確かに普通のスカートより激しく動くことは見た目でわかりますが…それが釣れるのか、釣れないか良くわからない? ただのスカートです。

ライブスコープがなければ、日の目を見ることはなかったでしょう。もしくは評価されるまでに途方もない時間が必要だったかもしれません。

しかし、このしっかり動くシリコンラバースカートは、魚探で見ていればバスの反応が通常よりも良いことが多く、実際にH-1GPXでは私がオリジナルカットを施したスカートを搭載したスピナーベイトで2連勝することもできました。

スーパーバイブレーションスカート(ティムコ)

スーパーバイブレーションスカートに交換したスピナーベイトは、ラバーが良く動くのでバスをより惹きつける! もしくはその可能性が高くなる。

ライブスコープを使わない見えない水中世界でも同じことが起きているので、陸っぱりでもボートでも良く釣れる! というわけです。

確かにバスは単純ではないので、交換することで釣れなくなるケースもあるでしょう。とくにバスはあっという間に学習しますので、このラバーが急速なブームになれば、爆発的な効力は1年くらいで失うかもしれません。

しかし、ラバーを交換するという選択肢が釣果を広げるという点は不変。これは間違いないです。テキサスリグのワームを状況に応じて付け替えるように、ラバースカートも交換する。そういった意識を持てば、最終的に釣果が伸びていくという考え方です。

参加者40名でウェイイン7名の難局。その例会の裏で3尾も釣っていた猛者が!

さて、説明会の後はプチ大会。私は凸りましたが結果は…バス釣り難しいわ。優勝は、O.S.Pのミネムラ氏。

優勝はO.S.Pのミネムラ氏。50アップ1尾で堂々の勝利!

大会で2本釣った方はおらず、ウェイインは7名(参加者40名)。

ミネムラ氏はライブスコープを使用して水中の木を釣っていたらしい。ほかにはパワーフィネスやホバストなど、まぁいろいろでした。ただ、同じ日に私の弟が相模湖に出ていたのですが、なんと3本釣ってました!

弟。

多くのライブソナー使用者の逆手をとり、がら空きのシャローを平成の名リグで攻略!

どんなパターンだったかというと“ロボリーチの2.2gチョンがけダウンショット” でした。なんと20年前の津久井湖・相模湖の王道的な釣り。

これは魚探も見ずにシャローに投げ、じっくりゆっくりボトムを這うように釣っていく方法です。釣れたのは水深1.5m~5mくらいだったようです。

ロボリーチ(ロボワーム )

これは2023年後半あたりから起きていますが、ライブスコープの逆張りがライブサイトの釣果を上回ってくることがあります。これだけライブスコープが普及し、しかもその釣りのレベルが上がってくると、ライブスコープの優位性は薄れていきます。

今回の大会でもライブスコープを駆使して釣りをしている人が多く、沖は散々叩かれていたのですがシャローはがら空き。また、映像が映りにくいポジションもがら空きで、ウチの弟が見事その隙をついて釣ってきた感じでした。

場所としては、例年冬のバスが集まってくる場所。誰でも知っているような場所です。そこをタコ粘り。私も2025年の冬は、往年のダウンショットをもう一度検証してみたいと思います!

弟使用タックル

  • ロッド:フェンウィック GWT-SF 61SULJ(ティムコ)
  • リール:エアリティ LT2500S(DAIWA)
  • ライン:スーパートラウトアドバンス エリアインフィニティ0.3号(バリバス )+フロロ4lb
  • ルアー:ロボリーチ3inグリーンサンダー+ 2.2gシンカーのダウンショット

アングラープロフィール

大津清彰(おおつ・きよあき)

老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の『奇人』。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。