群雄割拠の戦国MLFに〝エイジュ〟が挑む!【カスミ最強への道】

霞ヶ浦及び北浦の霞ヶ浦水系に利根川を加えた国内最大級のトーナメントエリアで頂点を競う『MLF Japan』がいよいよ開幕! いわば“カスミ最強”の座を賭け、各団体から集結した数多の実力派選手が熱き戦いを繰り広げるシリーズ戦は今、世の耳目を集めている。当企画で追うのは、JBトップ50とのダブルエントリーで挑む若手注目株、『エイジュ』こと加藤栄樹選手。栄光を掴むべく挑み続ける、その一挙一動をお届けしよう。

●文:ルアマガプラス編集部

加藤栄樹
かとう・えいじゅ/ 2000年6月10日生まれ(24歳)、千葉県出身・茨城県在住。スポンサー:OSP、Bobs Machine Japan Ltd.、インパルスリチウム、POWER-POLE、ハーツマリン、サンライン、BASS PROSUPPORT。バスフィッシングと出会い育てられた霞ヶ浦水系に魅了され、地元を離れ茨城県へ単身移住。主な戦績はMLF Japanの前身・24BMCレギュラー戦での年間11位及びクラシック準優勝の好戦績に加え、JBⅡ霞ヶ浦では過去通算3度の優勝を誇るカスミ屈指の実力派若手選手としても知られる。ダブルエントリーとなるJB最高峰トップ50への参戦は4年目。今季も全国ツアートレイルの一方、MLFカスミ最強の座へと挑む“エイジュ”の今を追うのが当企画だ。

栄光まで全5戦の道程
アクセルを踏み込む!

「昨日より暖かい。明日はさらに暖かくなる。条件が上向きであるのは明らかです。ただ、人間の体感温度と水中での魚の動きは必ずしも一致するわけではない」

MLFジャパン開幕戦の前日プラクティスデイ。

霞ヶ浦の湖上に浮いたエイジュ(=加藤栄樹)はこう語り始めた。

当日はひと雨ごとに暖かさを増す、三寒四温の真っ只中。フィールドは春の盛期へと向かい始めたのか、それともまだ冬を引きずっているのか。前日までトップ50開幕戦のプリプラクティスのため霞ヶ浦を離れていたエイジュは、久々のホームでまずは様子を伺う。

「雪が積もってますね! こんなの初めて見ました!」

この水系でいち早く春が訪れると囁かれる流入河川のひとつ、小野川をデッドスローで遡上し始めると湖岸の各所に残雪。試合前々日に湖畔の広いエリアを寒波が襲い、近年の茨城県では珍しい雪が降ったという。雪解け水が注がれて濁りが増すエリアも散見され、水温は早朝6度台。だが好天は水を温め、昼には10度を上回った。

「明日になれば、この濁りは一段下に下る。さらに水温も上がるはず。とはいえ、一時は14度あった水温が一気に下がってから回復しているのが今。ほかのエリアも回ってみましょう」

花室川や桜川、本湖のブレイクなど西浦の有望エリアを広くサーチ。この日の練習を経て、エイジュ
は翌日の本戦へ向けどんなプランを組み上げたのだろうか。

愛艇はレンジャーZ520R。高速での走破性及び安定性に優れたエイジュ信頼の相棒。なお、MLF戦では全長18フィート以上、エンジンは175hps以上のボートがマストとなる。

3月19日(木)に湖畔を襲った寒波による名残がそこかしこに。雪解け水は急激な水温低下と濁りをもたらしたが、試合前日の天候は回復傾向。はたして本戦では如何に…

MLF Japanとは?

世界最大級トーナメントMLFの日本組織!

米国を本拠地とする世界最大級のバストーナメント組織がMajorLeague Fishing(=MLF、メジャー・リーグ・フィッシング)。最高峰BPT(=Bass Pro Tour、バス・プロ・ツアー)を頂点とする階層構造を整え、米国のみならず世界各国にブランチを持つ。MLF Japanは国内にブラックバスが移入されて100年を迎える今季を機に、昨季2024年まで活動してきたBMCトーナメントから運営体制を変更した日本初のMLFブランチだ。国内戦から本拠地米国戦への架け橋としての役割も担っている。

主なルール

●霞ヶ浦、北浦、利根川。国内最大級のトーナメントエリア
●検量は300グラム以上のバス。1日3本リミット総重量制(ボーターとコ・アングラーが釣った3匹の合計)
●デジタルウェイイン(本部公認のデジタルスケールで各自計測の後、アプリ『スマートスケール』に登録)。
●年間順位は全5戦の総重量で決定。上位選手は総決算戦MLFクラシックにクオリファイ。

YouTubeチャンネルで全戦ライブ配信!

©MLF Japan

『MLF Japanチャンネル』では試合当日の早朝から、湖上での模様、表彰式までのすべてをライブ配信でお届け。各戦前に人気投票で動画カメラが同船する選手4人が選出され、その興奮の一部始終を生中継で誰でも堪能できる。画像は開幕戦でのひとコマで、江尻悠真・小森嗣彦・林祐吾・村川勇介の各選手の勇姿だ。

MLF Japan BMC カスミシリーズ拠点
霞ヶ浦トーナメントプレイス

広大な敷地とサポートで安全確保
国内初のトーナメント専用会場!

25艇以上が一度にランチング可能な大山スロープを眼前に、国内初にして国内最大級のバストーナメント専用会場が『霞ヶ浦トーナメントプレイス』。MLF Japanの前身・BMCトーナメントでは2024年から、以降は年末の大イベント・オールスタークラシックの会場としても知られている。またBASS PRO SUPPORTによるボートサービスやレスキューなど様々なトーナメント環境の全てが整っている。

[住所]茨城県稲敷郡美浦村大山 2873-1[アクセス]圏央道・阿見東/稲敷/稲敷東などのICから各30分以内。

確かな読みのプランA
隙のない展開で好連鎖

「狙いは間違っていなかった。ただ、魚をキャッチする最後のツメが甘かった…」

開幕戦のスコアは310グラム、1本のみ。順位は20位と中盤。その結果に派手さはなかったが、聞けばその日一日のエイジュは実に隙のない展開ではあった。

この日の朝、最下流の常陸川水門の操作が行われ、激しい流れを伴い減水へと向かった。

前日プラで期待を抱いていた流入河川のシャローは水位を下げ、魚が抜けるのは想定内。午前中は減水の影響を受けづらい霞ヶ浦本湖を探った。

「昨日の結果、カスミはまだ冬だと感じた。ならば活性が高まる可能性があるとすれば、昼か夕方の水温が上がる時間帯。でも夕方は試合後。流れも落ち着く昼に小野川へ入ることを決めた」

エイジュはいわば〝昼マズメ〟を捉える戦略。

狙いのエリアに向かうと、対岸で今戦5位入賞の花村勇太朗選手の2連続キャッチに遭遇。読みは間違っていなかった。

「魚が動き始めた。絶対に自分にもその瞬間が来る!」。

そう己を鼓舞してカバーを撃ち続けた次の瞬間、その時が訪れる。

「アシのポケットで、でかい魚が食い上げるのが見えるも寸止め。すかさず撃った次のキャストで食ってきたのがこの1本でした」。

ヒットルアー:OSPジグ05・タッガー4グラム+ドライブビーバー3インチ(共にOSP)
当初はテキサスリグでディスタンスを獲ったアシ撃ちを主軸とするも、時間を追う毎に勢力を増す強風。「ボートを近付けてでもより精度の高いアプローチをしたかった」。選んだのはスモラバの吊るしだった。

勢いを増す強風下でボートポジションを縮め、吊るしでの正確なアプローチが奏功。この日は水温が
14度まで上昇したことで、季節は一気に進行したかに思えた。

が、しかし、残りの競技時間で仕留めることができた2尾目は、規定の300グラムに満たないノンキーパーのみに留まった。

「普段は選手艇が比較的少ない自分だけのエリアを選ぶのが常。でも、今回はプレッシャーを感じて
でも小野川へ行く必要があった」。

伸るか反るかの勝負だったのだ。序盤のロケットスタートは叶わなかったが、大多数がゼロ申告の中で獲った1本のキーパーには価値がある。全5戦の重量積み上げで年間順位を競うMLF戦において、わずかなスコアとはいえ後に大きな意味を持つことになるはずだ。

エイジュの挑戦は続く。

霞ヶ浦の春選抜ルアー・厳選3モデル

ドライブビーバー3.5インチ(O.S.P)
[テキサスリグ]●キロフックナロー#1/0(デコイ)●バザーズワームシンカーTGバレット3/16オンス●ハードシンカーロックS(共にDAIWA)

HP-3Dワッキー4.3インチ(O.S.P)
[カバーネコリグ]●スクラム#1(O.S.P)●JKカスタムシンカーネイルヘビーウェイト3.5グラム(ジャッカル)

HPFクランクスペック2(O.S.P)

正確無比なカバー撃ちで定評のエイジュの主軸はドライブビーバーのテキサスリグ。タフったらパワーフィネスでHP-3Dワッキーも守備範囲。HPFクランクSPEC2は「浮いたメスの魚を狙うミドスト的なアプローチ」。プラ時に絞り込んだのはこの3実弾だった。

気難しい3月のMFL開幕戦
上位2選手は利根川を主軸に

優勝の竹内選手

44チーム中の21チームのみが1本以上のウェイインを果たし、以下23チームがゼロ申告。貧果にも感じる開幕戦だが、例年霞ヶ浦で行われる3月のプロ戦では上位数名のみのウェイインで終了することも少なくないことを考えれば、見応えのある試合だった。優勝の竹内選手、わずか10グラム差で準優勝の川口選手は共にメインエリアは利根川。動画カメラ同船で生配信された江尻選手は北浦を主軸に後半戦で怒涛の追い上げを見せ4位に。

加藤栄樹
STAGE 1 RESULT

20位/44チーム
ウェイト:310グラム
トータルウエイト310グラム
年間暫定順位:20位

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