
グラスルーツから新たに表層ノイジー系のルアーが登場する。ビッグボディ&ビッグブレードが特徴的な『レッドカブ』というモデルだ。このルアーの特徴を開発者の井佐知之さんとハードベイトの達人・横井丈史さんに実釣を踏まえて解説してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部
profile
横井丈史(よこい・たけし)
日頃からハードベイト中心の釣りを楽しむ凄腕ロコアングラー。ホームフィールドは長門川・将監川、牛久沼など。霞ヶ浦・土浦エリアの冬のジャークベイトパターンは、彼の得意な釣りのひとつ。千葉県在住。
profile
井佐知之(いさ・ともゆき)
2022年よりグラスルーツでルアー開発を担当。また、ルアービルダーとして個人ブランドのモンキーブレインベイツでハンドメイドクランクなどを長年制作してきた。ホームフィールドは長門川・将監川など。埼玉県在住。
ブレードにはバスを惹きつける特別なパワーがある。
手間が掛かるウッドモデルをグラスルーツで量産化
レッドカブはもともとウッドモデルがモンキーブレインベイツから販売されていて、今回ABSモデルがグラスルーツで実現した。
井佐「大きくファットなボディはテールが太く、高浮力にすることで大きなブレードをつけても沈み込まない。そして、巻いたときに表層で空気を噛む。これが独特の音を出してくれる。接触音やブレードが水を切るような音と合わさって、独特のサウンドが出るんです。MBXというファットなカバークランクがベースになっていて、レッドカブのプロトを作ったときに、巻くとバズベイトみたいなシャワシャワ音が出た。これはいけるぞということでこの方向性を煮詰めていったんです」
横井「井佐さんは自分と行くフィールドが似ているし、作るルアーも自分にマッチしていて好きですね。レッドカブはウッド時代のものを使っていて、結構好きでしたよ。見た目も可愛いし、面白いルアーですよね」
レッドカブの大きな特徴は、オリジナル設計されたブレード。
井佐「ブレードはもともと市販のものをつけていたんですが、新たに再設計。素材や厚さ、デザインなどを見つめ直して、一番いい音が出るものを作りました。ブレードのデザインには一番時間がかかりました。プラスチックボディと大きなブレードの素材の違いから出る動きの複雑さが、バスを惹きつけてくれるし、見切られにくくなっていると思います。そして、ブレードのルアーには、やはり特別なパワーがあると思いますね」
レッドカブ(グラスルーツ)
これまでにないサウンドを奏でるビッグノイジー
ファットなボディと大型ブレードが特徴的なノイジークランク。高浮力ボディをサーキットボードリップで動かし、ブレードで水を左右に撹拌。「シャワシャワ」というスクイーク音を発生し、ウエイククランクやバド系とも異なるアピールで攻めることができる
●ボディ全長:62mm
●自重:約20g



MBX(モンキーブレインベイツ)
ファットボディで動きのレスポンスが良いカバークランク。これにブレードをつけてノイジーにしたら釣れるのではないかというのが、レッドカブ誕生のきっかけ。
レッドカブ(モンキーブレインベイツ)
試行錯誤を繰り返して誕生した、ビッグブレード搭載の表層クランク。10年ほど前に、バルサモデルやウッドモデルなどをリリース。少量しか作れなかったので入手困難に。
レッドカブ・プロト(グラスルーツ)
グラスルーツでルアー開発を担当するようになり、レッドカブのプラスチック版の制作を開始。ブレードを新たにデザインし、より使いやすくブラッシュアップしている。
赤いバイクに吠える愛犬を見て「こんなルアーが作れたらと思った」
レッドカブの名称は、井佐さんの愛犬が由来。
井佐「散歩のとき、郵便屋さんの赤いバイクが通る度に、それにやたら反応して吠えるんです。これくらいバスを惹きつけるようなルアーを作りたい、そう思ってこの名前にしたんです」
ブレード
薄く切り抜いたステンレス製オリジナルブレード
形状や大きさ、素材や厚さなど、いろいろなブレードを試してたどり着いて完成した、レッドカブの専用設計。素材は硬くて軽いステンレスを採用。井佐さんが求める、これまでにない独特なサウンドを出すことに成功した。
アクション
基本はただ巻き、バズベイト的にサーチしていくのがオススメ
スローから高速巻きまで、幅広い速度域に対応。浮力の高いボディから生み出される水押しと、金属音を含んだシャワシャワ音を出しながら周囲のバスにアピールする。ほかのクランクベイトやトップウォータープラグでは出ないバスも反応させることができるのがレッドカブだ。


レッドカブが奏でるのは、シャワシャワという独特なスクイーク音。ブレードとボディ・フックが接触し、水を掻き回すようなサウンドは、バズベイトに近い印象を受ける。
ただ巻きはもちろん、連続トゥイッチも得意。着水後はポーズを入れてから巻き始めよう。
レッドカブはいつものクランクロッドでそのまま使える
レッドカブの使い方は、基本はストレートなただ巻き。バスベイト感覚で、いろいろな場所に投げて巻いてくるだけでOKだ。
井佐「将監川なら、オーバーハングやマットカバー、レイダウンやベジテーションなどに添わせて巻くと効果的です。岸と平行にあるカバーよりも、沖に伸びているカバーで実績があります」
横井「スローに巻いてもいいし、動きが破綻するギリギリのスピードで巻いてもいい。連続のショートトゥイッチで細かく動かすのも、いい感じの音が出てとても釣れそうです」
井佐「自分はただ巻きばかりですが、横井さんは多彩に使ってくれる。クランクもそうですが、1つのルアーでも引き出しが多いですよね」
メインに使うロッドは、両者ともエンゲージナイヴスのEKC66MLをチョイスした。
井佐「30t中弾性カーボンで、ややスローな曲がりのロッド。空気抵抗があるルアーもカーボンのトルクを使いながら柔らかくキャストすることができますよ。張りのあるロッドでシュッと投げるよりは、ゆっくり投げたほうが、狙った場所に入れやすいですね」
横井「66MLは普段からよく使う、お気に入りのロッドのひとつ。グラスルーツのロッドはどれも軽くて感度がいいし、何より使いやすい。そして、ちゃんとパワーがあってファイトにも安心感がある。シーバスやナマズなど、他魚種がかかっても負けずにファイトができるのも好きな点です」
エンゲージナイヴスEKC66ML(グラスルーツ)
どんな釣りもハイレベルに対応する軽〜中量級バーサタイル
ハードベイトやワイヤーベイト、ワーミングまで高次元にこなす、MLパワーのバーサタイルロッド。井佐さんと横井さんは、操作性とアキュラシーを重視してレッドカブをメインに使うロッドとしてこのモデルをチョイスした。
●全長:6ft6in
●パワー:ミディアムライト
●テーパー:ミディアムスロー
●適合ルアー:1/8〜1/2oz
●適合ライン:6〜20lb
●マテリアル:プレミアムシンセティック
●ブランクス:チューブラー
●ロッド自重:112g
●価格:5万5,000円(税込み)
レッドカブのような重量があって巻き抵抗の大きいルアーも、EKC-66MLならしっかり対応。ロッドをしなやかに曲げて、アキュラシーを高めたキャスティングも可能にしてくれる。
エンゲージナイヴスEKC68ML/GC(グラスルーツ)
クランクベイトを極めるための1本、レッドカブにも相性良し
レギュラーサイズから1/2ozクラスのクランクにぴったりな1本。動きに柔らかさを出し、より水を掴んで巻きたい場合に、井佐さんはこのロッドを用意。グラスでありながら、カーボンコンポジットでキャストのしやすさは秀逸。
●全長:6ft8in
●パワー:ミディアムライト
●テーパー:ミディアムスロー
●適合ルアー:3/16〜5/8oz
●適合ライン:6〜20lb
●マテリアル:マルチディレクションレイヤー
●ブランクス:グラスコンポジット
●ロッド自重:129g
●価格:6万1,600円(税込み)
井佐さん使用タックル
その1
●ロッド:エンゲージナイブスEKC66ML(グラスルーツ)
●リール:カルカッタコンクエストBFS HGL(シマノ)
●ライン:アプロードGT-Rウルトラ16lb(サンヨーナイロン)
その2
●ロッド:エンゲージナイブスEKC68ML/GC(グラスルーツ)
●リール:スティーズCT SV TW 700HL(DAIWA)
●ライン:アプロードGT-Rウルトラ16lb(サンヨーナイロン)
横井さん使用タックル
その1
●ロッド:エンゲージナイブスEKC66ML(グラスルーツ)
●リール:09アルデバランMg7(シマノ)
●ライン:シルバースレッド バスジャーキング20lb(ユニチカ)
その2
●ロッド:エンゲージナイブスEKC68M(グラスルーツ)
●リール:SVライトリミテッド8.1L-TN(DAIWA)
●ライン:UVF フロッグデュラセンサー×8+Si2 5号(DAIWA)、アプロードGT-Rウルトラ20lb(サンヨーナイロン)
横井さんオススメパターン
着水後は最低5秒はステイ
横井さんは、いいところにキャストが決まったらまずはロングステイを入れる。
横井「着水後は5〜8秒くらい止めてから巻き始めます。最低でも5秒は止めたい。これはポッパーなどでいつもやっている釣り方。トップウォーターはポーズアクションはかなり大事な要素だと思っています」
井佐さんオススメパターン
フェザーフック装着で小動物ベイトをイミテート
ストップ&ゴー、ロングポーズを多用する場合には、フェザーフックに交換して見切られにくくする。
井佐「これはバルサ時代からやっているチューンですね。レッドカブは、水面を駆ける小鳥や、ネズミ、モグラといった小動物をイミテートしてくれるので、フェザーフックを足すことでイメージを近づけることもできます」
レッドカブの出しドコロ
あらゆるカバー際がレッドカブ場。
ちょっとした隙間にも入れてOK
オーバーハング、マットカバー、レイダウン、杭など、いろいろなカバーの横を通していく。引く距離が短くても、積極的にいろいろな場所に入れていきたい。オーバーハングの奥の奥に入れて引いてきたり、カバーのポケットに入れて数回アクションさせて回収という使い方もありだ。



レッドカブのブラックカラー、フェザーフックチューンでキャッチした1尾。レイダウンの傍に入れて、着水後、巻き始めと同時くらいでヒットした。
井佐「ブラックボディ、ブラックブレードは差が出ることがあるので、ぜひ使い分けてもらいたいです」


取材では井佐さんと横井さんで1日レッドカブを投げ切った。夕方、横井さんが45アップをヒットさせるも、船縁で無念のフックオフ。
横井「すいません、やっちゃいました…。井佐さん、あとは頼みます!」
スケジュールの都合上、井佐さんのみでDAY2ロケを敢行。
ラインはナイロン、リールはギア比7まで
井佐さん横井さんとも、メインタックルにはナイロン16〜20lbを使用し、これが標準だ。
井佐「フロロカーボン16lbでもOKです。ギア比は高すぎないほうが好みです」。
横井「PE5号・ナイロンリーダー20lbで、狭いカバー際に入れていく釣りもしました。フロッグのようなイメージの使い方ですね」
着水後からの巻き始めでルアーが吸い込まれる
オーバーハングのシェードになっている部分に入れ、着水後の巻き始めでバイトするというのがこの日のパターン。
井佐「ルアーをちゃんと追いきれない、まだアフターっぽい食い方ですよね。ステイ時にブレードが垂れ下がっていて、これがバスに視覚的にアピールしてくれているのかも知れません」
将監川のクセをとてもよく理解している井佐さん。
「この状況で出ないハズはない」という言葉通り、夕マズメで連発。
井佐「レギュラーサイズも釣れますが、出れば基本サイズがいいのがレッドカブですよ」
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