
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は待望の新作ロッド、「ACES」の細かい調整と、大注目の「スーパーバイブレーションスカート」のテストの模様をお届けします!
●文/写真:大津清彰
今回は利根川へ、新作ロッドとルアーのテスト!
利根川
相変わらず、腰椎椎間板ヘルニアからは回復せず。悪化もしていませんが、改善もしていない状態・・・。腰椎椎間板ヘルニアから来ている、坐骨神経痛によって太もものしびれ&痛みがひどく、夜も寝られない感じです。寝ても痛く、座っても痛い。
といっても、ずっと安静にしていては筋力も落ちるので、リハビリ目的で利根川へ行った次第です。準備は1.5倍大変…湖上のパフォーマンスは3割減といった感じでしたが、特に問題なさそうでよかったです。今後、少しずつ現場には出ていこうと思います。
テスト内容としては、ロッドのテストとルアー各種、あと、試したかったスーパーバイブレーションスカートを搭載したジグ(トレーラー無し)。ロッドに関しては、来年発売される新機種ACESの細かい調整ですね。
新ACES
少しこのロッドの話をしましょう。このロッド、メインマテリアルはトレカT1100G+ナノアロイ®で構成されています。何故ならそれが現在世界最高のマテリアルだと考えているからです。もう漲るパワーと強さ、素材の安定感が別次元。
ただ、トレカ系はいわゆる低弾性系のカーボンがなく、この素材だけでロッドを作ろうとすると、かなり硬いロッドに仕上がります。その硬さをどうやってマイルドに落とし込んでいくかが難しいのですが、今回はここで別途しなやかにするために中弾性のカーボンをミックスしています。
これ自体はよく行われる手法で、考えて設計しているメーカーは当然そうなっていくはずです。しかし、最高のカーボンマテリアル、トレカT1100G+ナノアロイ®を使用していてもそれに混ぜる(補強する?)中弾性が平凡なカーボンで意味があるのか?という点に着目してこのACESは作られています。
つまり、トレカT1100G+ナノアロイ®を活かすために、さらに使用するロッド構成素材全てを見直すことになったのです。この秘密の中弾性素材(この素材は様々な硬さが存在する)が別次元。この素材を使用することで、かつてない粘り強さと超感度、漲るパワーも持つブランクスを仕上げることが可能となったのです。
また、実はこのACESはチタンガイドを採用しておりません。ステンレスSiCガイドを採用しています。これはかなり悩んだ点でした。通常、ルアーを投げやすく、シェイクしやすくしなやかにしていくにはロッドを少し重く仕上げます。
色々な方法がありますが私なら普通しなやかに曲げるためには、ブランクスそのものを密に巻くことで仕上げます。そうすると、ブランクス自体の良さも際立ってくるからです。今回は異なり、ガイドの重さで軽いロッドを曲げる方法をとりました。
この方法は他社も行っていますが・・・トレカT1100G+ナノアロイ®を使用したブランクスは軽く・強く・高感度に仕上がっていくのですが、さらに密に巻いてしまうとさらに硬くなってしまいます。それがマイナスに働いてしまう。硬すぎるロッドは使用するリグにもよりますが、今回の新ACESのコンセプトである、投げる・掛ける・操るという中では、マイナスに働きます。
つまり、ブランクスを活かすために重いガイドを採用しているのです。ちなみに感度面ではステンガイド、チタンガイドの差は、ブランクス素材の差ほど大きなものにはなりません。ブランクスのほうが重要度が高いです。当然、チタンガイドとステンレスガイド、同じブランクスで使用してみましたが・・・。今回のロッドコンセプトの中ではステンレスガイドのほうが良いと判断しています。
ガイド設計
なお、このブランクスを活かすために、ガイド設計も変更しました。新設計です。あと、ロッド作りにおいて重要なのは「職人技」です。
例えば同じ料理を作るために食材があるとして、素人とプロ、同じ味に仕上がるでしょうか?実はロッドも同じで、最後は職人技で決まるのです。このロッドは、私が考える世界最高の工場で作られました。
私がそうしたかったので。そのために、この新たな工場と契約を締結することになりました。この1本に関しては、私が最高の素材をイチから考え、設計、テストした妥協のない最初の一本です。LINKS等では価格面で妥協しなくてはならない面がありますが、今回は違います。
過去のfenwick、何に似ているかと言うと、PMXになるでしょうか?PMXのブランクスがもっと軽く、それでいてしなやかで超感度。そんな感じの仕上がりです。
「このコンセプトで作るには、現在これ以上は無い」。私が考える、最高傑作の一本に仕上がったと思います。人馬一体、最高のスポーツカーに乗っているかのようなフィーリング、ぜひご堪能ください。
コードネーム
このロッドのコンセプトはまた後日・・・。
さて、今回のもう一つの研究アイテムだったスーパーバイブレーションスカートを搭載したジグ(トレーラー無し)。
タクジグ+スーパーバイブレーションスカート
結果はすぐにでました、泳ぎが秀逸!これ、試しに食感を上げるために少しワームの切れ端をつけてみたのですがダメですね、動きが死ぬ。やはり何もつけない方が良い。※もちろん状況によると思いますが。
現物
ただ巻きとジグストで使用しました。確かにワームがついていた方がスキッピングはしやすい。しかし、スイムジグのように速巻きしつつ、場所によってはジグストする場合、このほうがいいかも。こちらはもう少し研究してみます。
食べていた手長エビ
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
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