【ドクター小野寺】救急医、福江島に移住して遊漁船を立ち上げる。夢の果てまで

暇を見つけては釣りを嗜んでいる救急医・小野寺良太さん。釣り好きが高じて、五島列島福江島で遊漁船を開業することとなった経緯。それと師匠からの助言をもとに、右も左もわからず船を購入するまでの悩みをリアルにお伝えします。遊漁船に描く思いの一部始終をご覧ください。

●文:ルアマガプラス編集部

夢の実現。遊漁船開始!

前回の投稿からかなりの時間がたってしまいましたが、編集の方には気にかけてもらっていて、また連載をさせていただくことになりました。

小野寺良太さん。

北海道から仕事の関係で青森に移り、津軽海峡でマグロ釣りを学び、その後、偶然が重なり、五島列島福江島で『遊漁船Reeltime』を2026年3月から開始することになりました。詳細はインスタグラムで確認をお願いします。

小野寺さんの『遊漁船Reeltime』。

今回の連載では、遊漁船を開業するにあたった経緯や、五島列島での生活を中心に書いていけたらと思っています。

救急医、船を購入する編

6年ほど通い続けた福江島での最後の釣行中、勇退する船長(今では師匠と勝手に呼んでいる)から言われた、「それならこっちに船をおけば」という言葉を真に受けてから一ヶ月後には、船を購入することを決意した。

小学生のころから父親の影響で釣り船に乗っていた(ちなみに酷く船酔いする)。いずれは遊漁船の船長をやりたいと心のどこかで思っていたようで、しかもそのフィールドは釣り人の聖地とも呼ばれる五島列島。

その言葉を聞いたとき、すべてがつながり、意識する間もなく、身体と心が次の目的地をすでに決めているような感覚だった。

とはいえ、いきなり大きな船を購入する度胸も資金も知識もなく、とりあえず船長のアドバイスのもと25フィートの船外機を探すことに。

これまで福江島では大きな船でしか釣りに行ったことがなく、大丈夫だろうかとも思ったが、もともとその船長も小さい船に乗っていた経験があり、「十分楽しめるよ」とのことだった。

それに加えて、以前勤務していた青森から通っていた津軽海峡では、船外機をぶっ飛ばしてマグロを追いかけ回す小型船での釣り経験もあり、「まあ大丈夫か」ということで、船を探しはじめることになった。

右も左もわからない、船の世界。とりあえずネットで船を探し始めると、数多くの船が出てくるが、何が何だかまったくわからない。

日本の有名メーカーのものから個人造船、海外艇まで、同じ大きさで20万円で買える船もあれば、1000万円を超える船もあり、何がどう違うのか正直見当もつかなかった。

くじけそうになり、五島の船長に聞いてみると、「名船」というものが存在することがわかった。名船というのは非常に値が高いが、すぐに売れてしまうとのことだった。

そしてその名船というのが何なのかをネットで探すことは、かなりの困難を要した。同時に、中古艇においてはエンジンがとても大事であることも学んだ。中古艇はエンジンがすべてといっても過言ではないくらい、船の命そのものだそうだ。

小野寺さんが購入した「明後日丸」。

いろいろ話を聞くうちに、わかったような気になり、また調べ始めると、ひとつの個人造船の船に行き着いた。予算内に収まり、エンジンも新しそうで、画面上ではとてもかっこよく見える船だった。

ちなみに、福江島での最後の客としての釣行は、5日間ノーフィッシュという船記録を更新して終了した。もし、あの釣れない絶望的な時間がなければ生まれなかった会話だと思うと、なかなか人生は面白いなと感じてしまう。

船長の名誉のために言うが、事前に「釣れないよ」と言われたうえでの出船だったので、さすがとしか言いようがない読みだった。

小野寺良太(おのでら・りょうた)
1987生まれ、名古屋出身。現在、北海道札幌市在住。ER型の救急医として活躍する傍ら、休日をほぼ釣りに費やしているツワモノ。日本中でライトなエサ釣りから大物釣りまで何でもこなすマルチアングラー。好きな釣りは、鮎釣り・しゃくり棒を使ったサクラマス釣り・カンパチジギング。座右の銘は「行ってみる、やってみる」。

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