
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は待望の新作ロッド、スーパークリッタースティックを大解説!大津さんの考える「良いロッド」とは?マテリアルや新設計のガイドセッティングに加え、ロッドの可能性を引き上げる「職人技」にもこだわりぬいた制作秘話をお届けします。
●文/写真:大津清彰
スーパークリッタースティック(ACES-CT 61SULP+J ) を大解説!
スーパークリッタースティック
このロッドは「ひと振りでfenwickの歴史すべてを語る」
フェンウィック エイシス ACES-CT61SULP+J “Super Critter Stick”
価格:¥63,000(税込:¥69,300)
全長:6’1″
ライン:2-5lb.(PE#0.2 – 1.5)
ルアーウェイト:1/64 – 1/8oz.
アクション:MF(ミディアムファスト)
使用材料別名称:カーボンロッド
標準自重:87g
適合ルアーウエイト:0.45 – 3.5g
私にとってfenwickとは何だろう?と考えた時、そのテーパーデザインは投げる・誘う・掛けるという釣り竿の基本要素を重要視すべきという思想があります。したがって、最上位機種だからといって、安易に軽さや感度を引き上げるだけでは最高のロッドとしての条件を満たしていないと考えています。
今回のスーパークリッタースティックは従来のクリッタースティックのコンセプトを引き継ぎ、さらに磨き上げたロッドだと考えてよいです。使ってみれば一目瞭然。クリッタースティックとスーパークリッタースティックは、「同じなのに全く違う」不思議な感覚に襲われると思います。
むしろその感覚をぜひ味わって頂きたい。ハンドルを握った瞬間、ファミリーカーがF1マシンに変わったかのような、研ぎ澄まされたレスポンスに驚くはずです。
こだわりのマテリアル
fenwickは、その歴史の中で様々なマテリアルに挑戦してきました。ロッド作りの中で、最良の素材と考えられるものを時代と共に採用し続けてきたのです。このスーパークリッタースティック、メインマテリアルは「トレカT1100G+ナノアロイ®」で構成されています。
なぜなら、それが現時点で世界最高のマテリアルだと考えているからです。漲るパワーと強さ、そして素材の安定感が、これまでのものとは別次元です。簡単に説明すると、 トレカT1100Gは炭素繊維そのものを強化したもの。
これまで困難と考えられていた「より硬くて強い」炭素繊維。
ナノアロイ®というのは、釣り竿に含まれる接着剤、レジンが進化したものです。
ただ、この 「トレカT1100G+ナノアロイ®」だけでロッドを作ろうとすると、どうしても全体的に硬いロッドに仕上がってしまいます。その硬さをいかにマイルドに落とし込んでいくか?一般的には、 トレカ®T1100G&ナノアロイ® のほかにそれよりも弾性が低いカーボンをミックスしてしなやかさを出しますが、ここで妥協はできません。
「最高の素材に、平凡な中弾性素材を混ぜて意味があるのか?」そう考え、トレカ®T1100G&ナノアロイ® を活かすために合わせる素材もすべて見直しました。そこで採用したのが、秘密の中弾性素材です。
この素材によって芯の詰まったブレのない、そしてしなやかで粘り強く超感度を併せ持つブランクスが可能になったのです。また、実はこのACES、あえてチタンではなく「ステンレスSiCガイド」を採用しています。
ガイド
かなり悩んだ点でしたが、理由は「ロッドの曲がり」にあります。トレカ®T1100G&ナノアロイ® のブランクスは軽く、高感度に仕上がりますが、その分、反発が強く硬くなりやすい。
そこで、ガイドの適度な自重を利用してロッドを曲げる、という手法を取りました。1インチ長くなっているのも、その点が理由です。「投げる・掛ける・操る」というコンセプトにおいて、軽すぎて硬すぎることはマイナスになります(ちなみに感度面では、素材の差ほどガイド素材の差は出ません。コンセプトに合致したのはステンレスだった)。
さらに、このブランクスを活かすためにガイドセッティングも新設計しています。
ロッドの真価を引き出す「職人技」
そして最後に重要なのが「職人技」です。料理と同じで、最高の食材があっても、最後に味を決めるのは作り手の腕です。だからこそ、私が「世界最高」と認める工場と新たに契約し、製造を依頼しました。
LINKSなどの普及価格帯ではコストの制約がありますが、この1本に関しては一切の妥協がありません。スーパークリッタースティックのイメージとしては、かつての「テクナPMX」のブランクスをもっと軽く、しなやかで、超感度にしたような仕上がりです。
芯の詰まった感覚は、このスーパークリッタースティックのほうが上でしょう。「このコンセプトで作るには、現在これ以上は無い」 そう断言できる、私の最高傑作になりました。
つまるところ、「良いロッド」とは感覚の世界であり、個人の好みの領域かもしれません。しかし、Fenwickの過去を振り返ると、そうした個人の好みを越えた「名竿」や「シリーズ」が確実に存在します。私の中にも、それらに対する共通した感覚が存在します。
それは、「ついつい手が伸びるロッド」であるということ。これこそが良いロッドの条件であり、単なるスペックや感度では語れない部分です。私にとって、このスーパークリッタースティックは、まさに「迷った末についつい手が伸びるロッド」。これから10年は手放せない相棒になるでしょう。皆様にとっても、きっとそうなると確信しています。
最高のロッドです
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
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