「五島の海を舐めるな」“救急医”が船を購入するも、師匠からまさかのダメ出し。遊漁船立ち上げまでの道のりを振り返る。【ドクター小野寺】

暇を見つけては釣りを嗜んでいる救急医・小野寺良太さん。釣り好きが高じて、五島列島福江島で遊漁船を開業することとなった経緯。それと師匠からの助言をもとに、右も左もわからず船を購入するまでの悩みをリアルにお伝えします。遊漁船に描く思いの一部始終をご覧ください。

●文:ルアマガプラス編集部

船購入!夢への第一歩だが…。

前回は五島列島で遊漁船を始めることを決めるまでの話を書きました。今回は実際に船を見に行き、購入を決断するまでの話になります。

五島列島福江島で、遊漁船Reeltimeを2026年3月から開始することになりました。詳細はインスタグラムにてご確認ください。

今回の連載では、遊漁船を開業するに至った経緯や、明後日丸購入の経験、五島列島での生活を中心に書いていけたらと思っています。

試乗に向かう

遠方にある船だったため、休みを利用して実際に見に行くことにしました。見に行かなければ分からない。そう思った時点で、気づけば予定を組んでいました。

昔、初めて釣り遠征に向かった時のようなワクワク感が、この日にはありました。大型魚を追いかけて船に乗り込んだ、あの頃の感覚に近かったのかもしれません。

マリーナに到着し、陸上に保管されている船とご対面。率直な感想は、「思っていたよりもかっこいい」「意外と大きいな」というものでした。後になって気づいたことですが、陸に上がっている船は、海に浮かんでいる時よりも1.5倍ほど大きく見えます。

普段は水中に沈んでいる部分まで見えるわけなので、こうした発見も新鮮でした。

一通り質問をした後、試乗へ。試乗は多くの場合有料で、1万〜2万円ほどかかることが多いようです。

実際に乗ってみて分かったことは、正直なところそれほど多くはありませんでした。加速もしっかりしていて、悪くない。そんな印象です。

試乗後は、ローンの種類や五島列島までの船の輸送費などをいくつか質問し、その日は解散となりました。初試乗の印象は、船の知識にあまりにも乏しかった私からすると、「大きさ」と「見た目」の確認、そして「なんとなくエンジンは大丈夫そう」と感じた程度でした。

こんな感覚で買ってしまって本当に大丈夫なのだろうか、という不安が強くなったのも事実です。

勢いの購入

帰宅後も数日間、他の船を探しましたが決め手に欠けました。一方で、試乗した船には次の見学者が控えており、早く決めてほしいと急かされる状況でもありました。

このままでは熱意が冷めてしまい、次に進めなくなるかもしれない。そんな危機感もあり、思い切って購入に踏み切ることにしました。まさに「鉄は熱いうちに打て」。勢いのままの購入でした。

艤装という楽しみと現実

船の購入が決まり、次に考えなければならなかったのが艤装でした。この艤装を考える時間は、実に楽しいものでした。小学生の頃から遊漁船に乗り続けてきたこともあり、アイディアは次々と湧いてきます。何枚も図面を書いては、師匠に見せる日々が続きました。

ただ、ここで大きな問題がありました。自分では悪くないと思っていた案も、師匠から見ると「実務面や安全面がまったく考慮されていない」というものでした。

レールをつければ安全だと思っていましたが、耐久性が保証されない位置に取り付けられたレールは、逆に危険になることもあるそうです。釣り人がレールを頼りすぎた結果、船縁からもげてしまうケースもあるとのことでした。

特に五島の海域は荒れることが多く、「五島の海を舐めてはダメだよ」と師匠は言いました。

さまざまなアドバイスを受けた結果、艤装はとてもシンプルな形に落ち着きました。船の前方と後方にレールを設置し、胴の間にはあえてレールをつけない構成です。

一通り、艤装はここで決まりましたが、お話が長くなりますので続きは次回の記事をお待ちください。

小野寺良太(おのでら・りょうた)
1987生まれ、名古屋出身。現在、長崎県五島市・福江島在住。。島で救急医としての知識と経験を生かし、離島医療にあたっている傍ら、釣り好きが高じ、福江島で遊漁船「Reeltime」を開始するツワモノ。好きな釣りは、鮎釣り・しゃくり棒を使ったサクラマス釣り・カンパチジギング。座右の銘は「行ってみる、やってみる」。

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