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歴史と自然が深く交差する~聖地水辺巡礼~【鹿島槍ガーデン】

本や雑誌、テレビで幼少~青年期に受けた鮮烈な「体験」。釣りという能動に刻まれた原点に還るべく訪れたのは長野県。脳裏に焼き付き憧れた鹿島槍ガーデンへ、釣りと旅を愛する本多智紀さんが訪れた。強烈な釣りの「原体験」を再生する旅へ…。

●文:ルアマガプラス編集部

本多智紀

ほんだ・とものり/幼少から千葉・茨城でバスに親しみながら、北海道道東の自然でも釣りまくる。プロダクトデザイナーとしての知見を生かし、カルテラスを発足。オリジナリティ溢れるアイテムと味わい深いデザインでファンを魅了する。

ミラクルジムとモンスターと。憧れの水辺へ

 北海道道東や茨城県のフィールドがDNAに刻み込まれた本多智紀さん。そんな本多少年を夢中にさせたのは…。
「村田基さんですね。小中学生のころ潮来つり具センターで村田さんによるキャスティング講習会があって、兄弟と何度も通っていました。とにかくベイトリールにものすごく憧れていて」。
 テレビの中の村田さんは輝いていた。
「世界をまたにかけて、いろんなターゲットを釣る姿に痺れましたね。素直に自分も釣りたい! と夢見るようになって」。

めったにお目にかかれないほど健康的なビッグレインボー。北海道でワイルドレインボーを長年釣ってきた本多さんにとっても、驚くほどのコンディション。取材という「業務」ではあるが、心から楽しめた1本だ。

 そこから自分も世界でモンスターを追うようになったのはまた別の話。村田さんのトラウトに立ち向かうシーンが記憶に刻み込まれているという。
「巨大なレインボートラウトだけでなく、ブラウンやイトウといったサカナに目を奪われました。こんな場所が日本にあるのか! という感動もありましたね」。
 そして本多青年は夢の地、鹿島槍ガーデンを訪れることになる。
「正直、右も左も分からず釣ってましたね。それでもミノーでイトウやブラウンを手にできた感動は今でも覚えています」。
 今度は取材を通して鹿島槍ガーデンの魅力に迫ってみたい。それも自分のスタイルで、等身大で…。編集部はそんな本多さんの大いなる野望を含んだささやかな申し出を受け、現地へ取材をオファー。快諾を頂き、本誌初となる鹿島槍ガーデンロケがスタートした。

管理棟の壁一面に「村田基×鹿島槍ガーデン」ミュージアムよろしく写真がずらり。こんなモンスターが釣れる。それも最高の環境で…。 [写真タップで拡大]

取材チームの強力な助っ人として駆けつけてくれたのは、村田さんとも関係の深い北沢孝之さん。釣りがしやすいよう、取材が円滑に行われるよう腐心していただいた。 [写真タップで拡大]

取り決めで放流はされてないのだが、高級ブランド鱒『信州サーモン』も育てている鹿島槍ガーデン。 [写真タップで拡大]

冷凍の刺し身パックは驚くほど美味! 本田さんはイワナの一夜干しパックも賞味。「味の濃厚さと身のクオリティが凄い!」。 [写真タップで拡大]

今回、グッドサイズが連発したのはブラウントラウトだが、これはまだ序の口サイズ。巨大なイトウも悠々と泳いでいた。また鹿島槍ガーデンでは、イワナやアメマス、サクラマス、ロックトラウトなど10種類を超えるターゲットが遊んでくれる。

今日のサカナの速度は?自分だけの「1本」に迫る時間

今日はブラウンの日。しかも良型!「いつもウルキのゆっくりした展開が多かったんですが、今回はチェプラムを試してみたかった」。チェプラムの強波動かつスローな泳ぎに、直下からブラウンが急襲するパターンに!

 以前の鹿島槍ガーデンは、水草が濃く『難攻不落』のイメージが強かったと本多さん。
「自分でルアーを開発するようになって、低比重のルアーをウィードに乗せたり滑らせたり、水草のエッジで誘ったりできるようになった。そこからコンスタントに釣れるようになりましたね」。
 鹿島槍のサカナたちと真剣に遊びたい。だが、取材当日はガラリと状況が一変していた。ルアー専用の3号池で釣りを始めたのだが前日まで続いた雨が招いたのか、水温は低く白ニゴリが広がっていた。派手なカラーでテンポよく探っていく本多プランは修正を迫られていた。

ニゴリが入り魚影がサイトできないが、地形や障害物、水深変化をイメージしながらチェプラム40で探る。「何度か食い直すサカナもいましたが、まれ。だいたいはドン!と一発出て終わり。波動でスイッチを入れて急浮上させるイメージ」。

 まずは波動の強いチェプラム40で表層を手早く探っていく。チェイスはあるが、あとひと息というところで終わってしまう。そこでスローに引けるウルキにコンバート。その1投目でヒット!
「サカナの『歩く』スピードは遅めですね。これなら…」。
 再びチェプラム40にシフトする。ウルキで判別したスピード感で巻いてみる。レンジは表層。目視できる魚影はいない。ゆらり、ルアー直下に影が現れたと思うと急浮上で食い上げてきた!
「いいブラウンですね!」。
 これが今日のテンポとなった。水温は上がらずニジマスの活性は低いが、このスピードならブラウンが反応してくれる。
「タフだけどワンチャンある状態って感じですね。ニゴリや水温の影響はあるでしょうが、僕はあまり気にしない。『このルアーで、自分のサカナを出したい』という釣りなら、むしろタフな状況の方が楽しめる。渋い日に飛び出す1本って、だいたいデカいし記憶に残る」。
 午後になっても気温も水温も上がらない。そんな楽勝モードとはほど遠い中で、70センチに迫るブラウンを獲った本多さん。タフなコンディションで、自分らしい1本を…そんな「モンスター」と出会えた日だった。

チェプラム40とウルキのローテーションで探っていく。ニゴリがあるから波動の強いチェプラムで…とスタートしたが不発。ウルキで「当たりスピード」が判別し、それをチェプラムに戻してみると連発へ!  こんなローテーションもある。

ナナマル級のブラウン仕留めたり!「完全に底のニジマス狙いでしたが、でかブラウン。岩に巻かれそうになるし、かなり心臓に悪いファイト(笑)」。前半の連発パターン・チェプラムから、パラトTypeHV4.8グラムのボトムにシフトし、見事サイズアップ!

鹿島槍ガーデン使用タックル


●ロッド:オーバーシーズ58(カルテラス×ツララ)
●リール:SS AIR TW(DAIWA)
●ライン:オールマイト0.4号(サンライン)
●リーダー:ソルティメイト スモールゲームリーダーFCⅡ5ポンド(サンライン)

●ロッド:クプアス48(ボンバダアグア×ツララ×カルテラス)
●リール:カルカッタコンクエストBFS HG(シマノ)
●ライン:トラウティストエリアNY3.5ポンド(サンライン)

●ロッド:オーバーシーズ58(カルテラス×ツララ)
●リール:ヴァンキッシュC2000S(シマノ)
●ハンドル:エアーステア40ミリ・アイアームプラス(ドライブ×カルテラス)
●ライン:オールマイト0.4号(サンライン)
●リーダー:ソルティメイト スモールゲームリーダーFCⅡ 5ポンド(サンライン)

鹿島槍ガーデン使用ルアー

●パラトTypeHV4.8グラム(カルテラス)ずっとベイトタックルメインで通してきたが、一旦スピニングに持ち替える。狙いはボトムのニジマス。ボトムを取ったら、そこからリフト&フォールか完全放置。冬場のメソッドを投入。すると…70センチクラスのブラウンが!!

強波動タイニーミノー×2フック樹脂スプーン

【チェプラム40F】ウォブリング主体のブリブリとした泳ぎを見せるチェプラム。まるで往年のバルサミノーのようだ。今回は、波動を生かしたフローティングモデルの40Fを使用(シンキングの40Sもあり)。またバリエーションとして60サイズも展開。ソルトカラーではトレブルフックを装着している。●全長:42ミリ●自重:2.2グラム(F)、2.5グラム(S)

【ウルキ70】本多さんいわく「ミノー」。ただ巻きだけでなく操作系としても優秀な樹脂製スプーンだ。2フックだがフックが上向きなので、ボトムやウィードで放置しても根がかりしづらい。今回投入したのは70サイズ。全4サイズで、40、50、60もラインナップ。●全長:70ミリ●自重:4.5グラム

 その姿、ずんぐりとして小粒な仕上がり。チェプラム40は至ってノーマルなミノーなのか…。
「チェプラムは全長40ミリとエリアミノーなサイズ感ですが、ボディはファット。浮力を最大限持たせています。クランクベイトのような強いウォブリングを見せながら、ミノーのように泳いでくる」。
 このルアーが生む波動が、この日の鹿島槍ガーデンにハマった。
「元々マッディなフィールドでも、ルアーの存在をサカナに分からせるのは『波動』。スローでも波動を出せるルアーは少ない。チェプラムは今回のような白濁化したコンディションでも心強い存在感がありました」。
 チェプラムの強波動に側線を刺激された肉食魚が、目視不可なレンジから急襲し丸飲み。そんな場面にも出くわした。
 一方ウルキは70ミリという大きめなボディながら、ソリッドな樹脂でできたスプーン型のルアー。カウントダウンで沈み込み、ボトムから表層まで使えるオールラウンダーだ。
「レンジも自在、スピードも自由なので今回の『スロー』という正解をウルキで導けました。チェプラムに食い切らない最初の状況で、ウルキに変えたら一発」。
 速すぎないスピードにピントを合わせ、ニゴリの見えないレンジからブラウンを浮かせて獲る。
「今日はサカナに合わせたルアースピードで獲っていく日。それがレンジの日もあれば、カラーの日もある。これがエリアトラウトの醍醐味のひとつですね」。

長野県 安曇野の旅

 鹿島槍ガーデンが所在するのは、長野県大町市。その南に広がる松本盆地の一部が、安曇平。年間通して水温13度という清冽な北アルプスの雪解け水のめぐみを受け、さまざまな特産品が存在。一般道を馬も散歩する(!?)、のどかな自然と人里が融合する。果樹の栽培も盛んで、りんご農園もよく見かけた。

葡萄酒(ワイン)

旅の醍醐味といえば地酒! 日本酒の有名な酒蔵も多い地域だが、本多さんが訪れたのはワイナリー。日本酒や紅茶にも造詣が深い本多さんだが、ワインも嗜む。この安曇野ワイナリーはさまざまなワインを自家生産しているだけでなく、ヨーグルトドリンクも生産している。
住所:長野県安曇野市三郷小倉6687-5

ワイン樽が並ぶ貯蔵庫に入ると、木の香りとワインの芳香が。「樽を丸ごと持って帰りたいですね(笑)」。 [写真タップで拡大]

5種類のワインを飲み比べ。そこで思わず買ったのが白ワイン『ボー・ブラン2023』。赤ワイン用のぶどうで作ったパンチのある逸品だ。「サカナに合いますね。グリルできる釣り場で、釣ったサカナを焼きながら飲みたい」。 [写真タップで拡大]

山葵(わさび)

夏でも13度を保つという北アルプスの水の恩恵を最大限受けているのが、安曇野のわさび。平野部でわさび田が見られるのは安曇野くらいか。「大王わさび農場」は大規模な農園で観光化されていて旅行客で賑わっていた。
住所:長野県安曇野市穂高3640

敷地内はまるでわさびのテーマパーク! 散歩がてら敷地をあるくと超大型のトラウトを放流したポンドも存在。「もちろん釣りは不可です(笑)」。

わさびソフトクリームに挑戦!ソフトクリーム自体は、わさびが香る程度だが別添えのわさびはしっかり辛い。 [写真タップで拡大]

長野特産のおやきにも、わさびをあしらっていた。美味! [写真タップで拡大]

蕎麦(そば)

大のそば好きで日本各地のそばを味わってきた本多さん。安曇野は長野の蕎麦粉と清い水から打つ本格派のそばで有名。麺切れでランチも途中営業停止になる店もあるほどだ。訪れたのは「そばの庵 はや田」。
住所:長野県安曇野市堀金三田小田多井270

十割そば、二八そば共に香り高く透明感ある仕上がり。質もすごいが量もあり、二人前ほど盛りつけられ、しっかりと堪能できた。 [写真タップで拡大]

釣りの帰りも、そば! ということで「そば処いろり」へ。鹿島槍ガーデンから車で10分ほどの距離。腹ぺこに嬉しい丼モノのセットに舌鼓。住所:長野県大町市温泉郷2811 [写真タップで拡大]

原始的で強烈な釣旅体験。原点を見いだす、強い釣りと大型鱒族

 峻烈な流れを見せる鹿島川。その水が育む鱒族たち。まさに旅と釣りが交錯した時間だった。
「大型のカッコいいサカナを釣りたい人だけでなく、数釣りを楽しみたい人、美味しいサカナを釣りたい人も満足できる釣り場でした。サイズのみならず、こんな良コンディションのサカナが釣れるポンドって、本当に少ない」。
 急なニゴリといった状況変化もあったが、それさえも…。
「むしろサカナをだましやすくて、楽しかったですね。完全クリアウォーターでの面白さもありまが、ラインを見切られないとか、地形や岩から居場所を推測して釣るとか、ニゴリのゲームを満喫できました」。

 本多さんが特に感じたのは、大きなサカナがもたらせてくれる『リセット感』だという。
「エリアトラウトにちょっと飽きてきた人とか、スランプになっている人に是非訪れてみてほしいですね。レギュレーション内の太めのラインと大きめのルアーで、『強い釣り』の楽しさを味わってみてほしい。エリアトラウトのルーティンや閉塞感を、打破してくれる楽しさがきっとあります」。
 強い釣りの爽快感とビッグファイトの緊張感。そしてランディングできたときのカタルシス。そういった「記憶に残る1尾」と向き合う時間が、釣りなのだろう。
 また行きたいですね、と語るその顔は幼少期の興奮を帯びている。憧れと癒やしの聖地巡礼は、新鮮な釣りの感動に満ちていた。

フィッシングランド鹿島槍ガーデン

北アルプスの雪解け水をふんだんに供給される鹿島槍ガーデン。ニジマスだけでなく様々な種類の鱒族を、ヘルシーで筋肉質に育てあげている。降海型オショロコマ(ドリーバーデン)を本州で釣れるのはココだけ。オフィシャルHPはこちら

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