
夏の海では、色鮮やかな貝殻を見つけることも珍しくない。綺麗な貝を拾って持ち帰る人も多いだろう。しかし、海岸で見つけた貝のなかには、不用意に触ると危険なものが存在する。
●文:ルアマガプラス編集部
美しい模様を持つ「イモガイ」
イモガイは、主に暖かい海域に生息する巻き貝の仲間。その殻には独特の模様や色彩を持つ種類が多く、貝殻を集める人からも人気がある。
しかし、イモガイのなかには獲物を捕らえるために毒を持つ種類が存在する。その毒を注入するために使われるのが、口の中にある「毒銛(どくもり)」とも呼ばれる歯舌歯だ。
見た目は美しい巻き貝だが、種類によっては強力な毒を持っている。なかでも「アンボイナガイ」などは、イモガイ類のなかでも特に危険な種類として知られている。
「貝だから大丈夫」は危険
イモガイで特に怖いのが、見た目の印象と危険性のギャップだ。海岸で綺麗な貝殻を見つければ、思わず手に取ってしまう人もいるだろう。
しかし、生きているイモガイを不用意に握ったり、ポケットに入れたりするのは避けたい。
京都大学のフィールド調査向け安全資料でも、アンボイナなどのイモガイ類について、鋭い歯舌によって毒を注入する可能性があるため、該当する種類を手で長く握ったり、ポケットに入れたりしないよう注意を呼びかけている。
さらに厄介なのが、刺されたときに強い痛みを感じない場合があること。
沖縄県警察によると、アンボイナガイは刺されても痛みがほとんどないことがある一方、すぐに体がしびれ、溺れる危険性もあるという。
実際に死亡例も
「貝に刺されるだけなら大したことはない」と考えるのは危険だ。
1984年に発表されたイモガイ毒に関する研究では、1982年までに世界で確認されたイモガイ類による刺傷55例のうち、21例が死亡例だったと報告されている。
なかでもアンボイナガイ(Conus geographus)は特に危険性が高く、同研究では確認された死亡例21件のうち18件がこの種によるものだったとされている。
もちろん、すべてのイモガイが人間にとって同じ危険性を持つわけではない。
しかし、海岸で見つけた貝を見た目だけで「安全」と判断するのは避けたほうがいいだろう。
海で綺麗な貝を見つけても…
イモガイ類は、沖縄などの暖かい海域を中心に生息している。
釣りや磯遊び、海水浴などで海岸に出かけた際、特徴的な貝を見つけることがあるかもしれない。そんなときに重要なのは、「綺麗だから」といって不用意に触らないこと。
特に、生きているかどうか分からない貝を手に取るのは避けたい。もし危険な生物に刺された、あるいは咬まれた可能性がある場合は、ためらわず救急要請を行い、医療機関を受診することが重要だ。
海には、見た目からは危険性が分からない生物が数多く存在する。
「綺麗な貝=安全」とは限らない。
海岸で見つけた貝は、まず遠くから観察する。それくらいの意識を持っておいたほうがいいだろう。
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