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「見かけても絶対に近づくな」突然”爆発”する座礁クジラの危険性と原因とは?

毎年、世界中の海岸でクジラやイルカの座礁が報告されている。日本においても年間100頭から300頭近くのストランディング(座礁・漂着)が発生している。この痛ましい光景はニュースなどで報じられることも多く、多くの人々が関心を持つ。しかし、その原因や対処法については十分に知られていない場合が多い為、この記事を読んで参考にしよう。

●文:ルアマガプラス編集部

クジラの座礁が起こる要因

クジラが海岸に生きたまま乗り上げ、自力で脱出できなくなる現象を「ストランディング」と呼ぶ。その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っている。

海岸で見かけても絶対に近づくな。

地形や環境の要因

  • 浅瀬や複雑な海岸線、特に半島や岬の先端などでは、クジラのエコーロケーション(反響定位)能力が正常に機能しにくくなり、方向感覚を失うことがある。
  • 干潮時に潮が急激に引く場所では、クジラが海に戻る時間を失い、陸に取り残されてしまう場合がある。
  • 病気や怪我、老齢、難産などにより体力が低下した個体は、波に逆らえず岸に流されたり、方向感覚を失って浅瀬に迷い込んだりする。
  • 餌を追いかけることに夢中になったり、シャチなどの捕食者から逃げたりするうちに、誤って浅瀬に侵入し座礁することもある。シャチは意図的にクジラを座礁させて捕食することもあるという。
  • 海流の誤認も原因となる。暖流と寒流がぶつかる「亜寒帯収束線」で冷水塊に閉じ込められることで、大量座礁につながるという仮説も指摘されている。

自然現象・磁気嵐

  • クジラの座礁は、しばしば地震の前兆として語られることがあるが、科学的にはその因果関係は証明されていない。過去の大地震の前に座礁が報告された事例は偶然の一致であり、「認知バイアス」によって過度に結びつけられている可能性が高い。
  • クジラが持つとされる磁覚(地球の磁場を感知する能力)が、太陽嵐による磁気嵐の影響で乱され、それが座礁を引き起こす可能性も研究者によって指摘されている。

人間の活動との関係

  • 船舶との衝突事故や漁網・釣り糸への絡まりは、クジラの負傷や死亡の原因となり、漂着につながる。
  • 海洋プラスチックごみや化学汚染物質の摂取は、クジラの健康を害し、座礁の一因となることが報告されている。
  • 船が発するソナーの強力な音波は、クジラのエコーロケーションを阻害し、方向感覚を狂わせて集団座礁を引き起こす有力な原因の一つと考えられている。特にアカボウクジラはこの音波に敏感であるとされる。

陸に上がったクジラに近づいてはいけない理由

海岸に打ち上げられたクジラは、たとえ死体であっても非常に危険な存在だ。不用意に近づかないでおこう。その理由を解説する。

感染症や衛生的なリスク

  • 陸に上がったクジラには、寄生虫や細菌が付着している可能性が高く、直接触れることで人間に感染症がうつるリスクがある。
  • クジラの呼気を浴びることでも、人畜共通伝染病に感染する危険性があるため注意が必要だ。

クジラ内部で起こる「爆発」の危険性

  • 死亡したクジラの体内では腐敗が進み、メタンガスなどの腐敗ガスが大量に発生・充満する。このガスが内部で高圧になり、クジラの体が破裂する現象が「鯨の爆発」と呼ばれる。
  • クジラの巨体ゆえ、溜まるガスの量も膨大で、その爆発力は想像を絶する威力を持つ。
  • 2004年には台湾で、輸送中のマッコウクジラが自然爆発を起こし、街中に血や内臓、悪臭が飛び散る大惨事となった。
  • 専門家でなければ体内にどれだけガスが溜まっているかを判断することは困難であり、不用意に触れたり、刃物を入れたりすることが爆発の引き金になる危険性がある。

クジラの爆発は想像を絶する…絶対に近づかないでおこう。

万が一陸に上がったクジラを見つけたら

もし海岸でクジラを見つけても、決して近づかず、冷静に適切な行動を取ることが重要だ。

安全確保と対応の基本

  • まずは自身の安全を最優先に確保する。無理な救助活動や好奇心から近づくことは避けるべきだ。
  • 生きているクジラであっても、パニック状態にある場合は尾びれなどで人に危険を及ぼす可能性があるため、距離を保つ。
  • むやみにクジラに触れたり、その呼気を浴びたりしない。感染症や体内のガスによる爆発の危険性があるためだ。
  • 死んでいる場合でも、勝手に処理したり、肉を食用にしたりすることは絶対にしない。
  • 発見した場合は、速やかに最寄りの自治体、警察、または水族館、博物館、日本鯨類研究所などの専門機関に連絡する。特にスナメリなどの保護対象種は水産課への連絡が必要である。
  • 連絡の際には、発見日時、場所(地名や緯度経度)、頭数、生死、腐敗や食害の状況、体長などの情報を提供できると良い。
  • 専門家の指示を待つ間、もしクジラがまだ生きているなら、噴気孔に水をかけないよう注意しつつ、体が乾燥しないように水をかけたり、濡れたタオルや海藻をかけたりして体温上昇を防ぐなどの処置が推奨される場合もある。

まとめ

陸に上がったクジラは、その雄大な姿からは想像できないほどの危険をはらんでいる。感染症のリスク、そして何よりも体内の腐敗ガスによる爆発の可能性は、一般の人が安易に近づいてはならない明確な理由である。

万が一、海岸でクジラを見つけたら、好奇心や善意からくる行動が思わぬ事態を招かないよう、まずは安全を確保し、速やかに専門機関へ連絡することが何よりも大切だ。

人間活動がクジラの座礁の一因となっている事実も踏まえ、海洋環境の保全に一層意識を向ける必要があるだろう。

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