
2026年7月31日、東京・四谷の書店/イベントスペース「YOTSUYA BOOKS」で、渓流トラウトをテーマにしたトークライブ「四谷釣談」が開催された。記念すべき第1回に登壇したのは、TRY-ANGLE/五十鈴工業代表の“やまけん”こと山県五十雄さんと、PALMS代表の飯田重祐さん。今、盛り上がりを見せる渓流トラウトルアーフィッシングをテーマに、渓流釣りの変遷から現代のルアー事情、メーカーだからこそ話せる裏話、さらには2人の釣り観の違いまで、話題は縦横無尽に展開。参加者との質疑応答も交え、終始笑いの絶えない一夜となった。
●文:ルアマガプラス編集部
四谷の書店で始まった「四谷釣談」
会場となったのは、東京・四谷にある「YOTSUYA BOOKS」。小さな出版社・スタンダーズ株式会社が運営する書店/イベントスペースで、毎月さまざまなジャンルのイベントを開催している。
そんな空間で今回行われたのが「四谷釣談」。その名の通り、釣りをテーマにじっくり語り合おうというトークライブだ。
第1回のテーマは、真夏の渓流トラウト。
YOTSUYA BOOKSのイベントスペースで行われた、四谷釣談。
登壇した“やまけん”こと山県五十雄さんは、釣具メーカー「TRY-ANGLE」と、老舗リールメーカー「五十鈴工業」の代表取締役。クラシックなスタイルと精巧な作りで支持される五十鈴リールの製造・開発・販売を手掛ける一方、「釣れる魚はなんでも釣る、釣れない魚はなんとかして釣る」をモットーにする生粋の道具好き&釣り好きだ。
対する飯田重祐さんは、丹沢や伊豆をホームに全国各地の渓流を釣り歩いてきたトラウトフィッシングのエキスパート。バルサ製ハンドメイドプラグの製作からルアーフィッシングの世界に深く入り、長年にわたってPALMSのロッドやルアーの開発を支えてきた。「渓流の貴公子」「天才ルアーデザイナー」の異名でも知られる存在だ。
2人は今回が初対面というわけではなく、以前からイベントなどで顔を合わせてきた旧知の間柄。それだけに、堅苦しい講演ではなく、長年渓流に関わってきた2人だからこその、ざっくばらんな“釣り談義”となった。
渓流トラウトの「昔と今」を知る2人
この日の大きなテーマとなったのが、2026年の渓流トラウト後半戦。しかし、そこは長年この釣りに携わってきた2人。話は単純な「今、どう釣るか」だけには収まらなかった。
渓流トラウトフィッシングがどのように変化してきたのか。そして現在、どんなルアーやタックルが使われ、アングラーたちはどのように渓流を楽しんでいるのか。長年にわたって渓流ルアーを見てきた2人だからこそ見えてくる「今」の話も興味深い。
イベント時の店内では、飯田さんの著書のほか、スタンダーズ編集者の自慢のタックルも展示。
さらには、メーカーを率いる2人だからこそ語れる裏話も。
五十鈴工業、そしてTRY-ANGLEとPALMS。それぞれ異なるメーカーで長年釣具に携わってきた2人の話からは、アングラーとしての視点だけでなく、「道具を作る側」から見た渓流ルアーフィッシングの姿も浮かび上がってくる。
同じ渓流好きでも「釣り観」は違う!?
これだけ長く同じ渓流トラウトというジャンルに携わっていても、2人の考え方が同じというわけではない。
トークでは、やまけんさんと飯田さん、それぞれの「釣り観の違い」にも話が及ぶ。同じ魚を狙っていても、何を面白いと思うのか、道具に何を求めるのか、そして釣りそのものをどう捉えるのかは人によって違う。
2人の異なる視点がぶつかり、そこからさらに別の話へ――。予定されたテーマだけを順番に消化していくのではなく、話題が次々と枝分かれしていくところも、この日のトークライブならではだった。
やまけんさんのこだわりのタックルもイベントの演台に並べてあった。
「渓流ルアーって、そんなにマイナーなの?」
そんな中で飛び出したのが、渓流ルアーフィッシングというジャンルについての、ちょっと自虐的な話。
長年その世界のど真ん中にいる2人には、渓流ルアーは「マイナーな釣り」という認識もあるようだ。もちろん、現在の渓流トラウトは盛り上がりを見せており、熱心なファンも多い。それでも、フィールドやシーズンが限られるという意味では、独特な世界でもある。
そんなジャンルに、『これだけ多彩なロッドやリール、ルアーを作っている自分たちは一体何なんだ(笑)?』。そんな自虐的な笑いも交えながら話は進んでいったという。
ロッド、リール、ルアーはもちろん、その組み合わせやスタイルにもそれぞれのこだわりがある。道具にこだわりたくなること自体が、渓流ルアーの魅力なのかもしれない。決して大きなジャンルではないからこそ、ひとつの道具を深く掘り下げて楽しむ文化があるのだ。
「釣りの本は売れないからな〜」「渓流ルアーやってる人ってホントに少ないんですよ」など、ときおり自虐的な話題も飛び出しながら、2人が釣りのどこにこだわり、何を楽しんでいるのかが伝わる、非常に聞き応えのあるトークとなった。
お客さんも加わって、話はさらにディープに
会場に集まったのは15〜16人ほど。参加費は2500円でワンドリンク付きだった。
大きなホールで行われるイベントとは違い、登壇者と参加者の距離が近いのも「四谷釣談」の特徴。トークを聞くだけではなく、参加者との質疑応答も活発に行われた。
渓流の話からメーカーの話、さらに2人の釣り観へ。登壇者だけで完結するのではなく、そこに客席からの質問も加わり、話題はさらに広がっていく。
イベントは終始、笑いの絶えない雰囲気に包まれたという。そして、この日の“釣談”は、イベント終了の時刻を迎えても終わらなかった。
終了後のYOTSUYA BOOKSでは、参加者たちによる“延長戦”が自然発生。渓流のポイント会議から、漁協をめぐる議論、さらには「鮎ルアーは邪道なのか否か?」まで。釣り人が集まれば、話のネタは尽きない。都会の書店の中で、渓流や鮎、漁協について熱い議論が続いている――。なんとも不思議で、いかにも釣り人らしい光景だ。
おそらく、この時間まで含めて「四谷釣談」だったのだろう。

釣具メーカー「TRY-ANGLE」および老舗リールメーカー「五十鈴工業」の代表取締役。クラシックスタイルで精巧な「五十鈴リール(ISUZUリール)」の製造・開発・販売を手掛ける。「釣れる魚はなんでも釣る、釣れない魚はなんとかして釣る」をモットーとする道具道楽アングラーで、メディア出演やイベントなどを通じて釣りの普及活動も行っている。

1962年東京都生まれ。丹沢や伊豆の渓流をメインフィールドに、全国各地のトラウトフィールドを釣り歩くエキスパート。大学時代、バルサ製ハンドメイドプラグの製作に没頭したことをきっかけにルアーフィッシングの世界へ。「渓流の貴公子」「天才ルアーデザイナー」などの異名を持ち、PALMSのロッドやルアーのソフト面・デザイン面を長年支え続けている。

小さな出版社・スタンダーズ株式会社が運営する書店/イベントスペース。毎月4〜8本のさまざまなイベントを開催している。
●東京都新宿区四谷2-2-17 第22相信ビル1F
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