
2025年8月に登場し、アングラーの間で大きな話題を呼んでいる釣り特化型アドベンチャーウォッチ『カロスノマド』。 自身もアングラーであるカロスCEO・牛浩田氏の情熱と苦い釣行体験、そして伝説的プロの記録術から生まれた独自機能の舞台裏に迫る。業界基準を遥かに超える極限の品質テストを乗り越え、科学とデータで釣りを進化させる次世代ギアの全貌を解き明かす。
●文:ルアマガプラス編集部
【プロフィール&ブランド概要】
牛 浩田(Niu Haotian)/ カロス CEO 1981年、中国北部の都市生まれ。幼少期から自然の中で魚を捕まえるのが大好きで釣りに親しむ。2020年頃にルアーフィッシングと出会い、2025年8月に釣り人向けGPSスポーツウォッチ『カロスノマド』を発表した。
- COROS(カロス) 2014年にアウトドアスポーツを愛するエンジニアたちによってアメリカで設立されたスマートウェアラブルデバイスブランド。現在は中国と日本に製造開発拠点を置き、グローバル展開を行っている。日本ではマラソンの大迫傑選手らをサポートしている。
ルアーフィッシングとの出会いと「生涯の趣味」への確信
幼少期はミミズとウキを使う伝統的な中国スタイルの釣りを楽しんでいた牛浩田さん。2006年に家電業界へ入社し電子機器の技術や製品企画に携わった後、2014年にウェアラブル機器の開発会社を設立。2018年にはカロス初となるGPSスポーツウォッチ『COROS PACE』や『COROS APEX』シリーズを発表した。
「2020年ごろ、釣り仲間との会話でルアーフィッシングというジャンルを知り、そのスポーツ性の高さに強く興味をもつようになりました。日本や米国のルアーフィッシング動画をたくさん見て、道具を買い求め、友人と一緒に学び始めました。一年後、中国国内のバストーナメントに初出場。良い成績は残せませんでしたが、ボート釣りの体験は非常におもしろく、私にとって釣りが生涯の趣味の一つになると確信した瞬間でした」
「釣りはアドベンチャースポーツである」――ノマド開発への踏み出し
当初、時計開発はアスリートのトレーニングやパフォーマンス向上を目的としており、趣味の釣りと自社製品を結びつける考えはなかった。しかし、ビジネスの成長とともにユーザーの期待が変化していった。
「トレーニングのサポートや体力向上のためだけではなく、優れたGPS性能と長時間のバッテリー駆動により、カロス製品がアウトドア活動におけるガイドやアシスタント、データ記録ツールとしても役立つことを人々が望んでいることに気がついたのです。ルアーフィッシングはまさに典型的なアウトドア・アドベンチャースポーツです」
こうして探検家やアウトドア愛好家に向けた専用ライン「NOMAD(ノマド)シリーズ」の立ち上げが決定した。堅牢性、超長時間バッテリー、高精度データを中核とし、ショア(オカッパリ)、ボート、フライ、オフショアなど多岐にわたる釣りモードに対応している。
伝説的プロの記録術とAI技術の融合
従来の釣り用腕時計は天候や環境データを表示するにとどまり、アングラーの探検や記録に焦点を当てた製品は存在しなかった。開発にあたりヒントとなったのは、米国の伝説的バスプロであるアーロン・マーティンス氏の存在だった。
「アーロン・マーティンス氏を紹介する動画の中で、彼が釣行のプロセスをノートに記録し、バスを釣った時間、場所、釣り方、周囲の環境、自身の考えや判断までメモしていたことを知りました。彼はこれらをもとに振り返って分析し、試合の戦略を立てていたのです。時計のマイクとAI技術を活用すれば、アングラーの記録がより簡単かつリアルタイムとなり、地図と組み合わせることで振り返り作業もより明確かつ容易になると考えました」
小型水中探査センサー『ハイドロップ』誕生秘話
2026年には、時計と連携する小型水中探査センサー『カロス ハイドロップ』が登場した。その着想は、CEO自身の苦い釣行体験から生まれている。
「2023年の夏、中国江西省の湖でボート釣りをしていた際、水面温度が33度に達し魚の気配が全くありませんでした。涼しい深場に魚がいると考えたものの、酸素量の懸念もあり狙うべき水深が分からなかった。そこで、カロスノマドを釣り糸に結んで水中に沈め、水深別の水温を測定したのです。結果、水深約7メートルで水温が約23度になることが判明し、ダウンショットリグで探ると実際に魚をキャッチすることができました」
この体験から、キャストするだけで水深ごとの水温変化、さらには水深別の明るさ(6段階光強度)や水色まで即座に計測できる「ハイドロップ」が開発された。
業界基準を遥かに超える極限の品質テスト
カロス製品の開発にあたり、スティーブ・ジョブズ氏の言葉にあるような「良いアイデアから良い製品への徹底的な磨き上げ」が追求されている。
「カロスの品質基準は業界の通常基準をはるかに超えています。たとえば一般的な5ATM(5気圧防水)基準は水深50メートルの水圧に10分間耐えることを意味しますが、カロスの5ATM基準では、15分間の耐水圧テストを6回続けて実施します。さらに各テストの前には、高温・低温ショック試験、塩水噴霧試験、高温高湿試験、汗耐光堅ろう度試験、落下試験などの破壊検査も行われます。これらを乗り越えた上で機能を維持できて初めて設計目標に到達したと見なされるのです」
【製品スペック&編集部インプレッション】
COROS NOMAD(カロス ノマド)スペック
サイズ / 重量: 47.8×47.8×14.8mm / 61g(シリコンバンド)、49g(ナイロンバンド)
ディスプレイ: 1.3型 3代目タッチパネル方式常時点灯型メモリーLCD
防水性能 / 使用温度: 5気圧防水(カロス独自過酷テストクリア) / -20℃〜50℃
バッテリー: GPS通常使用50時間、日常使用22日間
価格: 4万9,940円(税込)
機能: 気象確認、詳細マップ&ピン打ち、釣りモード(時間・釣果数記録)、3Dフライオーバー映像作成など
COROS HYDROP(カロス ハイドロップ)スペック
サイズ / 重量: 48.2×14.8×12.3mm / 10.6g
接続 / 耐久性: Bluetooth(COROS App / COROS Watch) / 5ATM
バッテリー: 連続稼働16時間、通常使用約13日間
測定項目: 水深測定、水色測定、水中光強度測定(0〜5段階)、温度測定
価格: 1万3,750円(税込)
編集部インプレ(ルアマガ統括編集長・ティーチャー大場)
スナップに取り付けて水中にキャストし、ボトム着底後にゆっくり巻き上げるだけで数秒で計測完了。水深15mのリザーバー本湖でボトムと表層の温度差が14度以上あることを発見するなど、手軽に水中情報を可視化できるストレスフリーなギアとして太鼓判を押している。
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