
“綺麗なものには毒がある”。穏やかな砂浜の波打ち際にもそれはある。美しいクリアブルーの風船に長い触手を持つ毒クラゲ、カツオノエボシだ。日本では太平洋側で多く見られ、毎年、海水浴客やサーファーに被害が出ている。このカツオノエボシに刺されるとどうなるのか? や刺されたときの対処法を実演する動画がある。解説者は有毒&危険生物セルフ人体実験のオーソリティ。型破りでわかりやすい実演解説は、万が一のときに必ず役立つ! 海辺に立つ人必見の動画を紹介しよう
●文:ルアマガプラス編集部
湘南の人気ビーチにも猛毒クラゲが多数漂着!? 危険、触れるな!
今回紹介する動画は、YouTube 平坂寛『【実演】カツオノエボシに刺されるとこうなります』だ。猛毒のカツオノエボシに刺されたらどうなる&どうすればいい? を実演するために平坂さんがやってきたのは湘南の海。
平坂「カツオノエボシは毒性が強くて、毎年この辺りの海岸にも多数漂着し、海水浴客やサーファーの方などの被害が続出しています。日本を代表する毒クラゲで別名、電気クラゲとも呼ばれています」
サーフィンや散歩を楽しむ人が多い人気のビーチで漂着した猛毒クラゲを探す。
平坂「波打ち際の漂着物が流れ着いてるラインを重点的に見て回ると、もう見つけたかもしれない」
カツオノエボシをいとも簡単に発見。それだけ多数いるということ。これは危険だ。絶対に素手で触らないこと。
漂着したカツオノエボシは触手が切れているものもあるが、平坂さんは鮮度が良くて完全に近い触手を持つ個体をセレクト。実演の準備は整った。
平坂「浮袋の部分が6、7cmに対して触手は40cm近くある。この長い触手が厄介なんです」
別名電気クラゲ。ビリビリッと電撃が走るような刺激的な痛み。「バチバチッと爽やかな痛みです」
早速、刺されたらどうなるのか? のセルフ人体実験を開始。
平坂「ペタペタ触ってますが、手のひらや指の腹は問題ありません。クラゲの刺胞は毒針を射出しても皮膚が厚い大人の手のひらには刺さらない」
皮膚が薄い幼児や高齢者は刺さる可能性がある。平坂さんの真似は絶対にしないでください!
平坂「では手の甲側になると…あれ? 痛くない。触手の表面に砂が付着して、刺胞が皮膚に入ってないかもしれない。ちょっと洗います。本当は海水のほうがいいんですけど」
ペットボトルの水で触手の砂を洗い流し、実験再開。
平坂「よーし、きれいになった。手の甲側に当てます。痛ぇ、ビリビリくる。ここで慌てて砂をあててこすったりすると、症状が激化するので気をつけてください。
とくに危ないのは腕の内側。皮膚が薄い。くぅーっ、うわぁ」
平穏な砂浜で苦悶する漢が一人。注意しないと誰でもこの痛みに襲われる可能性がある。
動画では痛みについてのインプレッションも。
平坂「別名電気クラゲのとおり、ビリビリッと電撃が走るような刺激的な痛みがあります。
ただアカクラゲ、アンドンクラゲ、ハブクラゲなどほかの毒クラゲと比べると、なんでしょうね? ほかのクラゲは灼けるようなヒリヒリする痛みですけど、カツオノエボシはバチバチッと爽やかな痛みです」
“爽やかな痛み”に対してコメント欄には「激痛ソムリエ」との反応が。様々な毒をセルフ人体実験してきた平坂さんの独特な表現だ。激痛は間違いない。
水中で刺されるとさらに重症化の危険生物。ミミズ腫れができ、長期間アザが残ることも!
今回、砂浜に漂着したカツオノエボシで実演したが、海中で生きたカツオノエボシに刺されるともっと重症化しやすい可能性があるという。肌の露出が多い水着での海水浴は注意だ。
平坂「べったり腕に巻きついたり、下手をすると顔にも張り付いてミミズ腫れが発生します。重症の場合、数日から1ヶ月、2ヶ月と長期間アザが残ります。美容的な観点からいっても避けたい症状です」
平坂「今、平気な顔をして喋ってますけど、めっちゃ痛いですからね。皆さん、絶対真似しないでください。
痛みの強さでいうとアカクラゲより痛い。アンドンクラゲより痛いか? ハブクラゲよりはマシ」
毒クラゲの痛みを比較できる平坂さんがすごい!
カツオノエボシの触手が皮膚に付着したらつまんで剥がすが応急処置の基本
続いては応急処置とNG処置を実演解説。
平坂「カツオノエボシに刺された! って、慌てて擦ると激しく痛みます。刺激することで刺胞が活発に毒針を刺すのと、患部に刷り込むことになるので症状が激化します」
触手を擦り取るのはNGだ。
平坂「応急処置の方法としては、本来であればピンセットなどで触手を取り除きます。でも海水浴中にそんなもの持っていません。
指の腹は刺胞の毒針が通らないから、指でつまんで触手を剥がします。こうすると患部を広げず、おおよその刺胞は除去できます」
触手を除去しても痛みは残る。
平坂「痛いからって擦ると、摩擦で残った刺胞が活性化して刷り込まれて余計に痛みます。患部も広がります。
もう一つクラゲに刺されたときの応急処置としてお酢で洗い流すという方法がありますが、カツオノエボシには絶対やっちゃいけません。お酢が有効なのは沖縄のハブクラゲなどごく一部のクラゲに限られます」
カツオノエボシはお酢をかけることで刺胞は活性化するそうだ。
平坂「じゃあ、実際にやってみましょう。触手だけ腕に乗せて、絶賛刺されています。ここに禁断のお酢をかける。皆さん、やりがちなミスです」
平坂「あっ痛っ! お酢をかけた瞬間、触手が怒った感じがします。痛みが増しました」
動画で平坂さんの表情を見ればNG処置というのがわかる。それにしても体を張りすぎだ。
応急処置としては速やかに触手を取り除き、出来るだけ早く皮膚科等の医療機関で診察を受けることが重要、と平坂さんは教えている。
平坂「触手を触った手で体のほかの場所、とくに顔まわりを触らないことも重要です」
実演後の経過観察。痒みが発症し10時間以上継続! 戦力ダウンの漂着エボシでも刺されると不快感は長引く
実演から2時間後の経過観察。
平坂「なんかもう赤みも腫れも引いてきている。これで終わり? つまらん。でも、まだわからない。サーファーの方のお話を聞くと一旦症状が和らぐけど、後から強い痒みが出るなど2次、3次の症状が出ることがあるらしいので引き続き経過観察します」
実演から24時間後。
平坂「もう、ほぼ完治ですね。赤みは残ってますけど触れたりしなければ痛みは感じません。痒みもありません。日焼けのほうが痛いくらいです。ここからもうひと波あるのかどうか?」
実演から50時間後。
平坂「見た目は24時間後からあまり変わってません。
ただ35時間が経ったころから痒みが出てきました。寝られないほど辛い! ってほどではないですけど、痒みの質があせもっぽい。十分不快です。痛みは2時間以内に引いたのに、痒みは10時間以上続いています」
実演から80時間後。
平坂「まだうっすら赤みと湿疹が残ってますが、痒みも引いてほぼ完治といっても良い状態まで回復しました。
80時間というと非常に長く感じますが、苦痛に顔が歪んだのは刺されている最中とその直後に限られました。ショボいですね、カツオノエボシ。猛毒クラゲなんて笑わせてくれますね…なんてことはないです」
実際は、この程度の軽傷ではすまないようだ。
平坂「調べてみると目を背けたくなるひどい症例もあります。僕が軽傷ですんだのにはいくつか理由があります」
理由の一つは自分で刺される場所、範囲を調整できたこと。水中で肌の露出が多ければ、どこを刺されるかわからない。一撃目の痛みで暴れて水をかき回せば、刺される範囲がさらに広がる可能性がある。
そしてもう一つは浜に打ち上げられた個体だったためだ。砂、ゴミ、海藻などの摩擦で刺激を受け、かなりの刺胞を発射し終えていた、ということらしい。
平坂「水中で事故が起こればこんな軽傷ではすまないということをしっかり覚えておいてください」
えっ、まさかのパクリ疑惑⁉︎ 生き物系YouTuberの動画で危険生物の知識を深めよう!
実演は無事に終わり、漂着したカツオノエボシでも十分危険なことがわかった。
平坂「カツオノエボシの刺傷例を探していたら面白そうな動画を見つけました。日本人の方がカツオノエボシに刺される動画をYouTubeにアップしています」
動画の概要欄にはYouTube 水ラーメン『猛毒カツオノエボシに刺されるとどうなる? & おいしい食べ方を発見!」のリンクが貼られている。
平坂「サムネイルの時点で察してましたけど、(実演は)今回の僕とほぼ同じ条件ですね。これは僕、完全にパクリ野郎ですね。水ラーメンさん、ごめんなさい」
パクリなんて…人気生き物系YouTuberの方々の注意喚起は影響力が大きく、被害の減少に必ず役立つはずだ。
平坂「やっぱりね。打ち上げられたカツオノエボシは、刺胞の攻撃力が相当失われてますね」
水ラーメンさんの動画を視聴し、再認識。
平坂「となると今度は水中で刺されてみないといけませんね。乞うご期待!」
カツオノエボシ以外にも身近な危険生物は数多くいる。ムカデなど家に潜んでいるヤツもいる。
平坂さんのYouTubeチャンネルにアップされている『セルフ人体実験シリーズ』に「あっ、コレ!」というアナタにとっての身近な危険生物の動画があるかもしれない。危険生物に対する知識を深めれば、被害防止にもつながる。
今回紹介したYouTube 平坂寛『【実演】カツオノエボシに刺されるとこうなります』も含めて、楽しく、わかりやすく解説されているので、ぜひ視聴をおすすめします!
漂着したカツオノエボシは触手の刺胞の攻撃力が落ちているとはいえ、刺されれば痛いし、症状が長引く。お子さんなど触りそうな人がいたら注意してあげよう。
YouTuber 紹介
平坂寛(ひらさか・ひろし)
魚類の研究がライフワークの生物ライターで、現在はチャンネル登録者数103万人(2026年9月末現在)を超える人気の生き物系YouTuberとしても活躍。有毒生物や危険生物にも詳しく、これまで150種類以上の生き物の凶器を体を張って試し、痛みや症状などを記録。動画等で公開している。黒潮生物研究所客員研究員。TBS系列『情熱大陸』や『マツコの知らない世界』などTV出演も多数ある。
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