〈初心者の釣り〉“テナガエビ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【水辺の風物詩、手軽で奥深い小さな大物】

●文:ルアマガプラス編集部

テナガエビとは?

テナガエビは、エビ目テナガエビ科に属する淡水/汽水性の甲殻類。日本の河川中流〜下流域/湖沼などに広く生息している。その名の通り、オスは体長をもしのぐほどの長いハサミ脚を持つのが最大の特徴。身近な場所で手軽に狙え、独特の駆け引きが楽しめることから、夏の釣りのターゲットとして古くから親しまれている。

簡単そうにみえて奥深いテナガエビ釣り。

テナガエビの生態

流れの緩やかな河川や湖沼の、石組み/テトラポッドの隙間/護岸の穴/水草の陰といった物陰に潜んで生活している。基本的には夜行性だが、日中でも濁りが入ったり、曇天であったりすれば活発に活動する。縄張り意識がとても強く、とくに長い腕を持つオス同士は、縄張りやメスを巡って激しく争う。食性は雑食で、水生昆虫/ゴカイ/藻類/魚の死骸など、口に入るものなら何でも食べる。脱皮を繰り返しながら成長し、寿命は1年から3年ほど。

大小さまざまなサイズのテナガエビ。脱皮を繰り返して成長していく。

テナガエビの釣りシーズン

テナガエビは水温の上昇とともに活動が活発になる。地域によって差はあるが、概ね初夏から秋口にかけてが釣りシーズンとなる。

ハイシーズン(6月~8月)

梅雨入りから真夏にかけてが、テナガエビ釣りの最盛期。水温の上昇に加え、産卵のために浅場に集まってくるため、数/型ともにもっとも期待できる時期だ。活発にエサを探し回るため、日中でも比較的簡単に釣果を得ることができる。

シーズン初期/終期(5月/9月)

春になり水温が安定してくると釣れ始め、秋になり水温が下がりきるまで楽しむことができる。ハイシーズンに比べると活性は若干低いものの、ポイントや時間帯を選べば十分に楽しめる。とくに秋は、夏を越して大きく成長した個体が狙えることもある。

テナガエビの釣り方

テナガエビの釣りは、その独特のアタリとアワセのタイミングが醍醐味。物陰に潜むテナガエビの目の前に、そっとエサを届けるのが基本となる。

ウキ釣り

もっともポピュラーな釣り方。テナガエビが潜んでいそうな石やテトラの隙間に仕掛けを投入し、アタリを待つ。アタリは、ウキが横にスーッと移動したり、小さく沈んだりといった形で現れる。ここで慌てて合わせるのは禁物。テナガエビがエサをしっかりとハサミで掴み、安全な自分の巣穴に運んでから食べ始める習性があるため、ウキの動きが止まるまで十分に待ってから、竿をゆっくりと聞き上げるように合わせるのがコツだ。

仕掛け例

簡単に使えるセット仕掛けが便利。

エサの赤虫。

  • 竿: 1.2m~2.4m程度の小物釣り用のべ竿(万能竿や清流竿など)
  • 道糸: ナイロン 0.6号~0.8号を竿いっぱいの長さで結ぶ
  • ウキ: テナガエビ専用の小型棒ウキ/玉ウキ/連動シモリウキ
  • オモリ: ガン玉や板オモリ。ウキがゆっくり沈むか、水面直下で漂う程度に調整する
  • ハリス止め: ごく小型のサルカンやゴム管を使用
  • ハリス: ナイロン 0.3号~0.4号を5cm程度
  • ハリ: テナガエビ専用バリ(2~3号)やタナゴバリ
  • エサ: 赤虫やミミズ(小さく切って使用)が定番。その他、魚の切り身やベビーホタテも有効

お手持ちの延べ竿や小物竿でOK。

テナガエビの食べ方

釣ったテナガエビは、泥抜きなどの下処理をすればとてもおいしく食べることができる。とくに揚げ物との相性は抜群だ。

素揚げ/唐揚げ

もっとも定番で、テナガエビの味を堪能できる調理法。まず、きれいな水で半日ほど泥抜きをし、調理直前に酒で締める(酒締め)と臭みが抜ける。長い手や頭の先の硬いトゲをハサミでカットし、水気をよく拭き取ってから片栗粉や小麦粉を薄くまぶし、油で揚げる。殻ごとサクサクと食べられ、香ばしい風味とエビの旨味が口いっぱいに広がる。塩を振るだけで最高の酒の肴となる。

塩を振るだけで最高のおつまみに。

塩茹で

素材の味をシンプルに楽しむなら塩茹でも良い。下処理をしたテナガエビを、沸騰した湯に塩と一緒に入れて茹でるだけ。茹で上がると鮮やかな赤色になり、見た目にも食欲をそそる。テナガエビ本来の上品な甘みをじっくりと味わうことができる。

アヒージョ

オリーブオイルとの相性も抜群である。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブオイルでテナガエビを煮込めば、絶品アヒージョの完成だ。エビの旨味が溶け出したオイルをバゲットにつけて食べれば、2度楽しめる。

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