フィッシングライター・横沢鉄平の得意とする企画の一つが、タックルインプレッションネタ。豊富な釣りキャリアから導き出される、独自の辛口(?)批評にはファンも多い。今回は、バスフィッシングレジェンド・ヒロ内藤氏から託されたバスロッド「ジ・アンサー」を実釣インプレする〈後編〉。
アメリカを知る「ヒロ内藤」が産んだバスロッド、ジ・アンサー
【前編】では「ジ・アンサー」に息づくヒロ内藤さんのバス哲学や、シリーズの中からカリプソSJとカリプソLJというジャークベイト用の2本、それに加えてトップ用のカプリコーンTWの3本をインプレ用に託されたこと。そして、実釣で試すために相模湖へ釣りに行ったことを書いた。
「カプリコーンTW」からインプレ開始
このブランクス、確かに張りが強くてファーストテーパーでした。ペナペナのスローテーパーなトップウォーターロッドが好きな方々は首を傾げるだろうけれど、これぞ内藤さんが導き出した、究極のトップロッドなのです。
僕は、フェンウィックのE55CMや、レスターのトワイライトタイト、そしてズイールのオールラウンダーなど、歴代のトップロッドが結構硬めでした。だから、カプリコーンの硬さにもあまり違和感はありませんでしたね。実際にルアーを結んで振ってみると、フィーリングは想像よりマイルド。先調子ではあるけれど、ややレギュラーテーパー寄り。そして、確かにブレがなく、シャープにスイングできました。
水の抵抗が大きい割に、鋭い動きも必要とされる系統の中~大型トップウォーターには、このロッドの硬さがちょうどいいでしょう。具体的には、オリジナルザラスプーク、バド系のウエイクベイト、1/2オンス以上のセミ系、口の大きなポッパーなど。ロッドが軟らかいと、これらのルアーは思い通りの動きが出せないし、遠投した先ではアワセもききにくいのです。
2本目はジ・アンサーの主役「カリプソLJ」
LJとはロングジャークベイトに対応することを意味する。それってどれくらいの全長のジャークベイトなのかな? と思いつつ、メガバスのヴィジョンワンテン(110.5ミリ)を結んだら、このまま結婚させたいほどの、相性の良さでした(笑)。オーバーヘッド、サイドキャスト、バックハンドでも神業のようにキャストが決まり、最初のワンジャークからしっかり動かせるのです。
まず感じたのは5フィート5インチという絶妙なレングス。身長1m70㎝の僕には、本当にジャーキングしやすいんですね。そして、グリップが短いので、手首の自由度が格段に高い。これまたジャーキングしやすさに大きく寄与しています。
その適性はジャークベイトにとどまらず、1/2オンスまでのスピナーベイトやミッドクランクなど、レギュラーサイズのハードルアー全般に渡ります。何より、ただ巻きする中で、ここぞと思える1点に差し掛かった瞬間、必殺のワンジャークを入れることができる。まさしく内藤さんの哲学を体現できる一本なのです。
実はカリプソはLJもSJもガイド配列がスパイラルなんですね。これはビッグバスとのファイト中に、ラインがブランクにこすれるのを防止するための工夫。今回、そんな相手には巡り会わなかったので、その長所を実感することはありませんでした。でも、逆にスパイラルに難点を感じることもなかったですね。
唯一、ちょっと軽めのルアーになると、途端に投げやすさに陰りが見えました。やはり、短いジャークベイトなら、素直にSJ に持ち替えたほうが良さそうです。
最後は小型ジャークベイトに対応する「カリプソSJ」
SJはショートジャークベイトを意味します。前述したLJに比べると、だいぶ軟らかい印象を受けます。M1インスパイアミノーや、K-1ミノーDなど、90ミリ系のミノーが気持ちよく飛ばせて、ジャークもトゥイッチも本当にやりやすかったですね。
軽い、シャープ、短い、グリップも短い。すべての要素が、使いやすさに結び付いています。しかも、リールをベイトフィネスリールに付け替えると、ミノーがさらに飛ぶし、シャッド、I字系、あるいはネコリグなどのライトリグも余裕で使いこなせました。
「ベイトフィネス用としても使えるな」
これが僕の実感です。世に出ているベイトフィネスロッドはあまねく長めなので、この短さには唯一無二の価値があります。LJやカプリコーンは特化型の色合いが濃いけれど、SJは意外なほど汎用性が高いですね。
カリプソSJでバスをキャッチして実釣インプレ完了!
実際、バスが釣れたのもカリプソSJでした。この日の相模湖は風が吹くとボイルが起きるという状況。かといって、水面を割ってまでトップに食ってくるほどの活性はなく、ちょっと潜らせようと思って選んだのがK-1ミノーD。
風が吹いたら、これを投げては巻き、ブレイクのショルダーで、ワントゥイッチ。これを繰り返していたら、ドスンと重くなって、写真のバスが釣れました。これで、最低限ながらもミッション終了。
スパイラルガイドを生かせるほどの暴力的な引きは味わえませんでしたが、ヒロイズムという哲学をじっくりと味わった1日でしたね。内藤流の「攻めの釣り」には、ジ・アンサーが最良のパートナーとなるでしょう。個人的には、やっぱりカリプソSJが一番のお気に入りかな。
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