東北は福島、裏磐梯に控える国内2大スモールマウス聖地のひとつ・桧原湖。彼の地には、フィネスを尻目にマイウェイを貫く超人気プロガイドがいる。それがK-ROガイドサービス主宰、渡部圭一郎さん。ハネモノの金字塔、あのNZクローラーの開発を手がけたのがその人だ。過去から未来へ、そして今。その足跡から、謙虚に学びたいことがある。
そこで今回は、2019年8月のリリースを待つNZクローラーJr.の真の姿を、渡部さんの経験則から浮かび上がらせることにしよう。
NZクローラーJr.|デプス
NZクローラーJr.|デプス
●全長:95 ミリボディ
●重量:1 オンス
●タイプ:フローティング
●カラー:7色(オリジナルと同色)
●価格:4900円(税抜き)
●発売:8月下旬予定
※写真はプロトモデル
「僕が作っていた最小サイズよりさらに小ぶり」というNZ クローラーのダウンサイジング版。オリジナルサイズの強さを踏襲しつつ、より使いやすさを追求したモデルだ。扁平ボディだからこそトルクフルに水を押すが「本来なら丸みを帯びているほうがロールしやすい。でも、動き始めたら連続して強く水を押せるのがNZ」。水面を掻く独自セッティングのウイングとの相乗効果で生まれる強烈波動。テール側ピースも同調して干渉音やフラッシングを水面下へ波及。やる気のある魚、よりでかい魚を吸い上げる
【経験則1】「風より雨、特に、より大型のラージが間違いを起こす」
「ヒバラのMAXサイズって、あのくらいです」と竿先で水面を指す圭一郎さん。「水の透明度が高いんで小さく見えるかもですけど、アレで55クラスです。雨が降って活性上がれば食ってくれることもあります。雨で着水音がマイルドになるし」。風は?「ハネモノは弱いですね。スパイラルミノー(デプス)みたいな激しいタイプは強いですけど」。
【経験則2】「大きかろうと小さかろうとNZは虫」
上の項に関連して「風でざわつくより静かな水面のほうがいい」と圭一郎さん。なぜか?「魚は『虫かな?』と思っているんじゃないかと」。荒れた湖面では目立たず流される。穏やかな湖面で、なおかつ適度なアピール力だからこそ反応を勝ち得るということか。
【経験則3】「何はなくともキャスト精度」
「ガイドではまずお客さんにキャストの練習から始めていただいています」。ターゲットに追わせる存分な引きしろを稼ぐために、またNZ の存在に気付かせるためのコース取りも大切だ。「最後の最後でミスバイト。だとすれば、あと数センチ奥へ届いていればセカンドバイトがあったかもしれない」。圭一郎さんはキャストの大切さを強く説く。
キャストの腕前は習うより慣れろ
「タックルに慣れることも大切。あ、僕のタックルはあまり参考にならないかもですが…。僕はこれがベストですが」。かなり剛の物だ。
【経験則4】「魚にNZを見せすぎないこと」。長いトレースは百害あって一利なし!?
オーバーハング下、何かのキワへと着水させ、軽快なリズムを刻みながらシェードの外へ姿を見せるNZ。しかし、そのまま船べりまで巻き続けることはない。遠くから時を伺う魚がいたらどうか。見切られる要素を増やすのみだ。
【経験則5】「常識など意味がない」。過去は過去、今は今。フィールドにその身を預けよ
経験値は無論、多いほうが良い。しかし、過去の事象に囚われ過ぎると今が見えてこないのも事実。圭一郎さんは自らの経験値に加え「はず」「かも」「思う」と常に含みを持たせて語る。自らの行動を決め付けない柔軟な発想がバスフィッシングには大切なのだ。
スモールマウスバスも! NZクローラーJr.の底力
「何回か追ってきた個体もいましたし、虫チョーチンで完全には乗らなかったものの水面に出た魚もいました」。
NZ クローラーJr. で仕留めたスモールマウスは、全6 尾の釣果のうち、わずかに1 尾。これが5 月下旬の結果。ルアーマガジン8月号が発売される頃には、完全回復したスモールが口を開けて待っているはずだ(!?)。