参戦23年目の藤木淳が初優勝! A.O.Y.は弱冠23歳の藤田京弥が初戴冠!【JBトップ50最終戦がまかつCUP in福島・桧原湖】



嵐を呼ぶトップ50最終戦『がまかつCUP』。今季もまた前例に漏れず、大波乱の結果となった。折しも大型かつ強い勢力を保つ台風19号の接近により、JB本部は試合日程を通常の3DAYS戦から初日のみの1DAY戦に短縮することを前日発表。全49選手はエリアを温存することなく、10月11日(金曜)のみに全身全霊で挑んだ。優勝は、意外にも今戦がトップカテゴリー初優勝となったベテラン藤木淳選手。ゼロ申告も少なくないタフな状況ながらも4キロ中盤で疾走。また今戦で準優勝を飾った藤田京弥選手が、三原直之選手との年間優勝(=A.O.Y.)レースを制して逆転A.O.Y.の座を勝ち獲った。



05A.O.Y.藤木淳がスタートダッシュ! 上位常連、意外にも“初”の優勝へ

「真面目にやっていると、いつかエエこともあるもんやなと」

表彰台の頂点で優勝コメントを求められた藤木淳選手はこう語った。

2019トップ50第5戦
優勝 藤木 淳

【Profile】
ふじき・じゅん
1965年3月2日生まれ(54歳)、A型。京都府出身。右投げ・Baitcasting左/Spinning左巻き。スポンサー:フラッシュユニオン、バリバス、チャージャーボートジャパン、ブラッシュレーサ、ノガレス、明邦化学工業、ガーミン。主な戦績:2005トップ50A.O.Y.他。参戦年数:23年目。2019トップ50ゼッケンNo.49。

ワールドプロシリーズの名称でスタートしたJBトップカテゴリーは、2005年にルールを複雑難解なポイント制から『最も多く釣った者勝ち』の世界標準かつごくシンプルなウェイト制へ切り替えると共に、現在のトップ50へと改称。その初年度にA.O.Y.(年間優勝)の座を勝ち獲ったのが藤木選手だった。

その年、全5戦中で実に3戦もの上位5位内の高成績を獲得。それまでの自身の最高順位は、99早明浦ダム、03芦ノ湖、05亀山ダムで稼いだ準優勝を始め、2ケタを超える表彰台を記録。トップカテゴリー以外での優勝経験は多数。また上位常連のイメージが強いせいか、今戦がトップカテゴリー初優勝というのは意外な事実だった。

振り返れば当時、ビッグウェイトでロケットスタートを図るプレースタイルは、まさにウェイト制の申し子とも評された。

ルアーマガジン誌が独自に集計した各トーナメントレイクの1DAYウェイトランキングを見ると、各地で上位に名を連ねているのがわかる。2002第3戦霞ヶ浦DAY1に叩き出した5尾6895グラムは、23年目となるトップカテゴリー史上で未だ破れ得ぬ大記録としてその名を残している。

「あの試合ね。最後に50アップをバラしてしもうて…」

かつてこんな言葉も聞いた。タラレバではあるが、7キロの壁も突破寸前だったとは驚異的だ。誰とも異なる独自の戦術で次点を大きく引き離すも、結果は14位。現行の準ウェイト制と異なるポイント制が障害だったことは否めない。

「まさか優勝できるとは思ってもいなかった」

参戦23年目の初優勝は、奇しくも自身のプレースタイルが奏功したと言ってもいい。今では数少ないワールドプロシリーズ初年度からエントリーを続けてきたレジェンド陣の一角。まだまだ戦える。心の中でファイティングポーズを緩めることはない。





“京弥、半端ない!”の総決算。史上最年少でトップ50A.O.Y.へ

今戦では“また”、藤田京弥選手が表彰台に上った。それも準優勝という、頂点に肉薄する形で。

第4戦までの暫定首位・三原直之選手とわずか3ポイント差で迎えたA.O.Y.レース正念場となる最終戦。つ・い・に、決着がついた。

2019トップ50A.O.Y. 
藤田京弥

【Profile】
ふじた・きょうや
1996年(平成8年)4月2日生まれ(23歳)、O型。埼玉県さいたま市出身・山梨県在住。右投げ・BaitCasting左/Spinning左巻き。スポンサー:ジャッカル、DAIWA、ぱるす、5150products。主な戦績:2018マスターズA.O.Y.&クラシックウィナー、2019トップ50A.O.Y.。参戦年数:2年目。2019トップ50ゼッケンNo.2。

弱冠23歳6ヶ月。これまでのトップカテゴリー史上最年少A.O.Y.記録は、2008年に26歳0ヶ月で初A.O.Y.の座に輝いたOB・青木大介さん。偉大なる先人の壁を大きく塗り替えることにも成功した。

藤田「本当に今日は死ぬんじゃないかってくらい追い込まれていた。今日のことは何も覚えていない」

常に冷静さを失わず、心臓に毛が生えた若者とさえ囁かれる逸材が試合当日をこう振り返った。なぜか。

おそらくは直前に決定した1DAY戦の功罪。わずか1日での決着、それもラージマウスほど個体差はなく、数グラムの差で大きな順位差となるスモールマウスが相手の桧原湖が最終戦の舞台。些細なミスが命取りとなる可能性もあったからだろう。

【Profile】
三原直之(みはら・なおゆき)
1991年2月18日生まれ(28歳)、鳥取県境港市出身・兵庫県在住。スポンサー:イマカツ、東レ、リューギ、アウトドアハウスアオノ、東条湖ビッグバイト、ジーニアスプロジェクト。主な戦績:2015クラシックウィナー&JB生野銀山湖A.O.Y.、2014JBⅡ東条湖A.O.Y.ほか。参戦年数:5年目。2019トップ50ゼッケンNo.19。

三原「(京弥選手を)倒さなきゃいけないんで。来年、頑張ります」

悔しさを奥歯で噛み殺し、壇上で冷静なコメントを放ったのは、惜しくも年間2位となった三原選手だった。

今季のレギュラー戦を振り返れば、先攻逃げ切り型の京弥選手に対して、スロースターターの後半追い上げ型だった三原選手。1DAY戦の光と闇。あと2日間の開催を、誰よりも望んでいたのは三原選手だったのではないだろうか。

3DAYS戦の長丁場こそ、国内最高峰トップ50の本質と見る向きも多いだろう。しかし、試合とはルールありきで勝負が決まるものだ。サッカーにオフサイドがなければ単なる球蹴り遊びに過ぎない。今季に関しては、京弥選手が一枚上手だった。そう認めざるを得ない。

2019トップ50年間上位5選手の顔ぶれ。第5位と第4位には昨季と同じく強豪の山岡計文選手と福島健選手、そして3位には「来年は還暦。まだまだ!」と語るリビングレジェンド・沢村幸弘選手が。

昨季の総決算戦、JBクラシックから始まった京弥VS三原、若手両選手による一進一退の攻防。京弥が勝てば、三原が勝ちを繰り返した一年間は、観る者を熱くさせた。次世代のキーマンとなるであろう両選手の戦いに今後も注目してみたい。

また、トップ50こそ今戦で幕を閉じたが、まだまだJBトーナメントシーズンは終わっちゃいない。10月26〜27日には全日本バスプロ選手権が、東は山梨・河口湖で、西は兵庫・生野銀山湖でそれぞれ開催。また因縁の舞台、ジャパンスーパーバスクラシックは11月2日(土曜)〜3日(日曜)、今年も河口湖で開催される。

はたして、最後に笑うのはどっちだ。

※トップ50最終戦の試合詳細は、ルアーマガジン12月号(10月26日発売)で。


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