噂の魚の仕立て方。津本式・究極の血抜きの公認試験って? ちょっと覗きにいってきたよ〜【さいたま・大宮/一平】



さてさて、釣り人だけでなく、料理人、水産関係者に注目を集めている「津本式・究極の血抜き」と呼ばれる魚の仕立て方。簡単に言うと魚を従来にないスパンで保存することができるようになる保存術を、精度の高い血抜きの手法で実現する魚の仕立て方。その普及に務める、開発者の津本光弘さんは、定期的にその技術者を育てるための公認試験を行っている。先日、埼玉県で初となる実技公認試験が行われたので、潜入してきました。どんな試験なのか、ちょっと解説しますね!



主催したのはFacebook津本式グループの面々

津本式・究極の血抜きの仕立ての技術は、開発者である津本光弘さんがYouTubeで惜しげもなく公開している技術です。この技術を実際の現場に役立てようと、習得に意欲を見せるたくさんの方がいらっしゃるのもご理解いただけるかと思います。

公開されている技術を、正しく習得できればよいのですが、時には勘違いしていたり、間違って覚えていたりと、そうなってくるのは必然です。そこで、津本さんは、正しい手法の普及を兼ねて、公認試験制度を作られています。

当初は、ライブ動画などを津本さんが確認して、その技術の基準を見極めて公認、非公認のジャッジをされていました。今回は、実際に津本さん立ち会いのもと、その技術の理解度をジャッジするという公認試験が埼玉県・さいたま市大宮の「創作料理・一平」さんを会場に行われました。

津本式の公認を受けた板前さんのひとり。菅原一平さん。さいたま市大宮区中町1-80もりくまビル1階「創彩料理 一平」を営む。津本式を施した食材を扱う料理店。


津本式仕立て者としての公認を受けるため、7名が試験参加。
そして勉強のために30名以上が集合!

試験の流れは極めて簡単。津本さんが公開されている手順を実際に、津本さんの目の前で行い、正しく処理が行われているかを試験します。

検定者には中学生も! パーフェクト合格者は7人中2人。そのうちの1人はこの中学生! もうひとりも若手で、所作についてはNo.1の手際の良さでした。

テストで使われる魚は、活魚。つまり、脳締め〜立て掛けと呼ばれるまでの、津本式の11工程がチェックされます。どんな活魚が出てくるかは、試験者には知らされていません。ちなみに今回のケースで行くと、参加者6人まではマダイの活魚(養殖)が使用されました。最後の1人だけ、マアジだったのですが、合格するためには、どの魚が来ても対応できるように技術を磨いておかねばならないと感じましたね。

こちら、津本さんの今回の採点表。

津本式の手順の所作にはそれぞれに驚くほど意味があり、例えるなら「空手の形」みたいなものです。手を添える位置、包丁の方向、返し方etc…。記者は「合理の塊」と呼んでいます。

すべてを丁寧になぞる必要があるの? という質問に対しての答えは「YES」。それぞれを完璧に理解して、省いてもよいもの、悪いものが見えてくるので、やはり繰り返し実践することが大事かと思います。

ただ、津本さんの推奨している手順は、すべて、プロの仕立てのために合理化されたものであることは理解すべきです(笑)。

例えば、神経をノズルで抜く作業。こちら、別にノズルで神経を破壊する必要は、絶対ではありません。ですが、その次の手順、ノズルで尾から血を抜く作業が控えているので、津本さんは、あえてノズルの水圧を使って神経を破壊してらっしゃいます。ついでに、腐敗要因となる神経も水圧で洗い流せるので一石二鳥なんですね。作業効率を考えて最善という理解ができます。

となると、「神経を針金などで破壊するのはNGなんですか?」という質問は出てこないはずです。NGではありません。

ほかにもうひとつ。こちらは気づいていない方もいらっしゃいますが、

エラを取り外したあとに、「心臓をひと突き」という作業があります。これの正確な所作は、包丁の刃を背骨側に返し、(1)心臓をひと突きしたあと、(2)その返した刃で背骨下の腎膜を割いておく。(3)それが終わったあとに、中指でぐるりと心臓周りの膜をすくって破る。

この3つの動作がすべて成ってパーフェクト。

(1)と(3)はやられる方は多いけれど、(2)が抜けていたりする。で、そんな細かいところと思うかもしれませんが、プロの仕事の効率化なんですね。これをやっておくとその後の工程の作業の出来に影響したりします。

こういった細かな所作が、実はたくさん津本式の手順には内包されています。

津本式認定試験の合格を目指す人へのアドバイス!

試験には、処理の時間設定がなされています。魚によって変わりますが2分から2分半。この時間制限が試験を受ける人の大きなプレッシャーになっている模様。普段できることができなくなるかなりのプレッシャーかと思います。

大宮の公認試験会に集まったみなさん。受験者7人以外にも見学者多数。

この津本さんの時間制限については、すべての所作の意味を理解して覚えていれば、さほど問題ないかと思います。あと、どれだけ魚を捌いているかのバロメーターになるので、数をこなしている方にとってはたいして高いハードルではないかと思います。

実際の魚で練習しにくい方は、シャドーで手順を追うのもかなりの効果があると、検定をされている方もおっしゃっていました。実際、効果的だな手法だと思います。

あとは! リンク先の津本さんの動画をしっかりと見るて、そして発売されました「魚食革命・津本式・究極の血抜き 完全版」内外出版社刊の「基本編」を音読!これで完璧です。いや、冗談抜きで、動画と本を穴が開くまで確認すれば、合格間違い無しでございます。

大敵は、「俺は知ってる、解かってる」ですよ!

ということで、4月にも東京で内外出版社主催の津本式公認試験会&講習会の開催を予定しています。内容についてはただいま精査中ですので、今しばらくお待ち下さい。ルアマガプラスのほうでも、追ってお知らせしますね!