湘南のランカーハンターを唸らせたロッド、スワットSW1163S-Mの「いなし」と「ため」の絶妙なバランス感



2020年に一新されたスワットシリーズで目を引くモデルの一つが、平磯ヒラスズキ対応をうたうSW1163S-Mだ。一般的にはパワフルなモデルが多い磯ヒラロッドの中にあって、異色のMパワー。「一見、軟らかそうに思えるけれど、実は芯がある。僕の磯ヒラゲームにこの上ないロッドです」という湘南のランカーハンター久保田剛之さんが、SW1163S-Mによる磯ヒラゲームの一部始終を紹介する。

【Profile】
久保田剛之(くぼた・よしゆき)
神奈川県湘南エリアをホームに活躍するシーバスアングラー。磯、干潟、サーフ、河川など幅広いフィールドで大物を追い、メーター超を何度も仕留めているランカーハンターだ。

予想外の第一印象に愕然とした久保田さん。その理由とは…?

久保田「SW1163S-Mの磯ヒラゲームでの使用感を解説するなら、まず現場に出る前に振ったときの印象をお話ししないといけませんね」

初めて手にしたときは、予想外の感触だったそうだ。

久保田「自宅にテスト用のサンプルが送られてきて、リールを付けて組んでみたんですけど、んっ!? 磯ヒラでこれは軟らかすぎるんじゃないか、と。店頭や展示会などで手にされた方も、きっと同じ印象を持ったと思います。ところが現場では、その印象がガラッと変わりましたね」

【スワットSW1163S-M】●全長:3.51m(11ft6in)●自重:225g●継数:3●仕舞寸法:121cm●ルアー:~50g●ライン:PEライン~2.0号●価格:6万7000円(税抜き)

機動性:3ピースの携行性は実釣前から高評価

SW1163S-Mは、3ピースを採用する。

久保田「磯までのアクセスは急斜面を降りたり、ヤブを抜けたり、悪路を進むことが多い。3ピースならコンパクトに仕舞えて、背中にさせば両手が空く。傾向性、機動性、安全性の面で、実釣前からこれはありだなと思っていました」

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キャスティング:足場が悪くてもコンパクトなスイングで鋭い射出の高精度キャストが可能

磯ヒラゲームで最初に行う実釣動作がキャスティングだ。

久保田「磯は足場が悪い。安定したスタンスでフルキャストできる状況はなかなかないです。SW1163S-Mは窮屈な姿勢で、言い方は悪いけれど、小手先のキャストでもティップの反発力で鋭い射出の高精度キャストができる。しかも10g前後の小型プラグも投げられる。同じことをガチガチの磯ヒラロッドでやると、釣り人がロッドを振る力で曲げ込んで弾き出さないといけない。キャストが格段に楽です」

SW1163S-Mは、制約の多い磯場という環境でも、その性能を遺憾なく発揮。もはや、久保田さんの右腕と言っても過言ではないだろう。


ルアーの操作性:しなやかなティップが波の振幅に合わせてルアーの泳ぎを安定化

キャストのしやすさは、ルアーの操作性にもつながってくる。

久保田「リトリーブ中にトップから2つ目のガイドくらいまでが動いて、引き波でも寄せ波でもルアーを水に絡ませて泳がせやすく、喰わせの間を作り出せます。ガチガチに硬いロッドは波を弾いてルアーが水面を転がったりする。違和感のある動きをすると喰いません」

ルアーの操作性は、釣果に直結する重要な部分。この性能に対しても、久保田さんはSW1163S-Mを高く評価している。

フッキング&ファイト:ファイトは適度に曲がってがっしり止めるC・N・Tの本領発揮!

使用前に受けた軟らかすぎる印象は、とくにファイトの部分で不安を感じさせるはず。

久保田「フッキングに関しては、硬いサオだと弾くようなバイトもしなやかなティップがとらえて、アワせると深く刺さりやすい。ファイトは天龍のロッドの特徴でもある“いなし”と“ため”が効いてますね。ある程度曲がるけど、一線を越えるとロッドのセンターからバットで魚を引きをがっしり止めることができます」

久保田「曲げ込むほど粘り強いC・N・T(カーボンナノチューブ)のバットの恩恵と言えます。だから、例えば平磯の足元に沈み根があるとする。魚をかけてロッドの“いなし”と“ため”で沖に留まらせて、ランディングしやすいところに移動できる。ランディングで寄せ波を待っているときもティップの追従性が高いからバラシにくく、ロッドのセンターからバットにかけては一定の負荷がかかると曲がりが止まるから、確実に抜き上げることができます」

まとめ:「波を選べないアングラーにおすすめします」

投げやすく、ルアーを操作しやすく、軟らかそうに見えてファイトでは、魚の引きを止めたいときにしっかり止める。SW1163S-Mは、ガチガチの磯ヒラロッドとは一線を画するモデルと言える。

久保田「僕は安全性を考慮して波の小さい、薄サラシでヒラスズキを狙います。ただの怖がりなんですけど(笑)。でも、仕事をしていると、いつも磯ヒラ師好みの好条件で釣りに行けるとは限りません。サラシが薄いときは小型ルアーのほうが反応させやすいし、しっかり喰ってくることが少ないから、ガチガチの磯ヒラロッドだとバイトを弾くことも多いです」

久保田「あとヒラはマルと比べてやたらとエラ洗いをするし、突っ込みも鋭い。“いなし”と“ため”が効くSW1163S-Mは、バラシが格段に減ります。待ちに待った休日に薄サラシ。そこでアタリのみで終わるのと、貴重な1尾と出会えるのとでは、雲泥の差がありますからね。サラリーマンなど条件を選んで釣りに行けないアングラーにおすすめします。平磯だけでなくゴロタ場でも使いやすいし、遠投性能が高いから大規模河川の下流域やサーフでのランカー狙いでも活躍します」

久保田さんによる実釣インプレッションムービーをチェック!