アジの群れを見つけるための好条件を見つけ出せ! キモとなるプランクトンの動きを読もう【アジングの教科書#010】



【アジングの教科書#009】では、釣り場の基本となる場所について解説しました。ここからは、もっと絞り込んで、アジがどんなスポットに多くいるのか、どんな場所を見つければいいのかを解説したいと思います。港にいるよ! 防波堤で釣れるよ! と言われても、その港や防波堤の何処にいるの?

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第9章 アジの群れをみつけるための好条件とは?

アジングの釣果アップの秘訣は、ポイント内のアジの群れを見つけ出すことです。つまりアジの行動パターンを予測すれば、溜まりやすい場所というのが絞られていきます。基本的にアジは群れで生活する回遊魚です。港内でも外洋でも回遊しています。そんな魚が足を止めることがあります。その条件を見つけ出すことがアジの潜む場所をみつけるコツになります。

とても基本的なことでこれはどの釣りにも通じることですが、魚はエサの在り処を求めて移動します。復習になりますがアジの主食はなんでしょうか? 基本は動物性プランクトン、そして時に、甲殻類や小魚と言われています。昼間、ナイトアジング問わず、主力のエサとなるプランクトンが何処に溜まるかを意識すれば、自ずと答えが見えてきます。

【Part.1】ポイント探しの順序

さて、7章の最後に、アジのポイントについて解説しました。規模としては、港、防波堤、磯、浜、川を狙うと良いとアドバイスさせていただきました。では、まず、どんな条件を揃えた港、防波堤、磯、浜、川がいいのか。もう少し具体的に解説させていただきます。

簡単に言えば、主力となるエサ、プランクトンが多い場所。ということになります。プランクトンが多ければ、小魚も集まってきます。プランクトンは植物性と動物性がありますが、あまり話を複雑化してもややこしくなるだけですので、単純に今後はプランクトンと表記します。

植物性プランクトンを動物性プランクトンが捕食し、その動物性プランクトンをアジなどの魚が捕食するという食物連鎖。なので、植物プランクトンが集まる場所を探せば自ずと動物性プランクトンの居場所が絞りこめ、アジが足を止める場所が見つけやすくなる。

植物性プランクトンは、基本、運動能力を持たずに漂うだけ。まさにプランクトンの語源通りです。それを動物性プランクトンが食べるという図式ですので、植物性プランクトンが溜まりやすい場所=エサとなる動物プランクトンが集まる場所という食物連鎖のサイクルになります。

プランクトンのエサとなる有機物の多くは山から川に流れ込み、それを得て成長します。つまり7章の最後に解説した川という地形は、アジングに実は重要なプランクトンの溜まりやすい場所をまずは大きく絞り込んでくれます。

川の流れの影響を受ける、港や防波堤、磯、浜にまずは注目してください。川もどちらかというと清流よりも少々、汚れていると言うと語弊がありますが、富栄養化しているタイプの河川に注目しましょう。プランクトンのエサとなる栄養素を運んでくる川の影響を受けたポイントは、必然的にエサとなるプランクトンが発生しやすい環境を持っています。河川から遠い場所がダメなわけではありません(河川などが効率的に有機物を供給しやすい環境を作り出しているというだけです)。アジが集まりやすい場所の傾向と考えてください。

釣り場所を探すのに、まず開くべきはSNSやブログなどのピンポイントの釣り場情報ではなく地図です。今ではGoogleMapのような便利なネットMAPがありますので、まずはそれを開いて眺めてみてください。ポイント情報だけに頼っていては、とびっきりの釣り場は見つけられません! では、川の近くに港はありませんか? 防波堤がありませんか? 護岸がありませんか? そこは、まずそこがチェックすべきポイントです。

例えば、少々地域規模が大きくなりますが、世界でもトップクラスの魚種が集まる東京湾。いくつもの大河川が集まって、湾になっています。生活排水も入りますので決して、清流というわけではありません。そのかわり、そういった有機物を糧とするプランクトン類は豊富に発生しており、それを求めてアジや小魚が集まり、それを求めた大型の魚たちも多く集まります。まさに理想のポイントを多数形成している場所なのです。

東京湾ほど、広域でなくても似たよな場所は、日本沿岸部には多数あります。まずは、そういった基本を抑えてから良い釣り場を絞り込んでいきましょう。



【Part.2】更にポイントを絞り込む「流れ」と「光」

では、もう少し具体的にポイントを絞り込みましょう。エサとなるプランクトンが重要なのは変わりません。では港や防波堤などのどんな場所に、そのプランクトンが集まりやすいか、それを解き明かす鍵は2つあります。それは「流れ」と「光」です。

【潮の流れを読む】

プランクトンは基本遊泳力があまりありません。つまり、流れにのって漂うだけの存在です。漂うだけの雲霞のような存在と考えてください(特に動物性プランクトンのエサになる植物性プランクトンはほぼ遊泳しません)。となると、プランクトンが溜まりやすい場所というのは海の流れを読めば、どこに多く集まりやすいかがわかります。

潮がどのように流れているかを考えることはとても大事なこと。流れは障害物にあたると勢いを殺し、対流を生み、流れを淀ませたり沈ませたり、上げたりする。そんなに難しくない現象なので、地形を見ながら想像することで、プランクトンの溜まり場を探し出そう。

流れが障害物にあたって滞留したり、流れと流れがあたって一部に集中したりします。そこを探し当てればよいのです。港などには流れを阻み、対流、滞留させるような障害物があります。エサが溜まる場所があれば、回遊性のアジがそこに留まりやすいから釣れるわけです。1級のポイントになりえる理由です。まず、これが1点です。これは、夜だろうが昼だろうが関係ありません。

ですが、昼間は外敵が多く安全に動物性プランクトンを捕食するエリアが深場になりやすく、陸っぱりのアジングでは狙いにくくなります。

【動物性プランクトンの走光性】

そして、もう1点はアジのメインディッシュとなる動物性プランクトンの走光性に注目しましょう。つまり「光」の存在です。動物性プランクトンは基本的に夜行性の種類が多く、これが根本的にアジングがナイトゲームがメインである大きな理由のひとつなのですが、動物性のプランクトンの多くは「走光性」と呼ばれる性質を持っています。単純に光に集まる習性をもっています。山野の夜行性の昆虫もそうですよね。

アジの足を止めるプランクトンは光に集まりやすい性質を持ちます。つまりわかりやすいアジングのポイントのひとつになります。

エサが集まると、当然、アジも寄ってきます。回遊性の高いアジの群れの足がそこで止まります。アジの群れが止まるということは、釣りが成立しやすくなるということです。

ただ、こう言ってしまうと、光の影響のある場所がアジングの好ポイントの絶対定義となりがちですが、もう少し考え方を柔らかくしましょう。確かに常夜灯などの光が動物性プランクトンを集めるので好ポイントにはなりますが、もし、光の影響でプランクトンが集るよりも、効率よくそれ以上のプランクトンが集まる場所があった場合は、狙うべきは後者です。

仮にですが、とある港で常夜灯の設置された場所は潮の流れが速くて、遊泳力のない植物性プランクトンは疎か、多少の運動能力がある動物性プランクトンが留まりきれない場所だった場合。その港内に闇に隠れているけれど、流れが滞留して流れてくるエサが溜まりやすい場所が他にあった場合は、アジは何処に足を止めるでしょうか。ここまで読まれた方はお解りかと思います。後者です。アジが光に寄ってくるということではないことも覚えておきましょう。

探すべきはエサが溜まりやすい場所です。アジは回遊魚。足が止まる場所がなければ勝負になりません。

【Part.3】小魚を意識する

陸からのアジングを意識した時、もちろん例外は存在しますが、小魚系がアジのパターンと成立しやすい時間帯というのがあります。それはは、朝マヅメ、夕マヅメ。しかも、非常に時合(じあい・魚が釣れるタイミング)が短い傾向があります。30〜60分も続けば長い方。数分で終わってしまうことも少なくありません。

エサとなる小魚そのものも遊泳力がありますから、キャストで届く範囲にそのエサの群れがやってきたとしても、プランクトンなどと違い、小魚の群れそのものが移動してしまうことに起因する現象と思われます。ただ、小魚を狙うようなアジの群れは大型の個体が多く、周辺海域のアベレージサイズを上回ることも多く、尺アジ(30cm以上)、ギガアジ(40cm以上)と呼ばれるような大型のアジを狙う場合には、注目したいベイト(餌)とも言えます。

足の早い群れを追いかけやすいメタルジグや、距離を稼げる飛ばしウキやキャロライナリグのシステムでの釣りがオススメですが、アジの回遊ルートを把握できているならジグ単などでも十分に勝負になります。プランクトンを意識したフォールの釣りよりも、小魚を意識したトゥイッチやジャークなどの動きに反応する傾向がありますので、ドリフト、フォールなどの動かさない釣りよりも、動かすことで釣果を上げることができます。

【アジングマニアックス】

街灯がないなら、集魚灯を使ってプランクトンを集めて、魚の足を止めるという方法もあります。下記の商品はハピソンとサーティフォーのコラボで実現した集魚灯。地域によっては集魚灯を陸から使うことを禁止したり制限している都道府県があるので、使用の際は確認いただきたいです。が、近年、港などの主要な釣り場の釣り禁止が増えたりすることでポイントが減りつつあるのも事実。解説させていただいた、プランクトンが集まりやすい地形さえ見抜いて、こういった集魚灯でプランクトンを集めれば、そこがアジングのポイントになります。自分だけのスポットをまさに作り出すこともできます。