昨年の発表からず~っと気になっていたアブ・ガルシアのスピニングリール『ゼノン』がついに発売! そして早速購入しました! 予想通りすごく良いリールなんですが、あれコレは?…みたいなこともありましたので紹介します!
【Profile】
ルアマガプラス編集部・福重
入社して何年立ったか忘れ始めたぐらいの職歴を持つ編集者。特に好きな釣りはバストラウトアジメバロックフィッシュ。パン派のB型。画像はイケメンだった頃のプリクラ(現在は30%増量キャンペーン実施中)。
アブの最新作ゼノンがどう凄いのか…まずはコレを見てくれ!
『ゼノン』のコンセプトや構想がどこよりも詳しく書かれていると思います。多分。
誕生秘話的な部分や、うんちくが知りたい方は↑の記事を読むのがおすすめです。
今回はず~っとほしかった福重がやっと購入して、箱から出した段階での感想です!
箱からかっこいい!
これまでは、アブ・ガルシアのリールはレボシリーズが上位モデルとして多くの機種を展開していましたよね。
今回購入した『ゼノン』はそのレボのさらに上位のモデルになるんです!
その現れか、今回は箱がまずかっこいい!!
箔押しのエンボス加工でアブのロゴと『ゼノン』のネームが入ったスリーブ。
そして内側の箱もシンプルでカッコいい!
開けてみると……。
おお……リールケース。
これまでも一部の上位機種を除き、多くのアブ・ガルシアリールには巾着袋がセットで入っていましたが、このグレードともなれば当然? リールケースですよね~。
ケースの中はこんな感じ。
セット内容は、本体、ハンドル、シンカーキーパー、そして写真にはありませんが、リールフットカバー、スプールの巻き具合を調整するためのワッシャー、取説類です。
他のメーカーもやっていますが、リール本体のみならず、梱包そのものやちょっとしたアクセサリーまで、こだわりが詰まった製品はいいですよね。微に入り細を穿つってやつですね。
前衛芸術の香りが漂う異様なデザイン
いよいよリール本体です。
いや、もう↓の記事で画像は出てるんですけどね。
やっぱり手元に来た自分のモノって、改めてマジマジみたいじゃないですか!
コレ書きながらもすぐ脇にリールおいてますからね(笑)。
うっとり眺めながら書いてますからね!
そんなわけで『ゼノン 2500SH』です!
【SPEC】
●自重:148g
●ギア比:6.2
●最大ドラグ力:5kg
●最大巻取り長:87cm(ハンドル1回転あたり)
●ボール/ローラーベアリング:10/1
●ラインキャパシティ:モノフィラライン6lb-100m/PE:0.8号-150m
●価格:52,250円(税込み)
シルバーベースのボディにスプールの一部とハンドル周りだけが黒という、ありそうでなかったカラーリングです。
カッコいいですね。
パッと見ただけでコンパクトなのがわかる形状は、ある種、異様とも言える風体。
でもよく見るとそれはコンパクトさと頑丈さを求めて最適化された、アバンギャルドなデザインであることがわかるかと思います。
個人的にはビジュアル的な部分ではレボMGXのシンプルさが好きではありますが、ゼノンに感じる機能美的なものにはまた別の魅力を感じずにいられません!
軽いのに強い! 最大の秘密はボディ素材にあり!?
ボディ本体は『ワンピース Feathermetal™ ボディ』を採用。
リールフットからギアボックスまで一体成型されていて、ドライブギアをひとつのパーツで支持できる関係上、回転軸のブレをなくすことができるという代物。
トップトーナメンターにも愛用されたロキサーニのスピニングモデルでも採用されていた、高タフネスな方式です。
軽さでいえば、レボMGXなどで採用されていたワンピース Feathermetal™ ギアボックス+C6カーボンボディの組み合わせのほうが優れていそうですが、ゼノンでは不採用。
素材による軽量化を必要としていない、抜本的な構造の見直しによる最たる例といったところでしょうか。
左右非対称ボディとは一体?
ゼノンのルックスをゼノンたらしめている理由のひとつは『左右非対称ボディ』だと思います。
リールを左右から見てみましょう。
もちろん、ハンドルはどちらにもつけられますが、ボディ左右のデザインが違います。
とはいえ、平面的に見ても、単にデザインが違うだけと思われてしまうかもしれませんので、わかりやすい下側からも見てみます。
どうです?
左右非対称ですよね。
スピニングリールの構造を理解している人であれば、右側の膨らみにドライブギアが入るのだということがすぐに分かると思います。
従来のスピニングリールでは、この膨らみが左右均一か、もしくは膨らみを内包する形で左右対称になっていましたよね。
ゼノンのボディを目にすると、左右対称ボディの内側の空間は何のためのスペースだったのかがわからなくなりますよね。
かつては左右対称ボディであり、現在は非対称が一般的になったベイトリールと似た雰囲気を感じるのもなにか運命的なものを感じます。
スプールとローターにも大きな変化が!
ゼノンの特徴的な形状を決定づけているもうひとつの大きな要素がローターとスプールでしょう。
ゼノンの『C6 V-Rotor』は軽量素材をC6カーボンを使用しているだけでなく、従来のローターに比べて基部が細くなり、ウィング部分がコの字ではなくVの字になるという、斬新な形状からも軽量化と巻感の軽快さを実現しているようです。
このローター基部が細くなったことで、スプールのスカート部分も細くすることができるわけですが、スプール径は糸巻き量やラインの癖といった事情もあり、あまり小さくするわけにはいきません。
そこでゼノンのスプールはスプール径はそのままに、スカート部分を細くしたデザインの『軽量 Air-Fin spool™』を採用しています。
今までのスプールの場合、スプールエッジよりもスカート先端のほうが太いのが当たり前でした。
ところが、ゼノンの場合はスカートのほうが細くなっているんです。
しかもフィンのような構造にすることで、強度を保ちつつも軽量化。
不思議な形のスプールですが、実は凄い意味があったんですね。
ちなみにラインストッパーも改良されており、30lbまでのリーダーであれば快適に挟み込めるらしいですよ!
サイズ感が変わっている! だから軽い!
『ゼノン』の情報が出ると同時に大きな話題となった理由のひとつが軽さ。
今回自分が購入した2500SHはカタログスペックで148g!
市場にある2500番リールでは最も軽い重量となります。
が、じつはこのリール、サイズ感がこれまでのアブのものと違っていて、小さくなっているんです。
もともとアブ・ガルシアのリールはちょっと大きめ。
以前インプレッションしたスーペリアも、他のメーカーの2500番に比べると明らかに大きい印象でした。
他のリールと比べてみた
では実際にどのくらい変わっているのか?
福重のレボMGXと比べてみました。
パッと見でも、ゼノンがひと回り小さいのがわかります。
手に持ってみてもギアボックス周辺や、ローター、スプールと、全体的にスレンダーになっている印象です。
スプールをとって比べてみましょう。
これはとくにわかりやすいかもしれません。
ゼノンの場合、ローターが明らかに細いのと、ギアボックスの幅がかなり狭くなっています。
それでは1番手下げて、レボMGX2000Sと比較してみます。
まだまだゼノンのほうが小さい気がします。
3つ並べてみましょう。
この角度で見ると左2つはあまり大きさが変わらないような気もします。
番手の違いでキモとなる、ラインの巻き量を比べてみます。
レボMGX2000S:フロロ4lb100m/PE0.6号100m
レボMGX2500SH:フロロ6lb100m/PE0.8号150m
スプールのライン巻き量だけみると、あれだけリールのサイズ感は違うのに、ゼノンの2500番とレボの2500番は同等であるといえそうです。
会社にあったルアマガプラス大木のコンプレックスCI4+(私物)とも並べてみました。
こちらのコンプレックスCI4+はコンパクトボディタイプの2500番で、大木はアジングにも使用しているとのこと。
そのリールと比べてもこの小ささです。
ゼノンは本当に軽いのか?
ゼノン2500SHの重量は148g。
他のどのリールよりも軽い! といいつつも、前よりもボディが小さくなっているなら、軽くなって当然だとも思います。
そこで、ゼノン2500SHと用途が変わらないであろう、『PEライン0.8号150mもしくはモノフィラライン6lb100m巻ける』ハイエンドクラスのリール8台とスペックを比較してみました。
メーカー | リール | 番手 | 重量(g) | 最大ドラグ力(kg) | モノフィラライン巻量 | PEライン巻量 | 価格 |
アブ・ガルシア | ゼノン | 2500SH | 148 | 5 | 6lb-100m | 0.8号-150m | 47,500円 |
アブ・ガルシア | レボ MGX シータ | 2500SH | 180 | 5.2 | 6lb-100m | 0.8号-150m | 36,500円 |
アブ・ガルシア | レボ MGエクストリーム | 2500SH | 170 | 3.2 | 6lb-100m | 0.8号-150m | 43,500円 |
シマノ | ステラ | C250SHG | 180 | 3 | 6lb-80m | 0.8号-150m | 80,900円 |
シマノ | ヴァンキッシュ | C2500SHG | 155 | 3 | 6lb-80m | 0.8号-150m | 57,500円 |
シマノ | ツインパワー | 2500SHG | 210 | 4 | ー | 0.8号-150m | 44,000円 |
DAIWA | イグジスト | FC LT2500S-C | 160 | 5 | 6lb-100m | 0.8号-190m | 68,000円 |
DAIWA | ルビアス エアリティ | FC LT2500S-XH | 155 | 5 | 4lb-150m | 0.6号-200m | 57,900円 |
DAIWA | セルテート | LT2500S | 205 | 5 | 4lb-150m | 0.6号-200m | 48,500円 |
こうしてみると、ゼノンは従来のアブ・ガルシアのリールよりも小さくなったとはいえ、DAIWAやシマノにラインナップされている同番手クラスのリールと使用場面的には違いがないといえそうです。
その上で、ゼノンはやっぱり他のリールの同番手と比べても軽いことがわかります。
お馴染みの高機能も満載!
アブ・ガルシアのスピニングリールではトップグレードに位置することとなるゼノン。
当然、レボシリーズにも導入されていた優れた機能を搭載!
その一部を紹介します!
ソルトシールドベアリング
リーリングに違和感を与えることなく、塩ガミを極限まで抑制させられる撥水コート処理ベアリング『ソルトシールドベアリング』をピニオンギア、ラインローラー部分に採用しています。
余談ではありますが、福重がソルトで酷使しているレボ ロケットにもソルトシールドベアリングが入っていまして、未だに塩ガミ感はありません!
それ以外のベアリングも、高性能耐食性素材を使用しています。
フリクションフリー
レボのシータシリーズから導入されている、革新的なメインシャフトの支持機構です。
従来のリールに比べて、圧倒的に少ない摩擦でメインシャフトを駆動させることが可能であり、今までにないアングルから巻き感を向上させているんです!
これは凄いです。未だに他のメーカーが真似しないのが不思議なくらいです!
AMギアリングシステム&COGギアデザイン
独自解析により生み出された最適なギアの歯型(COGギアデザイン)を独自製法(AMギアリング)によって加工されたギアが使用されています。
レボMGX以降、アブ・ガルシアのリールが大きく変わった所以のひとつだと個人的に思っております!
ロケットラインマネジメントシステム
独自デザインのスプール、スローオシレート、ベールの開放角度が組み合わさった、アブ・ガルシア独自のシステムです。
キャスト時のライン放出量が最適化されることで、ロッドの第1ガイドをより抵抗なく通り抜けることでキャスタビリティを向上させてくれるんです。
独自の投げ感があるのですが、これがまた癖になるんです(笑)。
巻心地はどうなのよ!?
スピニングリールでは軽さと並んで重要視される巻心地!
まだ実釣では使っていないので、手に持ってハンドルを回した感想になります。
ズバリ…良いです!
長らくMGXを使っていた福重的には随分ウェッティになったなという感覚ではありますが、レボシリーズのものに比べ、よりスムースに、違和感の無い巻心地になっています。
ただ、ハンドルとドライブギア、ハンドルとハンドルノブの2箇所に若干遊びを感じました。
個体差なのかもしれないのと、工業製品として必要なクリアランスの可能性もあるので、自己責任でシムで調整するのもありだとは思いますが、沼ですね…
その辺はやっぱり国産リールの組み上げ精度を称賛するしかありません(笑)
ただ、編集部で触った人から「確かにすごい滑らかだけど、ス◯ラに比べたら…」と言われましたが、もうあのリールとそうやって比べられた時点で勝ちだと個人的には思います(笑)
なにせ『ゼノン』はハイエンドとはいえ実売価格でアンダー4万円、しかも同クラスのリールでは最軽量ときてますから!
軽さはOK! 頑丈さが本物なら革命的なリールになる……!
実は今回ゼノンを手にしてみて、あれ? 軽い……よな?
と若干不安に思いました。
というのも、持ってみた感覚としてはズッシリに近かったんです。
冷静に考えてみると、重さの感覚って、視覚による影響も大きいと思うんですよ。
つまり、大きく見えるものほど重い、小さく見えるものほど軽い、というイメージがあると思うんです(例外はもちろんありますが)。
ゼノンは確かに小さいので、すごく軽いだろうなという印象を受けるのですが、そのイメージよりは全然重かった。
でもこの感覚こそがゼノンの凄いところを体現しているのだと感じました。
各社が追い求めている、『軽さと頑丈さ』は、基本的には相反する要素です。
それに対するアブ・ガルシアの回答であるゼノンは、頑丈なパーツ素材はそのままに、左右非対称ボディのような今までにない発想を用いることで最大限のコンパクト化を実現、余分なガワを排除することで軽量化を図っているわけなんですね。
つまり身が詰まっている!
ゼノンを使ったプロアングラーの方々はその頑丈さを高く評価したとされていますが、まさしくその通りなんだと思います。
まだ買ったばかりなので使ってはいませんが、強い負荷のかかる釣りに使っても使い始めの性能が長くキープされるのであれば、本当に革命的なリールになると思います。
ただ個人的にはカラーリングがもうちょっと違うと良かったかなと(笑)。
MGXの様に硬派なブラック中心な感じか、せめてローターはクロームメッキが良かったなぁ…なんて(笑)。
近日中に実釣で使って、その使用感もご報告しますのでお楽しみに!