軽すぎアジングロッドは軽いだけじゃなかった! ヒラスズキも釣れる 『エラディケーター リアルフィネス プロトタイプ(アブ・ガルシア)』をインプレッション!



卵よりも軽いという驚きのスペックを誇る『エラディケーター リアルフィネス プロトタイプ』。年末年始の釣り納め・釣り初めにアジングを楽しむ程のフリーク? であるルアマガプラスの大木と福重が気にならないはずが無かった! 職権を乱用し、早速フィールドで使ってきたので、ご報告しますよっと。

【Profile】

大木(オオキ)

1987年神奈川県生まれ神奈川県育ち。ルアマガプラスのリーダー的存在。某釣具量販店の社員経験を持ち、釣具の知識は社内屈指。本人曰く、パチニ小体が少なく、感度ビンビン系のアジングロッドを好む。

【Profile】

福重(フクシゲ)

1988年東京生まれ埼玉育ち。ルアマガプラスのボス的存在(←書きたかっただけ)。大学時代に本格的に釣りにのめり込んだため、若干偏った癖を持つ。体重は3桁を超すが繊細な釣りを好む。ムーバブルファッティ。

『エラディケーター リアルフィネス プロトタイプ』ってどんな竿?

アブ・ガルシアのソルトルアーブランドの中ではトップカテゴリーとなる『エラディケーター』シリーズ。

その中でも、アジングをはじめとしたライトゲームシリーズが『リアルフィネス』。

『プロトタイプ』はこの秋に登場したミドルグレードロッドのソルティステージ プロトタイプにて初めて使用されたコンセプト。

つまりこの3つの名前が組み合わさったハイエンドかつ最新コンセプトのライトゲームロッドが『エラディケーター リアルフィネス プロトタイプ』なわけ。

ちなみにラインナップは4ft6in、5ft1in、6ftの3本。

今回は3種類のロッド全てと最新リールの『ゼノン 1000S』をピュア・フィッシング・ジャパンから貸与。ちなみの残りの2台のゼノンは福重の私物(笑)。

実釣はジョーズガイドサービス・伊藤船長のお世話になりました!
爆雨直後なのに釣果はバッチリ! 凄腕です!

奇抜なルックス! 尖りすぎのセッティング! そもそも使いやすいの?

スケルトンシート

大木「まずは『エラディケーター リアルフィネス プロトタイプ』シリーズ全体の感想なんだけどどうだった?」

福重「スケルトンシートって、見た目からの想像では握りにくいかと思っていたのですが、全然そんなこと無いですね」

大木「だね。スカスカすると思ってたけど、結構手にしっくり来るよね。手も痛くならないし。むしろ軽さが際立つ感じがする」

福重「スケルトンでないグリップって贅肉だらけだったのかなって思ってしまいましたよ」

大木「自虐ネタかな?」

福重「そうそう。福重がグリップなら太くて握れない…ってやかましいわ」

大木「でも握りやすかった上に、50cmのヒラスズキとか尺カサゴを掛けてもパワー不足とか違和感が無かったから、ロッドが軽くなる、っていうメリットにストレートに貢献していると思うな」

福重「あと思ったのが、握りの自由度が高いというか、グリップの仕方が色々できますね。伸ばした人差し指でブランクスタッチできたり、折り曲げた薬指でブランクスタッチができたり…。シェイクのしやすさや手の大きさに応じて好きに持てるってのが良いですね」

マイクロガイド

福重「アブ・ガルシアのロッドと言えばマイクロガイド!」

大木「かなり早い段階からマイクロガイドに注目して採用してるよね。エラディケーター リアルフィネス プロトタイプでも当然マイクロガイドで、使っているのはチタンフレームのトルザイトリングでKRガイドコンセプト」

福重「そもそも小さくて軽いのに、素材そのものも軽いっていう。軽すぎです(笑)」

大木「憧れる?」

福重「デブいじりすな! でもブランクスの性能を活かしきるっていうプロトタイプコンセプトを考えると、ある意味当然というか、さすがハイエンド! って感じですよね。ソルティステージ プロトタイプとは違うわけです」

大木「このあと話すけど、ソルティステージの方とはブランクスも違うからね。パーツ選びは余計重要かと」

福重「ちなみに、マイクロガイドロッドを使ったことがない人のためにどのくらいマイクロかを説明すると、アジングで使うライン(エステル0.3号とか)ですら通すのがしんどいレベル(笑)」

大木「確かに(笑)。薄暗い中とか、ボートの上で揺られながら通すのはなかなか難しいね」

福重「それとリーダー結束部分のガイド抜けは若干気になりました。今回はエステル0.2号だったので結束方法次第だとは思いますが、太いラインを使う場合はよく考えたほうがいいかもしれません」

大木「それは当然ではあるんだけどね。でもマイクロガイドだからこその高い感度はわかる、というか明らかに軽いことによるメリットがある。キャストしているときも操作しているときも、ルアーの重みだけをより明確に感じることができたよ」

ブランクス

大木「マイクロガイドのところで少し話が出たけど、エラディケーター リアルフィネス プロトタイプのブランクスはTAF製法。これだけだとソルティステージ プロトタイプと同じだけど、こっちは素材に東レのナノアロイ技術採用素材『T100G』と『M40X』を使用しているよ」

福重「東レの高性能素材ですよね。どうすごいんですか?」

大木「T1100Gは中弾性、M40Xは高弾性のプレプリグ(カーボン素材)で、どちらもナノアロイっていう軽くて高強度で作れる技術が使われているから、強い、軽い、高感度の究極系みたいな感じかな」

福重「TAF製法のCPCブランクス部分が、東レの最先端素材にグレードアップされてるってことですよね。TAF製法のブランクスってだけでも十分すごかったのに、素材がさらに進化したハイエンドになればそりゃ凄いわけです」

大木「だからこその『プロトタイプ』コンセプトだよね。優れたブランクスの性能を活かすために、余計な塗装をしないし、スレッドも最低限。パーツも極力軽量なものを組み合わせる」

福重「リールを付けないで竿を振ると、ただの棒切れを振ってるみたいな錯覚に陥りましたもん(笑)。でもその分というか、リールは選びますよね。重いリールと組み合わせると、ロッドの性能を活かせなくなってしまいそうです」

大木「それすらも超越する軽さだからある程度軽ければ問題はなさそうだけど、せっかくなら軽いリールと併せたいよね。今回使ったリールは全部ゼノンだからその点ではなんの不満もなかったけど」

福重「あと驚いたのが、軽いのに強かった。それも曲がらない強さじゃなくて、しっかり曲がって、なお強いっていうんですかね」

大木「アジを釣り上げるロッドという意味ではオーバースペックかなと思うくらい強いよね。ヒラスズキをかけてもロッドには余力を感じたし、ライトゲームロッドとしてアジ以外の魚を狙うのも楽しそう」



各モデルの使用感

ERFS-46Pro-ST Navigator(ナビゲーター) 

  • 全長:4ft6in
  • 仕舞寸法:137cm(1ピース)
  • 重さ:27g
  • 対応ルアー:0.1~1.5g
  • 対応ライン:~0.3号
  • パワー:スーパーウルトラライト
  • アクション:スロー
  • 価格:52,800円(税込)

大木「まずは46ね」

福重「いきなり来ましたね。三本のラインナップの中でも、明らかに個性的ですよね」

大木「5ftと6ftの調子がファーストなのに対し、この46 ナビゲーターだけがスローテーパー。これはエラディケーター リアルフィネスで登場した同系列のロッドの後継といったところかな」

福重「スローテーパーとは言いますが、東レ素材を使ったTAF製法ブランクスのおかげで凄くシャッキリしてますよね。ロッド全体を曲げて投げてるのに、収束が早いから投げてて気持ちよかったです。めっちゃ短いですが、ロッド全体の反発力で投げられるので、軽いジグ単でも十分飛ばせましたよ」

大木「ショートレングスな分、曲がるセッティング(スローテーパー)にしていて、でもTAF製法だからスローテーパーの弱点とも言えるダルンダルンな感じをカバーできている、ってのはよくできてるよね。シェイクはもちろんダートの釣りもできたし」

福重「めっちゃ釣ってましたよね(笑)」

大木「でもビンビンな感度では無いかな。もっとガツガツ手元に来る方が個人的には好き」

福重「それ、乗らないアタリを感じてるだけですって(笑)。横から見てるとむしろ効率的に釣ってたし、相性がいいんだと思いますよ(笑)」

大木「えー…」

福重「自分的には感度が不足している印象は無かったですね。ただ、シェイクしている最中に潮が効いている場所に入ると竿が曲がりすぎてシェイクできなくなることがちょくちょくありました」

大木「確かにそれはあったかな。よく曲がる分、潮がキツイ場所なんかでは操作感が悪くなっちゃいそうではあるね。あとフッキングパワーの伝わり方が変わってくるから、ドラグ設定とかフッキングの仕方とかにちょっと慣れが必要かも。でもやっぱり曲がる利点は掛けてからの安心感だよね」

福重「ダンピング性能が半端ないですよね。元気なアジのツッコミも余裕ですし、万が一大きい魚が掛かっても安心だと思います」

ERFS-51Pro-FS Arousal(アラウザル)

  • 全長:5ft1in
  • 仕舞寸法:79cm(2ピース)
  • 重さ:31g
  • 対応ルアー:0.1~2g
  • 対応ライン:~0.3号
  • パワー:ライト
  • アクション:ファースト
  • 価格:53,350円(税込)

大木「次は51で」

福重「これはあれですね。大木さんの好きなロッド(笑)」

大木「そう。これが最高だった(笑)」

福重「ビンビンな感度なわけですね」

大木「そうそう。全部掛けたくなる(笑)。でもダートもシェイクもリグの操作感は一番良かったと思うよ」

福重「たしかにそうですね。一般的な成人男性のロッドワークで一番しっくりきやすい長さなのかもです」

大木「そういう意味ではオーソドックスな1本かなと。従来の掛けのアジングロッドをより高スペックにした感じで」

福重「うんうん。高次元って感じがしましたよね。ソリッドティップを搭載しているのですが、全体の重量が軽い分バランスセッティングに余裕があるのか、全然持っていて違和感が無かったですし」

大木「安価なソリッドティップロッドだと握ってるだけで穂先の重さを感じるもんね。このロッドはあまりそれを感じない。むしろ軽いジグヘッドの操作感も良かった」

福重「46と比べるからではあるのですが、掛けたときの曲がらなさはちょっとドキドキしますけどね(笑)」

大木「それはあっちが曲がり過ぎなの(笑)。確かにこっちのロッドのほうがよりドラグやロッドワークを駆使してやり取りする必要はあるけど、掛け調子のロッドとしてはそれが普通だからね」

福重「ヒラスズキを掛けてましたけど、パワーはどうでした?」

大木「強かったね。50cmだからアジングロッドで考えるとかなりオーバーパワーな魚だけど、結構余裕だった(笑)。31gしかないロッドで、あれだけのパワーはホントに凄いと思うよ」

ERFS-60Pro-FS Barbatos(バルバトス)

  • 全長:6ft
  • 仕舞寸法:93cm(2ピース)
  • 重さ:39g
  • 対応ルアー:0.1~2.5g
  • 対応ライン:~0.4号
  • パワー:ライト
  • アクション:ファースト
  • 価格:53,900円(税込)

大木「最後は60のバルバトスって竿だね」

福重「止まるんじゃねえぞ…」

大木「?」

福重「なんでも無いです(笑)。アジングロッドとしては割と普通な長さですが、ほか2本を触っているとものすごく長く感じました(笑)」

大木「それね。でも重いわけじゃないってのが凄い」

福重「そうなんですよ。長いけど軽い。当然、3本の中では一番遠投しやすいわけですが、シェイクしたりの操作感も劣りませんね」

大木「よくある表現で言えば、『長さを感じさせない』ってやつだよね。新しいTAF製法ロッドの軽さの恩恵が一番大きいロッドって感じ」

福重「何せ39gですからね」

大木「普通の『エラディケーター リアルフィネス』は一番軽いロッドでも52gだったから、相当な軽量化だよね」

福重「マジっすか!? すごすぎる…」

大木「面白いのが、ソリッドティップのファーストアクションなのでセッティング的には51とほぼ同じスペックなんだけど、長い分、乗せよりになっている感じがしたんだよね。公式サイトの文言を見ると掛け調子のロッドなんだけども」

福重「46が乗せ、51が掛けと考えると、この60は中間になるんですかね。潮の感じとかはこのロッドが一番わかりやすかったですよ」

大木「確かに、46だと潮に負けることがあるし、51だと逆に潮を感じにくいようにも思えたから、中間かもね。シチュエーション問わず使いやすいモデルが好みの人とか、シンプルにアジングロッドのハイエンドが使いたい人にはこのモデルがぴったりだと思うし、値段の差をそのまま感じられると思うな」

福重「対応ルアーウェイトやラインも3モデルでは一番上限が高いので、アジング以外にも頼れる場面が多そうです!」

総評:好みのアジングロッドの最強系をお試しあれ!

福重「なんというか…どれもすごかったですね」

大木「語彙力不足かよ」

福重「でも他のメーカーの同じくらいの価格(5万前後)のロッドも使ったことがあるし、アブのエラディケーターリアルフィネスも触ったことはありますが、それらとの違いははっきりわかりましたよ。どれが一番優れているか、とかではではありませんが…」

大木「確かに、アブ・ガルシアがこのロッドを作る上で何を求めて何処を目指したのか、っていうのがすごく伝わるよね」

福重「明らかに軽いというのはもちろん大きな利点なんですけど、アジングロッドってそれが全てじゃないじゃないですか」

大木「そうだね」

福重「このエラディケーター リアルフィネス プロトタイプは、おそらく軽さに注目が集まると思うし、わかりやすい特徴だから印象にも残ると思うんです。でもそれは『優れたロッド』であるための要因の一つでしか無いんですよ」

大木「結果として軽くなってるけど、TAF製法、トレカT1100G、M40X、マイクロガイド、スケルトンシート。そしてそれらを組み合わせるための『プロトタイプ』っていうコンセプト。その全てが絶妙に混ざり合って完成度の高い優れたロッドになっているって感じかね」

福重「ですです。相反するような性能も上手いこと融合している。まるで乳化みたいな(笑)。だから今どんなロッドを使っている人でも、触ったら好みはともかく何かが違うってのに気がつくと思うんです。そしてその違う部分はきっとそのまま釣りのプラスアルファになる、つまり武器になると思いますね」

大木「まずは掛け、乗せ、その中間と、アジングロッドの好みに応じて3本の中のどれかを触ってみてほしいよね。どのタイプも突き詰められた性能になってるしね。それにしても乳化って(笑)」

福重「油分と水分が混ざり合うことなんですよ。ラーメンとか、ピザとかで美味しさの要因のひとつになるらしいですよ」

大木「ピザwwww さすがフクちゃんwwww」

福重「だからデブいじりすな(笑)」

関連記事はコチラ