奥村和正が語る「ボディ素材」に拘ったジョイントルアーの魔力とは!?



でかバスファクトリーブランド「deps(デプス)」の代表であり、これまで数多くの名作ジョイント系ビッグベイトを開発してきた奥村和正さん。デプスルアーにおけるジョイント機構の出会いとこれからを語って頂こう。

【Profile】

奥村和正(おくむら・かずまさ)

ビッグバスへ焦点を当てたモノ作りで、絶大な支持をあつめるモンスターファクトリー。日本のビッグベイト黎明期に池原ダムでモンスターを仕留めるも「奥村はデカいエサを投げている」と勘違いされたエピソードも。

「シェル×ダンパー」の閃き

学生のころに出会ったラパラCDJ(カウントダウンジョイント)は、その形状と泳ぎにメチャクチャ感動したけど、本家ほどは釣れなかったな…と奥村さん。時は経ち、第1次ビッグベイトブーム前夜にジョイント系の洗礼を受ける。ビッグベイトの深いセカイにのめりこむうちに、ふと閃きが訪れた。

奥村「ウチのビッグベイトは、樹脂製のコアボディとソフトシェルの組み合わせを含めた全体を思いついたのが始まり。サイレントキラーとスライドスイマーの開発も、同時に始まった。当時は175でも、大きい部類と言われてたなあ」

樹脂ボディでありながらも、ソフトなシェルをまとってなまめかしさを併せ持った両モデル。前方からの水流をシェル下に通すウォーターダクトシステムも画期的だが、なんといっても白眉はソフトシェルのダンパー仕様。意図的にボディより長めに設定されたシェルの端は、アクション時、前後のボディが接触したときに『たわんで・押し戻す』のだ。

サイレントキラー175(デプス)

デプス初のビッグベイトとしてリリースされたサイレントキラー。サイレントキラーと互換性のあるボディ構造を持つのも、当時は画期的なシステムだった。

奥村「筋肉的な役割を果たすうえに、サウンドレス。これはすぐ形にしたいなと開発を始めた。…最近は、無残にもそのクッション部を切ってしまって、可動角を大きくしてデッドウォークするのが霞ヶ浦とかで流行ってたけど。キモの部分なのに!(笑)」

魚皮貼りのような生命感とダンパー性能、そしてテールまで一体で作れる…とメリットの多いプロダクトになったが、リップつきのサイレントキラーと、いわゆるS軌道を描くスライドスイマーの発売が前後したのは、ワケがあった。

奥村「2003年ごろ、センドウアキラがモンスタージャックのリップレスチューンを作って、ただ巻きでスライドアクションが出るというのを見せてくれて。確かに凄い! と感じてスライドスイマーへと繋がっていった。だけど…」

脳裏をよぎったのは、デプス最初のリリースとなった名作Bカスタム。

奥村「当時、波動が弱すぎるだの、手応えがなさ過ぎてノー感じだの、さんざんに言われて。それがトラウマになっていた(笑)。だから、リップ付きのサイレントキラーから発売して。ジョインテッドクローを皮切りにリップレスジョイントビッグベイトが一気に世の中へ浸透したので、スライドスイマーも安心してリリースできた」

スライドスイマー175(デプス)

2005年に、ウェブメンバー用先行販売・テストモデルとしてお目見えしたのが最初。開発時は背面フックでの仕様を考えていたが、動きが出ずにお蔵入りに。

その後はサイズ展開でラインナップを充実しながら、素材のマイナーチェンジや、ジャイアントベイトとして250サイズをリリースするなど常にアングラーを牽引してきたデプス。数年前からメディアを賑わせてきたジャイアントベイトの意欲作が、今年メジャーリリースを向かえる。

スライドスイマー250(デプス)

サイレントキラー250も同時に展開し「ニーゴーマル」の愛称で、ジャイアントベイトの威力を全国区に底上
げした名作。もはやこのサイズがスタンダードか!?

奥村「ギラギラコウゲキ、な。スタートは、サカマタシャッドのノーシンカージャークをジャイアントベイトでやりたいな…しかも、マグナムスプーン並みのフラッシングを出そう、という完全個人的なワンオフ品。ジャークでの横っ飛び後に、自発的なフワっとしたアクションを出すためには、やっぱりジョイント構造が必要だった。だけど、センターに関節を持ってくると、ただのS字系になってしまう。だから後ろに設定したんだけれど…これが難しい。何度、ジョイントを前にして逃げようかと思ったことか(笑)」

ギラギラコウゲキ(デプス)


長年スクープ記事の常連となっていたダート系ジャイアントベイト。後方ジョイントの理由は本文を参照してほしい。2021年内一般リリース予定。

あとは速巻きも対応できるセッティングが詰められたら、完成という段階で、足踏みしてしまった。

奥村「あるとき、AとBの試作があって。Aは合格、Bが不合格だった。たまたまタックルが入れ替わってテストしてみたら、結果は逆になった。違いは…リールのギヤ比。ハイギヤだと合格の動きが出る。なぜなのか?マックススピードで速巻きしたとき、ローギヤだと、ルアーのスピードがリーリングのスピードを一瞬追い越してしまい、動きが破綻してしまっていた。そんな単純なことで、問題が解決してしまうことも、ルアー作りでは多々ある。…ということは、それまで不合格にしたプロトにも、合格個体があったんじゃないかと(笑)」

ギラギラコウゲキも、トータルでプロトの数は100をゆうに超えたという。そんなトライ&エラーを経てリリースされるルアーだから、熱狂的な支持者を生みだすのだろう。



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