「味のよさ」が語源の魚を知っていますか? 水中写真で見るサカナの生態:マアジ編



海の中はどうなっていて、どんな魚がいるのだろうか。魚たちが暮らす場での、そのリアルな生活を垣間見たい。そんな思いで水中に潜り、撮りためた写真を集大成しました。アジはそのものずばり「味がいい」からアジと呼ばれるようになった魚。我々日本人の生活に最も密着した魚種と言ってもいいかもしれません。釣りの対象としても人気で、身近な堤防釣りから良型を狙える船釣りまで、さまざまな釣り方で狙われています。

(※本原稿は『水中釣魚ワールド』からの抜粋です。)

水中写真で見るサカナの生態:マアジ編

【Target Profile】

マアジ

スズキ目アジ科で北海道〜九州にかけて広く分布。群れで生活し、いわゆる多獲性魚類として重要な水産資源でもある。

日本で最もポピュラーな魚・マアジの生活

マアジは堤防釣りでもおなじみの魚で、釣り人なら誰しも1度は釣ったことがあるポピュラーな魚といえるだろう。どこにでもいて簡単に釣れそうに思うが、実は好みの水深を激しく移動する魚。表層にいるかと思えば、底に沈んで動かなかったりするのだ。居場所を探るのが難しくもあり、探り当てると楽しくもありという感じだ。

15〜25cmくらいのアジが浅い藻場に群れていた。けっこう警戒心が強くさっと逃げたりもする。
一方、水深25mほどの海底付近にはアジの大群。30〜40cmほどの大きさで、あまり動かない。


アジはエサを吸い込むように捕食する

ピーカンの日中に海中で見かけるアジの群れは比較的海底付近にいることが多い。しかし、朝夕、夜間にはかなり上層、ときには水面下にまで浮いているのを見かける。それはマアジたちがエサを取るためだと思われるが、接近してよく見ると口をパクパクして、何か吸い込んで食べているのが分かる。

アミエビを撒いてみると、目の前でスパッと吸い込むように捕食した。

日没が迫る海に潜り、アジの群れに対してアミエビを与えてみたことがあるが、何尾かがアミエビをスパスパと吸い込んで口にすると、周りのマアジたちも刺激を受け、ほどなく目の前はアジのカーテン状態になった。注目すべきなのは、アジの群れの上下の幅で、いわゆる層的な広がりが何倍にもなっていた。活性が上がると群れが膨らみレンジも上がることを実感したのだった。

釣り人が撒き餌を使い、活性が高まると群れの秩序が崩れてレンジの幅が大きく広がった。

(※本原稿は『水中釣魚ワールド』からの抜粋です。)

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