冬の霞ヶ浦水系バス釣り攻略を安江勇斗さんが実践詳解



使うルアーの選択肢が限られる冬は、新たな戦略が生まれにくい。話題の新メソッドに手を出してみても、バイトは遠く、いつもの定番に結び変えてしまう。でも、旬な釣りを試し、やりきったアングラーはしっかりと結果を得て、確実に引き出しを増やしているのだ。

旬を逃さず、取り入れる。

冬の霞ヶ浦水系定番だけではない安江勇斗の現在進行形

今回、安江勇斗さんには、「霞ヶ浦水系で実践する冬の釣りを解説してほしい」という、至ってシンプルな企画で取材をお願いした。事前の打ち合わせで安江さんが挙げたルアーは3タイプのみ。メタルバイブ、超高比重ワームのノーシンカー、そしてビッグベイト。当日はそれぞれを、場所に応じてローテーションしながら展開していくという。

【Profile】

安江勇斗(やすえ・ゆうと)

バスプロを生業にと心に決め、愛知県から東のビッグレイク・霞ヶ浦の畔へと移住。今季JBマスターズでは、霞ヶ浦戦3位、野尻湖戦6位。着実に階段を昇り続ける29歳。

固定観念を極力なくす

エリアなのか、スポットなのか、場所の見方で『プロテクト』の意味は異なる。

朝は10℃台前半、日中は20℃近くまで上昇する日が続いており、木々の葉がようやく茶色くなり始めたなかでの「冬の釣り」取材。安江さんは秋も冬も釣れる場所を意識してエリアを展開した。

午前中は西浦最北の土浦エリアに注ぐ、水量の多い流入河川(清明川、花室川、桜川)で、インレットや橋脚周り、沈み物のあるサンドバーやハードボトムをカバースキャットのボトムトゥイッチでチェックした。

決めつけないことを決めているアングラー

取材当日、潮来インターにほど近い道の駅を待ち合わせ場所に指定したので、いわゆる下流エリアを中心に回るのだろうと予測していた。ところが、朝一番に下流(牛堀の消波ブロックと夜越川の水門周り)の定番スポットを足早にチェックすると一気に北上。土浦エリアに注ぐ河川の下流に多くの時間を割いたのだった。まだ11月初旬であり、「冬にも有効な秋エリア」を意識したという。実績こそないが、反応(バイト)は得られているので検証したい、と。

結果から先に言ってしまうと、魚を手にすることはかなわなかった。しかしその展開は、常に新たな引き出しを模索する『安江勇斗のスタイル』を象徴していたのだと感じる。

安江さんが冬の霞ヶ浦水系でよく攻めるエリア

安江さんが冬によく狙うエリアとして挙げてくれたのは5ヵ所。本湖・境島、北利根川(牛堀など)、常陸利根川(高浜など)、鰐川(旧有料橋周辺)、北浦・水原。このうち、境島と水原にはリップラップが、他の川エリアは消波ブロックやキンチャクと呼ばれるロックユニットなどプロテクト構造物が存在する。

いずれも同水系では定番となっている冬エリアであり、実績は高い。冬のオカッパリではまず、これらをローテーションするのが良いだろう。

教科書的に考えるなら、北風のプロテクトエリアは冬に場所を選ぶうえで条件のひとつになる。しかし、たとえ風下でも沖にリップラップがあったり、護岸際に消波ブロックがあればそのインサイドはプロテクトされる。

安江「フィッシングプレッシャーも違うし、エリア毎に特徴を見ていくべきだと思います」

横移動は無理でも縦なら動けるのが冬

2ウエイトを上と下で使い分ける

サーキットバイブ( デプス )

1/8oz
1/4oz


主流は軽メタ

ここからは現時点で安江さんの冬戦略に欠かせないルアーについて、具体的な使い方を紹介しよう。

まず、朝一番、牛堀の消波ブロックで起用したサーキットバイブ。霞ヶ浦水系のみならず、全国のさまざまなフィールドで冬の主役に君臨しているメタルバイブだが、「釣れる魚のサイズに幅があるぶん、可能性は高くなりますね。寒さが厳しくなればなるほど、強い」と安江さんも信頼を寄せる。

興味深いのは、まさにその朝イチに繰り出した1/8ozの『軽メタ』メソッド。アクション時のフラッシングがわかるくらいの上層で、メリハリの利いたショートリフト&フォールを繰り返していた。ボトム付近まで沈めないぶん手返しが速く、ルアーを目で追えるのもおもしろい。バスがもんどり打てば、実にエキサイティングだろう。

安江「冬は、横方向にはなかなか動けないけれど、上下動はけっこうできるイメージなんですよね。ヤル気のあるヤツを浮かせて食わせる。もちろん、反応がなければ誘うレンジは徐々に下げていきますけど」

2ヵ所あるアイは、立ち上がり優先&タイトアクションの前側スナップ接続。

この水系で軽メタが普及したのは2019年の冬からであり、今年で3シーズン目を迎えることとなる。これが通常のルアーなら旬を過ぎた感もあるだろうが、出番が冬に限定されるメタルバイブ、しかもリアクションの釣りだけにまだまだ試す価値はある。

1/8ozという軽いサーキットバイブを用い、表〜中層で誘う『軽メタ』。とくに朝マズメのフィーディングタイムには、厳寒期でさえ浅いレンジに反応する個体がいることを覚えておこう。従来の使い方=ボトム付近で活性の低い魚を狙うなら1/4ozを使用する。
今回挙げてくれた3タイプのうち、ルアーのサイズ的にも、小さな越冬個体からヤル気のあるビッグフィッシュまで幅広く反応させられるのがサーキットバイブ。そのぶん釣れる確率は高くなる。
まずは浅いレンジでシャクる。
ロッドの長さぶんくらい垂らしを取った状態でブロックの穴に落とし、表層からアクションを開始。手首のスナップを利かせて、ロッドティップで叩くようにショートリフト&フォールを演出していた。反応がなければ、巻き取らずそのまま水面から持ち上げて次の穴へ。

サーキットバイブ用タックル

安江「ややロングレングスだけど硬すぎず柔らかすぎず、しなやかでメタルバイブを動かすのにちょうどいい。長さがあるぶん、根がかりしたときにも外しやすいというメリットがあります。シャッドにも使えるし、とても汎用性の高い1本です」
  • ロッド:サイドワインダーHGC-610MLXF/GPバーディック(デプス)
  • リール:SS AIR8.1L(DAIWA)
  • ライン:Bawoエクスレッド8lb(東レ・モノフィラメント)

ボトムトウィッチでフラットエリアを探る

冬の新定番は、マッディシャローレイクでもその実力を発揮する!

カバースキャット3.5in( デプス )

ノーシンカーリグ
フックはダブルエッジ#5/0(リューギ)。「リミットでもいいんですが、ラインが20lbだとスタックしたときにフックを伸ばして回収できるケースがあるんです」。対スモールマウスは現在、ベストセッティングを模索しているという。
着水後はカバースキャットをボトムまでフリーフォールさせ、さらに充分時間をとってラインもボトムまで沈めたうえでトゥイッチ。「岩とか、障害物へのコンタクトを感じたときにアクションを与えるのがベストです。ズル引きでそれを探すのもアリかもしれませんね」。

可能性は未知数

安江さんがメインに使用していたルアーはカバースキャットだった。琵琶湖ガイド、冨本タケルさんが世に広めたボトムジャークが同湖のみならずリザーバーをはじめ、さまざまなフィールドで釣果を生んでいるのはご存じのとおり。しかし、ルアーそのものが入手困難な状況だからか、操作に時間がかかるイメージ先行のためか……注目度の高さの割りに普及していないように感じる。クリアレイク+ディープのワザという先入観も手伝うのか、特にマッディシャローレイクでこれを使用しているという話はとんと聞かない。

安江「いや、ぜんぜんアリですよ。水深が浅いぶん、ボトムまでフォールさせるのに時間がかからないから、ほかの湖に比べたら効率がいい。ただ、僕自身もまだ使う場所も含めて検証している段階です」

ルアーのみならず、20lbという太径で重さのあるフロロカーボンラインを使用、それ自体もボトムに這わせて存在を消し、ロッドワークでアクションを与えるメソッド。これが水深10mを狙うとなると、ラインを沈め切るまであまりにも時間がかかり「待てない」という向きもあるだろうが、霞水系のオカッパリなら、届く範囲は深くてもせいぜい2〜3m。キャスト〜ピックアップに要する時間はリザーバー等の比にならない。

安江「霞水系の場合は濁っているから、厳密にラインを沈め切らなくても許されるかもしれませんトウィッチが(笑)」

手首のスナップを利かせた横へのトゥイッチでアクション。ラインスラックは、そのままグリップを握る手の中指でスタードラグを弾いてハンドルを回転させ、巻き取る。ルアーを回収する以外は片手で操作を行なっていた。

野尻湖戦6位入賞の立役者スモールマウスにも効果絶大

9月下旬に行なわれたJBマスターズにおける安江さんのメインベイトはカバースキャットだった。2lbクラスの極細フロロが主流になるなか20lbラインで応戦! その模様はYouTube『ヤスエガイドチャンネル』で視聴可能だ!!

カバースキャット用タックル

安江「このロッドはまさにノーシンカー系のジャークを意図して作られているので、操作性が極めて高いです。アタリもちゃんと伝えてくれて、何よりバットがしっかりしているから、ディープで食わせてもフッキングが決められるんです」。
  • ロッド:ゲインエレメントGE-66MH+Rソフトジャーキングエレメント(デプス)
  • リール:タトゥーラ SV TW7.3L(DAIWA)
  • ライン:Bawoエクスレッド20lb(東レ・モノフィラメント)

条件が整ったときいい魚を獲れるのがビッグベイト

ヤル気のある個体に仕掛けていくためのツール

スウィートキラー( デプス )

安江さんのスウィートキラーはごくごくスローフローティングになるよう、ウエイトを貼っている。「若干の個体差もあるし、使うラインの素材や太さでも変わってくるので、貼る重さは自分で調整するしかないですね」。

目で見ながら誘う釣り

国内でビッグベイトが普及してかなりの時間が経ったが、霞ヶ浦水系でハッキリと盛り上がりを見せたのは2019年のこと。使うルアーやアクションの流派は違うものの、霞のスーパーロコたちが同時多発的にSNSで釣果を発信したのは記憶に新しい。ところが、20〜21年の冬にはトーンダウン。前シーズン、流行りに乗って試してはみたものの結果を得られず、以後封印というケースが多かったのではないか? そんななか、ナイスサイズを手にしていたアングラーのひとりが安江さんであり、使っていたルアーはスウィートキラーだった。

トゥイッチによるロッドアクションとデジ巻きの融合により、移動距離を抑えたキレのあるテーブルターンを演出する。その動きの強弱を水温低下に応じて調整し、厳寒期はスローに、ステイやデッドスティッキングも交えつつ、モンドリバイトを誘発する。

そのサイズゆえ、食えばデカいのはいわずもがな。そして自分で操作し、動きを目で追いながら、常にビッグバイトをイメージできるこの釣りは、寒くてもモチベーションを保てるおもしろさがある。

安江「何日か穏やかな日が続いたあとの朝マズメだったり、暖かい日の夕マズメだったり、好条件が整って〝今日は勝負してもいいかな〟と思えるときのほうが釣れますね」

冬の定番はいくつかあるけれど、1日のなかで訪れるチャンスはほぼ等しくわずか。そしてやり切ってこそ、答えに辿り着くのも冬の真理。で、あるならば……。

安江「流行ったものって廃りはするけれど、そもそもポテンシャルは高い。だから、旬なうちに自分の持ち駒にしてシーズナルな釣りに組み込んでいくのがいいと思います」

ひたすら護岸際を狙うのもありだが、食わせどころが明確なほうが効率はいい。こんなふうに沖に伸びるキンチャク(ロックユニット)と護岸の角や、護岸に近接するカバー、アシ際などは必ず狙うべし!!
テーブルターン(いわゆるデッドウォーク)は、ロッドでトゥイッチしつつわずかにリールのハンドルを回転させて行なうのが安江流。背中が目立つカラーを使う、もしくはマーカーを貼って動きを確認しながら操作したい。
スウィートキラーならではのグッドコンディション。今回紹介した3つのルアーは、時間や状況、場所に合わせて繰り出すこともあるし、反応がないから替えることもある。引き出しを増やすなら、こうと決めつけないことも大切だ。

スウィートキラー用タックル

安江「しっかりと曲がってトルクフルなロッド。瞬間的なロッドワークが加えられる一方、その名のとおりカバーゲームでの取り回しに長けているので同じタックルをもう1セット用意していて、そちらはカバー撃ちに使ってます」
  • ロッド:ゲインエレメントGE-68MHRカバーゲームエレメント(デプス)
  • リール:タトゥーラ SV TW7.3L(DAIWA)シャロースプール仕様
  • ライン:BRGDエクスレッド20lb(バスブリゲード×東レ・モノフィラメント)

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