ism(INFINITE SEEDS MAKERS)の新作バスロッド『インフィニットブレイドRe』が6月に発売予定ということで、少々早いタイミングだがism代表の杉山貞圭さんに話を伺ったところ…その実態は2ピースモデルという。ということは、名前から想像するに同社の看板1ピースロッド・インフィニットブレイドの2ピース版か? と勘ぐってみたのだが、どうもそうではないらしい。そのヒントは名前のRe=Real Effective(真の効果)に隠されているらしいのだが…2ピース化による真の効果って、一体何だ!?
【Profile】
杉山貞圭(すぎやま・さだよし)
ism(INFINITE SEEDS MAKERS)の代表取締役。バス業界では『ロン毛社長』のニックネームでおなじみ。バスボートにカラーリングを施す“ラッピング施工”のお仕事もしていたりして、全国を飛び回っては釣りも楽しむ毎日。
日本バス釣りの代表=オカッパリアングラーに捧げる『1ピース以上の2ピース』
――今回紹介する『インフィニットブレイドRe』ですが、既存のトーナメントスペックモデルである1ピースモデル・インフィニットブレイドの2ピース版、というわけではないのでしょうか?
杉山「まったくの別物です。1ピースのインフィニットブレイドはトーナメントを主眼に置いたモデルですが、新作のReはオカッパリゲームをメインに考えたコンセプトです。というのも、少なくとも日本のバスフィッシングの現状は、大半がオカッパリアングラーで占められています。にもかかわらず、道具であるバスロッドは何故かトーナメント志向の1ピースが重きに置かれているという、ある種の矛盾が存在しています。
しかもトーナメント志向のバスロッドはルアーの操作性を重視していることもあり、ティップの“ホンの一部”しか曲がらないものが多い傾向。正直キャストはしづらく、飛距離を出して広く探る必要があるオカッパリでは使いやすいとは言えません」
――確かに…。ルアーの重みをしっかりと乗せて、反発力を活かしてキャストするのは、キンキンのトーナメント用ロッドでは慣れが必要ですね。
杉山「しかも、トーナメント用ロッドは用途が細分化されているため、複数のルアーを使おうとすれば相当数のロッドを用意する必要があります。トーナメンターのボートデッキ上に、多い人なら20本前後のロッドがズラリと並んでいるのはそのためです。しかし、オカッパリアングラーはフィールドを徒歩で移動するので、そんなにたくさんのロッドを持つことはできません。こういった“決して使いやすくない道具”で、頑張って何とか釣りをしているオカッパリアングラーにもっと使いやすく、楽しんでもらえるロッドを作れないものかと試行錯誤した結果、ティップ側とバット側を別々に作る2ピースモデルへと辿り着きました」
携行性はあくまでも副産物。重要視したのはしっかり曲がることによる使いやすさ
――ということは…携行性を追求した結果の2ピースではなく、第一の目的はオカッパリアングラーが使いやすい、トーナメント用ロッドとは違うアクションを持つロッドを作るための2ピース、ということでしょうか?
杉山「オカッパリアングラーには公共交通機関や原付バイク、自転車などで移動する方々もいるので、携行性に優れているというのは重要です。でも、それを第一に考えたわけではなく、ご指摘の通りオカッパリアングラーが使いやすいアクションを最優先に考えた結果の2ピースです。
そもそも2ピースロッドというのは1ピースロッドを作ってからそれを半分に切り、ジョイントを付け足したというものではありません。ティップ側とバット側のブランクスをそれぞれ別に作るのです。だからオカッパリアングラーが本来好むティップからベリーが柔軟に曲がってキャストしやすくルアーが操作しやすい、一方でバットはがっしりとしたパワーがあってフッキングが決まりやすくカバーからも引き剥がしやすいという、前半ソフト&後半ハードというアクションのロッドが作りやすいんです。
仮にコレを1ピースでやろうとすると、部分ごとのカーボン素材やテーパーの変更を細かく設定しなければならず、相当なコストが掛かってしまって販売価格もかなり高価になってしまうでしょう」
――なるほど…。オカッパリアングラーが使いやすく携行性にも優れ、なおかつおサイフにも優しいとなれば、言うことなしですね!
杉山「だからといって、仕上げに手を抜いているワケではありません。リールシートやスクリューはインフィニットブレイドと同様のパーツを採用し、グリップは感度だけでなく耐久性なども考慮してのEVA」
杉山「ガイドはステンレスフレーム&SiCリングの組み合わせで、汎用性を重視して極端な小口径化は避けています」
杉山「そして、ジョイント部分はティップ側を細くしてしなやかに曲げられると同時に、バット側が太くなってより強靱さを確保できる逆並み継ぎ式を採用しています」
フィネスモデルの『IBRS-63UL1L2』はライトリグを広く扱えるのはもちろん、とにかくキャストがしやすい!
――では、Reシリーズの中でもっともフィネスな位置づけのスピニングモデルである、IBRS-63UL1L2について詳しく教えてください。
インフィニットブレイドRe IBRS-63UL1L2(ism)
【スペック】
- 全長:6ft7in
- 継数:2
- アクション:ティップ側L、バット側ML
- 適合ルアー:1/16~1/4oz
- 適合ライン:2~8lb
- 価格:32,780円(税込)
- 発売時期:2022年6月予定
杉山「ティップ側がULアクション、バット側がLアクションという、ライトリグ全般をカバーできるロッドです。1ピースのインフィニットブレイドにもULやXULといったライトリグ用ロッドがありますが、これらにはソリッドティップを採用しているので汎用性という意味では難しく、それぞれ快適に扱えるリグは限定的です。でも、今回の63UL1L2はチューブラー構造でも超ソフトなティップでリグ操作にも優れているので、ダウンショットリグからネコリグ、ノーシンカーリグはもちろん、小さなハードルアーまで使いこなせます」
杉山「そして、一番伝えたいのはキャストのしやすさです。前述のソリッドティップモデルを含めたトーナメント用ロッドの多くは、超ファストテーパーなのでティップの“先の先”しか曲がらず、リグの重みを乗せてキャストすることが本当に難しい。
ところがベリーからティップがしなやかに曲がるULアクションのチューブラーブランクスなら重みがしっかりと乗り、反発力を活かして力を入れずともリグを前方に弾き飛ばすことができる。ストレスのないキャストで飛距離が出せて広範囲を探れるのは、オカッパリではこの上ないメリットになると思います」
杉山「また、Lアクションのバットで距離がある位置でのフッキングもパワーが伝わりやすいので、高確率で掛けて有利なファイトに持ち込めるはずです」
オカッパリゲームのすべてが完結できる5本のラインナップ。登場まで暫し待て!!
――発売予定が6月ということですが…ちょっと待ち遠しいですね(笑)。
杉山「昨今の社会情勢によるところも大きいのですが…ただ、ウチの精鋭プロスタッフがじっくりと時間を掛けてテストと開発を行っていますので、オカッパリアングラーに自信を持ってオススメできるロッドができあがったと思います。IBRS-63UL1L2を含めてシリーズは全5本展開ですが、この5本があればオカッパリゲームのすべてを完結できるスペックになっていると自負していますので、6月までもうちょっとだけお待ちください!!」
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