記者、なかなか本格的に取り組めなくて歯噛みしている釣りジャンルがあります。いくつかあるんのですが、そのひとつが『へらぶな釣り』。 ようやくかじり始めて楽しいので、へらぶな釣りの高みを目指そうと、その過程をルアマガプラスでドキュメントしているのです。そう。目指せ『ヘラ王』。で、へらぶな釣りマスター、ヘラ王を目指す大きな壁となって立ちはだかったライバル(女子高生)との奮戦を綴った2回目となります。
前のお話からちょっと時間がたっちゃったので、ぜひとも合わせて下記リンクもご覧ください。
ももかちゃんとの、因縁ヘラブナ釣り対決のバックナンバーはこちら!
さぁ、始まるぞ。神扇池のドラマチックバトル!
ざっくりあらすじ。ちょっと人気が落ち始めているという『へらぶな釣り』。この釣り、もう、めちゃくちゃ面白くて、奥が深くてなおかつ歴史があるのです。が、そうであるがゆえに界隈が閉鎖的になりがちなんですね。あるある。で、ビギナーがとっつきにくい一面がありました。
じゃ、『ルアマガの釣りS○イコ○ス』と言われる小生が、そんな伝統だのベテランなどの小難しいアドバイスを一切合切無視、へらぶな釣りの純粋なおもしろさだけを抽出して、誰もが気軽にマウントをとっていただける『へら王』を目指してやろうということになりました。で、この釣りの楽しさを伝えようじゃないか! と。
そんな連載のさなか、より親しみやすくとキャンペーンにご協力いただいたのが、女子高生アングラーの『千葉ももか』ちゃん。
【Profile】
千葉百々絵(ちば・ももか)
北海道出身。北海道だけでの釣りでは満足できず、関東に釣りをするために引っ越してきた、根っからの釣り大好きっこ。DAIWAフレッシュアングラーに選ばれ、現在各メディアで活躍中。特に船の餌釣りが得意。高校2年生もうすぐ高校3年生。まだまだ用心コロナ禍ということで、マスク姿でパチリ。
連載の過程で、記者が唯一、マウントをとれるようにと配置した人材だったのですが、そんな目論見は大外れ。へらぶな先輩の記者を一足飛びで越えて、逆にマウントをとられる釣りセンスを見せつけ、ももかちゃんはへらぶな釣りで躍進。
この躍進をとめるために再三にわたるへらぶな釣り勝負を仕掛け、勝負に負け続けて絶対絶命。しかし、最後の大勝負で、彼女にとっては納得のいかない敗戦を喫し、逆に今度はももかちゃんがこの戦いに終止符を打つべく挑んできた(いまココ)というお話です。
もはや何処に、楽しいへらぶな釣りの啓蒙要素があるのかわからなくはなっているのですが、こういうストーリーができるくらいこの釣りは面白いということなのです(まとまった! か?)。
その、嬉し恥ずかしな展開の決戦地が、埼玉県にあるヘラブナ釣りの聖地『神扇池』なのであります。
恒例の誰でも参加できる良大会『総重量8kgに近ければ勝ち』という神ルール!
で、前回の記事は、リベンジマッチを挑んできた千葉ももかちゃんを完膚なきまでに叩きのめすために、時間の融通が効く記者が準備に励んできたわけです。
勝負の土俵となる大会は、へらぶなを釣って、スカリにキープ。総重量が8kgに近い人が勝ちというルール。汚い大人代表の記者は、前日に、神扇池のスペシャルアドバイザーでへらぶな界の異端児としてしられる田邊忠史師匠を尋ね入念なプラクティスを行いました。
しかも、DAIWAのへらぶなレジェンド、銀閣ブランドの立ち上げ人でもある佐藤浩志さんがいらっしゃって一緒に釣りできるというじゃないですか!
プラクティスは順調にすすみます。レジェンド佐藤さんの釣りを横目に見ながらそのテクニックを盗みつつ、師匠の田邊氏のアドバイスとともに、へらぶなの枚数を重ねていきます。
田邊「だいたい、このアベレージなら12枚から14枚くらいですかのー、フカポン氏!」
フカポン「こりゃ、イージーモードですのぉ、田邊氏!」
田邊「じゃ、この枚数(12枚)で測ってみましょう!」
8kgに近ければ近いほど勝利。みてくださいこれ。12枚入って7.93kg。こりゃぁああ優勝。優勝しかねぇべ。田邊師匠、だいたい12枚いれれば勝ちってことっすね。ももかちゃんには10枚で8kgとか適当に伝えておけば、勝ちは揺るがないっ! なんだ。勝ったも同然じゃないか。
田邊「じゃ、今日は前夜祭で宴会でもしますか! フカポンさんがももかちゃんに、完勝&優勝前祝いってことで!!!」
フカポン「いいですねー!!」
とはいったものの、田邊忠史プロ。いつもの悪巧みをするときの、ものすごく汚い笑顔だ。これは何か裏があるかもしれん。この田邊プロは女子に優しい。フカポンに肩入れするということはまずない。つまりは、ももかちゃんを勝たせるべく動いていると判断しつつも宴会になだれ込むのであった。
宴会では田邊師匠が案の定絡んできたので、そもそも酒がさほど強くもないフカポンが受けてたったのですが、田邊プロ、秒でつぶれてました。弱ぇ。
そして、参加していたレジェンド佐藤さんにからみ酒と危険な展開。へらぶな釣り雑誌に寄稿している腕利き、白いメガネの小川さん、そして宴席監視役のSBFJ、へらぶな釣りYouTuberとねちゃんこと利根川さんも佐藤さんの話を聞きたいと宴席に参加していたので、席をコントロール。
コロナ禍の谷間ではあったのですが、ご迷惑をかけないように早めに宴席は終了。ですが、田邊師匠はがっつり潰れていた気がします。
フカポン「ねぇ、利根川さん。もしかして田邊師匠の作戦て、この宴席で私を酔い潰れさせて、二日酔いにさせ、ももかちゃんに勝たせるというストーリーでした?」
利根川「……。そのようですが、先に田邊さんつぶれてますね。。。」
田邊氏よ。自分への粗相は、いつか神扇池にバランス崩れた体で突き落とすくらいの仕返しですむのだけど、レジェンド佐藤さんへの粗相は危険だぞ?と思いつつも、へらぶな業界のみなさんが、楽しい人たちでよかったなと思うのでした。
大会当日、神扇池にももかちゃんが現れた
DAIWAの銀閣、佐藤さんは、ももかちゃんが釣りをしやすいようにと釣り座を設置。へらぶな釣りって、こういう場所だとあぐらかいてみたいなスタイルのことが多いのだけど、女性はあぐらに慣れていない。ということで、佐藤さんが銀閣のアイテムで女性向け釣り座をあつらえてくれていたのだ。あぐらかいて座るのでなく、腰をかけるタイプ。これなら確かに楽だよね。
至れり尽くせり。準備万端。田邊師匠は昨日の深酒が祟ったのか、遠くの1点を見つめながら、静かに仕掛けの準備をしています。今回はうどん仕掛け。2本のハリのうち、1本は食わせのうどんに、1本はへらぶなを寄せるための団子を使うシステムです。
前回、この仕掛けでしっかりと釣り切ったももかちゃん。フカポンもさすがに今回は、この推奨仕掛けで大会に挑むことになりました。
さぁ、到着したももかちゃんもスタンバイOK。因縁の大会がスタートです。
前半、数枚まではデッドヒート感漂う釣れ具合。しかし、昨日のようにイージーな展開でないことに気づきます。ももかちゃんは、ひさびさのへら釣りながら、天性のセンスで釣果を重ねていく。
ももか「今回は、完勝します。フカポンさん10kgダイエット覚悟しといてくださいね」
フカポン「いや、ちょっとまって? それ前回の話だから。10kgもダイエットしたらイケオジになっちゃうから世間が許さない」
前半は、抜きつ抜かれつのデッドヒート。しかし、優勝戦線に食い込むための12枚前後にはこのままでは届かないペース。
アタリを仕留めきれず、うんうん唸るももかちゃん。
ももか「あれー、どうして……うまくいかない……」
そんなうめきに応えない人がいると思うかい? 高性能でリーズナブルなへら浮きを販売している舟水の佐藤さんがふらりと現れ、ももかちゃんにアドバイスを始めた。
もんのすごく的確で、ためになるアドバイスだ。
佐藤「いいかい、沈んでいるウキのこのあたりの線を越え浮いてくるとアタリが出だすから……」
ももか「なるほど! あ、釣れた!」
舟水の佐藤さんは田邊プロの師匠的存在のヘラ釣り師のひとり。ウキを作っているだけに、ヘラブナ釣りの最もキモとなる浮きの使い方を丁寧に解説していくと、ももかちゃんはガンガンと魚を釣り始める。
フカポン「……。ちょっとまって? 田邊師匠あんなふうに教えてくれたことなかったよ? キモの部分じゃん?」
田邊師匠に訴えたものの。聞こえないフリをしている。
田邊プロもこの大会に参戦しているのだが、前日の二日酔いが祟っているのか、竿が曲がっていない。遠い1点を見つめたまま苦悶している。フカポンの抗議に一瞥をくれたが、どうも思ったように田邊プロも釣れないようだ。
そうこうしていると、ももかちゃんもペースダウン。優勝ラインに絡む12枚には届いていないようだ。むろん、フカポンも釣果が伸びていない。
このままでは、ドボン(8kgを越えて失格)の可能性もないももかちゃんには勝てない。ならば二日酔いの田邊師匠の寝首をかく戦術に変更
だいたいのおじさん釣り人は女子に優しい。フカポンはおじさんだが、女子にはそんな優しくない。女子が釣るより自分が釣りたい派閥に属するクズだからだ。
でも優しいへらぶなベテランアングラーたちが、ももかちゃんをがっちりサポートしていったこともあり、めきめき短期間で巧くなっている。
スポンジのようにテクニックを吸収し、『フカポンさん、さようなら』とばかり釣果を伸ばしていくが、最終的に10枚ほどのヘラブナを釣って終了。
ももかちゃんは、フカポンに勝つなんて得にもならないハードルなどに目もくれず、優勝ラインにからめなくて落ち込んでいる。こちとら、手負いの田邊プロを、なんとかだし抜けたかもしれんとほくそ笑んでいるくらい卑屈なのに、ももかちゃんはレベルの高い志で大会に臨んでいたのだ。
スタッフ「千葉ももか選手〜、6.34kg」
そして、田邊師匠の検量です。
スタッフ「田邊選手、4.54kg」
田邊選手は、調子がもどってきた午後に、竿やウキを取っ替え引っ替えして、本気モードで釣りにかかりますが、フカポンやももかちゃんの、仕掛け教えて攻撃や、餌を作って攻撃で撃沈。貧果に終わりました。フハハハハ!罠にかかったのは師匠のほうだったな!と思いつつ、自分の検量です。
……。
スタッフ「フカポン選手、6.64kg」
田邊「チッ、フカポンには勝ってると思ってたのに……」
しゃぁ! 田邊よ。田邊忠史よ! みたか。それみたか。勝ったぞ? 勝ったぞ?
田邊「でもさ、この企画って、フカポンがももかちゃんに完勝しなきゃいけない企画だよね?」
いいか田邊よ。その前提は師匠としての、田邊1位、2位ももか、3位フカポン。と、いう企画内ヒエラルキーが成立してこその話だ。田邊は負けちゃいかんのだ。その大前提が崩れた以上、最たる敗者は田邊忠史。そう、あなただ!
田邊「詭弁……だよね? フカポンはももかに負けたよね」
そ、それはあなたの感想ですよね(震え声)?
ももか「フカポンさん。負けですよね? 私、勝ちましたよね」
田邊「そうだ、そうだ! 負けだ!!」
ももかまで悪い顔をしている。そこは似なくていいんだぞ。
田邊「つまり、10kgダイエットは決定と。いやー負けちゃって、残念だったなー」
ももか「10kgダイエットは大変ですよ?」
そもそも、そんな話はしていない。で、ももかはともかく、なんで田邊、あんたが嬉々として攻めに参加しているのだ。
ということで、連載内対決の結果は
1位 ももか選手
2位 フカポン選手
3位 田邊忠史
そう3位 田邊選手! 田邊選手! 最下位! 復唱! 最下位は田邊選手! ざまぁ(性格が悪い)!
ダイエット問題については係争中。ということで春はへらぶなの季節なのだ
ということで、『ももか』vs『フカポン』の対決は、ここにきて決着。もう随分昔に、決着はついていた気はするのですが……(フカポンの惨敗で)。
このように、へらぶな釣りって、PvP(プレイヤーvsプレイヤー)も楽しめる高いゲーム性を持っており、競技性も高い釣り。テクニカルで奥は深いのですが、初心者も十二分に楽しんでいける遊びなんです。大会が毎月、毎週のように行われていて、自分の実力がしっかりと絶対的に確認できる釣りでもあります。
自称、釣りウマ、釣りプロでは通じないシビアさがありながら、のんびりわいわいと楽しめる和やかさも持ち合わせているのであります。神扇池のような管理釣り場なら、魚は必ずいますので、自分のレベルにあった楽しみ方できるのも良いところです。
この取材、昨年の10月に行われましたが、ここまで記事作成に時間がかかってしまったのは10kgダイエット是非について田邊師匠とフカポンで係争中だからです(たちの悪い言い訳)。ももかちゃんは証人として『フカポンさんは私に負けたら10gダイエットをするって言っていました』と証言していますが、証拠はありませんので裁判は長引いています。
さておき、一連のドタバタ劇からこの釣りの楽しさを少しはお伝えできたかなと思っています。とにかく楽しい釣りなのは間違いありません。次回からは、いまいちど初心に戻り、道具の解説や、へらぶな釣りそのもに焦点をあてて、連載を続けていきたいと思いますのでご期待ください。
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