釣れれば尺アジ! そんな夢のような場所が身近にあった! フロートリグ絶対有利のそのポイントとは?【渡邉長士の海釣り今日もいいチョーシ!】



アジングと聞くと漁港のジグ単ゲームのイメージが強いですが、本来アジはいろんな場所にいて、それぞれ違った釣りが楽しめるもの。渡邉さんがここ数年ハマっているのが、サーフからアジを狙う“サーフアジング”。漁港で釣るよりもサイズが出るというのが大きな魅力らしいのです。さらにサーフからアジを釣る過程で、河口がらみでもアジが釣れることに気付いた渡邉さん。そんな、サーフや河口アジングの釣り方は? そして釣るコツとは? 渡邉さんに詳しく語っていただきました!

【Profile】

渡邉長士(わたなべ・たけし)

千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。

私がメディアプロになるまでの経緯

ルアマガ+をご覧になっている皆さま。こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士です。私は千葉県の外房・大原という港町(現在はいすみ市)で生まれ育ったソルトルアーマンですが、釣りは5歳頃から堤防でのアジ釣りや川でのウグイ、ハゼ釣りに始まりました。小学生の頃からはバスフィッシングを始め、中学生の頃になると徐々にソルトルアーにも熱中していきました。高校生の頃にはバスとソルトが半々となり、この頃にはすでにアジングの将来性を確信。

アジングの黎明期から、その面白さや奥深さを追求し続けてきた渡邉さん。

そのため、自分の武器にしようとアジングの研究をしながら雑誌などに投稿や情報提供を始め、徐々にメディアにも取り上げられるようになりました。そして現在はアジ、メバルなどのライトゲームから磯の大型青物まで、何でもやるようなマルチアングラーに仕上がりました。

今マイブームなのがサーフアジング開拓!

昔から新しい釣りの開発や場所の開拓をするのが好きでしたが、現在もっともハマっているのがサーフアジングの開拓です。地元の外房ではアジング黎明期からサーフでも釣っていましたが、今ハマっているのが尺から40cmクラスがアベレージとなるデカアジを狙った釣り。釣れれば尺以上は確定というデカアジファンにはたまらない激アツな釣りなんです。

TV番組「Theフィッシング」でも取り上げられた、西湘のサーフアジング。大型のヒット率が高くエキサイティング!

このサーフのデカアジをよく狙いに行くのが神奈川県の西湘エリア。西湘とは平塚から小田原あたりまでの相模湾西部で、このエリアの多くが砂や砂利などのサーフになっています。関東のなかでは比較的急深で夏~秋には回遊魚もよく釣れるため、サーフトローリングやショアジギの人気ポイントにもなっています。


このエリアでもう一つの人気釣法がデカアジを狙う「ぶっこみサビキ」。ご当地釣法でもあるこの釣りは、一言でいえばサビキ仕掛けのぶっこみ釣り。サビキの上にコマセカゴとシモリウキがあり、ボトムで仕掛けが立ってコマセで回遊してきたアジを足止めして釣る方法です。この釣法で狙うとアベレージが30~40cmクラス、時には50cm近いアジが狙えるのです。

青物シーズンは多くのアングラーで賑わう西湘サーフ。

この釣法は以前から知ってはいましたが、「ルアーではなかなか釣れない」というのが定説で、自宅からも3時間ほどかかるためチャレンジせずにいたのでした。そんな頃、西湘方面を通りかかった時、ついでにサーフアジングにトライしてみました。釣り方はサーフにある流れ込みでキャロを遠投して表層から中層をリトリーブ。すると、初回でいきなり7匹ほどキャッチ。そのほとんどが尺アジという釣果で、一発でこの釣りにハマりました。

釣れれば尺以上確定! それがサーフアジングなのです!

ロケの窮地を救った河口アジングという新パターン


それ以降は静岡、神奈川方面に行く時は必ず立ち寄るようになり、釣果もポツポツと出ていたのですが、さらなる転換期を迎えたのが2020年の年末。この時、釣り番組でこのサーフアジングをするようになったのですが、この年はアジがまったくといっていいほど釣れておらず、週6で竿を出すという地元のおじさんでも「最後に釣ったのは1ヶ月半前だよ」という悲惨な状況。ロケ本番の数週間前から何度か下見に行ってもアジの釣果はゼロで、番組プロデューサーにも釣れなかった時用にバックアッププランの相談など何度かしていました。

しかしロケ前日に事態は急変。

本業の仕事を終えて下見のために西湘に車を走らせている頃、プロデューサーが先に下見をしてくれていましたが、やはりアジは釣れず翌日のロケは絶望的な状況。そんな時、プロデューサーが「大きな河口にいってみようか」と提案。この河口は流れが強く、もちろん淡水のためアジが釣れるような雰囲気ではありませんでしたが、他は全て釣れないのでダメ元で行ってみることに。河口はやはり流れが強く、フロートリグを流れの中に通すと強いテンションがかかります。

「こんな淡水の強い流れのなかにアジがいるわけないよな」と思いながらスプールを開けてラインを少しずつ出してリグを送り込んでいると“グンッ”と何かがヒット。

「何か喰った! でもシーバスか…」

とりあえず正体は確認したいので重量感のある何者かを丁寧に寄せ、砂浜にズリ上げたところでヘッドライトを灯すと…。

「アジだ! それもデカい!」

そこには40cm近いマアジがジグヘッドをガッツリ咥えていました。

「たまたま? いや、もしかすると!?」と、同じようにバックドリフトのような感じで流れに乗せてリグを流していくと…。

「また来た!パターン見つけた!!」

これも30cm台後半のナイスサイズ。ここで少し離れて釣りをしていたプロデューサーを呼び、同じところにキャストしてもらうとやはりすぐにヒット!

その後もヒットが続き、約1時間のあいだに2人で10尾ほどキャッチ。それも全てが尺オーバーで、プロデューサーが持ってきた小さなクーラーボックスには入りきれないほどでした。翌日のロケ本番も同じような釣り方で30cm台後半をあたまに共演者の岩崎林太郎くんと合計10匹近くキャッチ。その後の伊豆半島のメバルでもお互いに尺オーバーをキャッチし、2人とも尺アジ、尺メバルを手にするという素晴らしい釣果となりました。

この日のクーラーボックスはパンパンに

河口の強い流れの中でもアジはいる!

この時の経験でわかったのは「河口の強い流れの中でもアジはいる」ということ。ぶっこみサビキではコマセが効かなくなるため流れの強い河口で釣りをする人はほぼゼロ。ルアーマンもシーバスなどは狙う人はいてもアジ狙いは皆無といっていいほどで、そうなると河口でのアジの実績はほぼ無かったはず。

【尺アジ出現率が高いポイント例】

しかし、考えてみれば河口にはベイトが多く地形変化もできる。回遊してきたアジが一時的に留まる要素が大いにあったのです。今までは小規模な流れ込みや常夜灯付近をメインに狙っていましたが、「河口」という強力な選択肢が増えたことで釣果に安定性が出るようになり、最近ではボウズはほぼなくなっています。

稚アユは尺アジのベイトとなる。


サーフアジングの仕掛けについて

サーフアジング、特に河口での釣りで効果を発揮するのがフロートリグ。

遠投ができ、表層をスローに攻めることができる唯一無二のリグです。私が愛用しているのがダイワ・月下美人の「月ノ彼方」(つきのかなた)です。ラインナップはS(約8g)、M(約12g)、L(約15g)、LL(約19g)の4サイズ。カン付きなのでリグを作るのも簡単で、中通しタイプよりも色々なパターンでリグを作ることが可能です。月ノ彼方はLサイズをメインに、風が強い時には重量があり潮の抵抗の大きな(ラインが流されてもブレーキがかかる)LL、川の流れが強い時には適度な抵抗感になるMを使い分けています。

なかでも私がよくやっているのがシンプルな中通しの方法。PEラインにリーダーを結び、月ノ彼方を通します。あとはお好みでクッションゴムを入れ、スイベルを結ぶだけ。こうすることでフロートは遊動になり、アタリもダイレクトに伝わります。特殊な使い方としてはテンションを緩めるとジグヘッドは真下に沈んでいくため、バーチカルに攻めることもできます。他にはリーダーのノットの端糸に結ぶパターンもあります。こちらはスイベルなどの金具を使わずにリグを作ることができます。

リーダーの端糸がない場合に似たような形状のリグにしたい時は三つ又サルカンを使う方法もあります。PEラインから続くリーダー、エダス、ジグヘッドに続くハリスをそれぞれ結び、エダス(10~20cmを基本に長さはお好みで)にフロートを結びます。

サーフアジングでの使用タックル&ルアー

サーフアジングで愛用しているタックル及びルアーは以下の通りです。これからやってみたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

【サーフアジングタックル】

  • ロッド:月下美人 EX AGS AJING 711MLS-T(DAIWA)
  • リール:ルビアスエアリティFC LT2500S-XH(DAIWA)
  • ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.4号(DAIWA)
  • リーダー:エメラルダスリーダー 3号(DAIWA)

【使用ルアー】

  • ジグヘッド:月下美人アジングジグヘッドTG 1.5g #8(DAIWA)
  • ソフトルアー:月下美人 アジングビーム バチコンカスタム3in(DAIWA)

アジングビーム バチコンカスタムを使う理由は「アミノX」とシュリンプパウダーがふんだんに配合されているため味と匂いが強く、2.2inと3inの適度なボリューム感がフレッシュなサーフのアジに有効です。そして強夜光のフルルミノーバは真っ暗なサーフでも強力にアピールしてくれるので大好きなカラーです。もともとは船のバチコン用ですが、オカッパリでも効果抜群なんです。

フロートリグをトラブルレスに扱うには

フロートリグやキャロなどの分離系リグはキャスト時にラインが絡まるトラブルが発生することがあるので苦手意識を持っている人もいると思いますが、そのトラブルを軽減する方法があります。

まず簡単で大きな効果が得られるのがジグヘッドを重くすること。ジグヘッドが軽い、もしくは空気抵抗の大きなソフトルアーを使うとジグヘッドがリーダーに巻き付いて飛んでいきますが、ジグヘッドが重いとキャスト時に遠心力でフロートから離れて飛ぶため絡まりにくくなります。具体的にはソフトルアーが2inであればジグヘッドは1~1.5g、2.5~3inであれば2g前後にすればトラブルが減ります。これでもまだ絡まるようであればもう少し重いジグヘッドにしてみましょう。

2inワームの場合、1.5gのジグヘッドの使用がオススメ。

さらにトラブルを軽減させるにはハリスの太さを変えるのも有効。サーフからデカアジを狙う場合、フロートからジグヘッドまでのハリスの長さは60~80cmほどにしていますが、フロート側半分をフロロ2.5号(10lb)、ジグヘッド側半分をフロロ1.5号(6lb)と2段階に組むのです。こうすることでフロート周辺はラインに張りがあるため絡まりにくく、ジグヘッドに近い部分は細いためアクションが悪くなることもなく警戒心を与えにくくなります。

少し重めのジグヘッドを使用することで、フロートリグのトラブルは回避できる。

ハリスを2段階にすると嬉しい副産物もあり、根掛かりのロストや傷んだときのライン交換の消費が少なくなります。毎回80cmを使うのと、40cmで済むのとではコストも倍変わりますからね。ちなみに、地元の外房などで20cm前後のアジを狙う場合のハリスは6lb+3lbにしています。

まだまだ開拓しがいのあるサーフアジング!

現在は西湘サーフがメインのデカアジングですが、デカアジの生活圏となるディープとアクセスの良い急深サーフであればどこでもデカアジングの可能性があると思っています。関東近郊であれば駿河湾も同じように釣れるはずで、むしろ駿河湾の方が水深があり、同じように流れ込みや流入河川もあります。もしかするともっと良いエリアなのかもしれません。さらに全国には同じような条件のポイントは絶対にあるはず。

サーフでのアジングで大型を狙う釣りを皆さんも是非、挑戦してみて下さい!

まだ新規開拓はしばらく続きそうです。

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