「ハーフテンションフォール」をはじめ独自のエギング理論を打ち出す関西エギング界のエキスパート・おかぴ~こと岡隆之さん。2019年DAIWAのエメラルダスチームに加入し、さらなる活躍の幅をひろげている。そんなおかぴ~さんの連載第5回目はいよいよ本番を迎えた春のでかアオリイカ攻略方法を大公開! おかぴ~流の3つのタクティクスは必見です!
【Profile】
岡隆之(おか・たかゆき)
明るいキャラクターとわかりやすいトークで多くのファンを持つ関西のエキスパートエギンガー。通称「おかぴ~」。見た目とは裏腹にエギングは超理論派、「ハーフテンションフォール」をはじめに様々なエギングメソッドを確立している。2019年からDAIWAのフィールドテスターに就任。
春イカシーズンが遠い理由?
岡「いよいよ春も本番を迎え、でかイカシーズン開幕を各地で耳にするようになりました。その一方で、今年は例年に比べて少しスロースタートで、釣果の方がまだ芳しくない地域も多いように思います」
確かに、毎年釣れていたポイントが釣れなくなったという話は、ここ数年良く耳にする印象がある。
岡「私自身も、普段通う和歌山県にて黒潮の大蛇行の影響を身をもって体感しています」
水温も高くいい影響をもたらしそうな黒潮だが、必ずしもそうとは限らないのだとか。
岡「春の産卵時期は、イカが産卵場となる海藻が生い茂る場所を探すことから始まります。ところが、黒潮の影響で冬場の水温が下がりきらないことから産卵場となる海藻の発育が悪くなってしまうんです。そこで、ここ数年は春シーズン前に産卵場となる海藻探しを行い、春シーズンの為の準備から始めています。さてそんなわけで、今回のテーマは『春のデカイカの釣り方』と銘打って話を進めさせていただきます」
おかぴ~流でかイカ攻略メソッドを大公開!
海藻の存在は絶対条件!(特例を除く)
岡「前述したように、春は大きく育ったイカが産卵場となる藻場へ移動しはじめます。浅場・深場、潮の当たり具合や、海の荒れを防げる、または、流入河川の有無など立地条件は多種多様となりますが、海藻の有無は何よりもの絶対条件となります」
ちなみに特例として、海藻が生えない地域などではサンゴやテトラ、係留ロープなどに産卵をする個体もいるのだとか。
岡「ただ、多くの地域で海藻への産卵を行うので、今回は海藻での産卵の事をベースとし、話を進めさせていただきます」
岡「春のデカイカの産卵は、日によって行動個体数が異なります。とくに大潮などの潮の関係性は非常に大切で、潮毎の行動個体数の変化は順次追って行けば明確になっていきますが、このあたりの因果関係はまたの機会にして(笑)、実際の釣り方のお話へと参りましょう」
春のでかイカを捉えるための3つのポイント
岡「私の中での春のでかイカの釣り方・テクニックは『ゆっくり』、『移動距離を抑える』、『テンションをかけない』の3点を意識しています。特に、最後の『テンションをかけない』は、春のイカの中でも、デカイカに的を絞った釣り方となり、重要項目となります」
春のでかイカ狙いといえば、『ゆっくり』や『移動距離を抑える』というのは目にしたことがあるものの、『テンションをかけない』というのは少し珍しい。
岡「つまり、フォール時のテンションを極力抜くということです。私が通年、武器としている『ハーフテンションフォール』というのはまさにこの春時期に威力を発揮し、多様していただきたいテクニックなんです」
なぜ、テンションを抜いたフォールが有効となるのか。
岡「例えば、次のような様々な理由が考えられます」
- エギの移動距離を抑え、下方向へと落ちる為、イカが追いやすい。
- 前傾姿勢をとることで、エギの後方部に陣取るイカからシルエットが見やすい。
- 海藻の根元にしっかりと落とすことができるから。
これらの理由が、アオリイカの産卵行動に紐づくことで釣果につながってくるのだという。
岡「アオリイカの産卵を見たことがある方はお気づきかと思いますが、海藻に産卵をするイカは、決まって海藻の上部ではなく、下部の茎の部分にします。海藻のそばでペアになったイカは産卵場付近では上層部を浮遊しますが、産卵時は中層以下を遊泳し、海藻の下部の茎へと向かい産卵を行います。そんなとき、その産卵場で何度も何度も海藻の茎へと侵入するエギを見たらイカはどのような心理状態にあるか……邪魔で邪魔で仕方がない!と、感じることでしょう(笑)」
つまり、『テンションをかけないこと』の有効性の、『海藻の根元にしっかり落ちるから』ということに結びつくわけなのだ。
岡「もちろん、産卵前・産卵中では狙い方は多少異なりますが、テンションをかけずにフォールさせることで、春のデカイカは案外簡単に反応を示すことがあります。そして、テンションをかけないフォールは春だけでなく通年通して効果的なので、この春のでかイカシーズンで習得して今年のエギングに役立ててください。今年の春は難しいですが、その分、1杯の価値が大きくなるので、まだまだ続く春イカシーズン満喫しましょ〜! 次にお目にかかるのは、夏イカシーズンになりそうなんで、次は、真っ黒に日焼けしたおかぴ〜をお楽しみに〜」
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