冨樫浩さんに聞いた「ペンシルベイトは死んだのか? 説」【横沢鉄平の※諸説あります】

バス界には様々な通説がある。しかし通説があれば風説や異説も飛び交い、諸説がある。そんな諸説を深掘りする連載企画、今回のお題は「ペンシルべイトは死んだのか?」そういえば最近、ペンシルべイト使っているだろうか? 持って行ってる? 最後に釣ったのはいつ? 実はもう何年も前だったりして。そんなペンシルべイトの現在地を探り、安否の確認をしてみよう。超人気釣りブログ「RED PEPPERS」を運営、多彩な活動をされている富樫浩さんに伺った。

●文:ルアーマガジン編集部

冨樫浩さん。

冨樫浩(とがし・ひろし)
超人気釣りブログ「RED PEPPERS」を1997年から開始。釣りブロガーのパイオニアだ。プロショップオオツカのネット業務全般を統括し、JBの公式ページの管理人も務める。彼自身、凄腕を持つ釣り人であり、多様な立ち位置から日本のバス釣りを見つめてきた人物。 [写真タップで拡大]

3つの視点を持つ男のペンシル生存確率とは?

『JB公式サイトの管理人』、『プロショップのスタッフ』、『人気釣りブロガー』という3つの視点から、日本のバスフィッシングを見つめてきた男がいる。冨樫浩さんだ。冨樫さんには3つの視点に分けて、ペンシルの生死について語ってもらった。まずは、JBの公式ページ管理人として、長年トーナメントシーンを観察してきた視点から。

冨樫「正直、現在JBのトーナメントでペンシルべイトを使う人は、ほぼないに等しいです。皆無とは言わないですけどね。1回だけ上位に絡んだのは、2011年のJBトップ50旭川ダム戦ですね。地元の小林知寛プロが、シャワーブローズを使って予選をトップで通過したことがあるんです。決勝はノーフィッシュで終わったというオチがあるんですけど(笑)。小林プロ本人にも確認したんですけど、やっぱりペンシルが活躍したのはあの試合だけだったようです。ポッパーとかハネモノは、ほかの選手も結構使うんですよ。でもペンシルベイトになると、上位に絡まない。もちろん、人知れず使ってる人もいるかも知れないけれど、成績として結果が残っているのはその試合だけなんですね」

元気なバスがいないからペンシルを使う場面がなくなったのでは

冨樫さんは、小林プロになぜペンシルが活躍できないのか、その理由も聞いてみたという。

冨樫「小林プロによると、結局ペンシルベイトというのは、シャロー側に小魚を追い込んでいるバスを釣るルアーなんです。昔は、大きなオイカワとかハスを岸まで追い込んでは、バンバン食ってる元気なバスがいっぱいいた。だから釣れたけど、今は元気なバスが全然いなくなったから、使う場面がない…という話でした。特にトーナメントレイクのバスは元気がないんでしょうね。だから決して表層がダメなのではないんですね。むしろ、今は表層が大ブーム。ハネモノとかポッパーとか虫系の遅い動きのものには反応します。ハンクルジョーダンなどの放置系にも反応します。でも、悲しいかな、ペンシルべイトに食いつく元気はないんです」

富樫浩さん。

日本全体から見たら終わってますよね。
これは野尻湖の沖ボイルをパイロンで攻略した成果。
ボイルを直撃するのが鉄則だ。

冨樫「着水後に、3回首を振らせて止めると出るんです」 [写真タップで拡大]

釣具店でも存在感がなくなってきた

冨樫さんは、長年大手プロショップのスタッフとして勤務してきた。だから、お客さんのニーズやルアーの人気と売れ行きなど、生々しい情報も把握している。

冨樫「釣具店の中で、ペンシルべイトはほぼ存在感ないですね。人気のあったペンシルべイトって、サミーとかコンバットペンシル辺りまで遡りませんか? だから釣具屋としても、メーカーが出さないので、そもそも仕入れないですよね。お客さんにもニーズは感じません」

このままいくと、ペンシルべイトのご臨終が近そうだ。冨樫さんは、自分自身が凄腕のアングラーであり、釣りブロガーの草分け的存在でもある。そんなアングラー視点で見るとどうなる?

冨樫「俺は実をいうとペンシル大好きなんです。野尻湖と榛名湖での話なんですけど、沖ボイルを狙うには最強ですね」

これは以前、バスプロの五十嵐誠さんから教わったパターンらしい。ただし、五十嵐さんはシャワーブローズを使用していたが、冨樫さんは違うペンシルを選ぶ。

冨樫「ハイドアップにパイロン84というペンシルべイトがあるんですけど、沖ボイルにはそれしか使いません。沖と言っても、湖のど真ん中です。ど真ん中で、どこで起きるかわからないボイルを待ちます。今は近距離の場合、ライブスコープである程度予測できますけどね。そしてボイルが起きたら、そこにペンシルを正確に投げるんです。これが1mずれちゃうと、もうダメ。だから、遠くに飛ばせなきゃいけないし、正確に飛ぶペンシルじゃなきゃ釣れない。そんなキャストができるペンシルは、パイロン84しかないんです。めちゃくちゃ遠投できるし、姿勢が崩れないのでまっすぐ、正確に飛ぶんです。この釣りはめっちゃ面白い。だから個人的にはパイロン84が大好きです」

しかし、ペンシルベイトは終わってないのでは

そんな冨樫さんだが、だからペンシルは死んではいない…とは結論付けなかった。

冨樫「これも超ローカルなテクニックなので、日本全体から見たら終わってますよね。でもペンシルは1周回って効くかもしれませんよ。単純に投げる人が少ないだけかもしれません。小林プロはペンシルについて『シャローに投げて、沖側に引っ張らせるには強い』と言ってました。今それが釣れないというなら、逆にオカッパリがいいかもしれませんね。ペンシルべイトは小魚を岸に追い込むバスに強いらしいので、オカッパリの方が方向的に合ってますよね」

よく考えると、オカッパリ専門の人は、まだまだペンシルを使っているのかも? ペンシルが死んだと思っているのは、ボート釣りの人だけかもしれない。

富樫浩さんのペンシルセレクト

パイロン84【ハイドアップ】

パイロン84【ハイドアップ】

冨樫さんがPEラインのスピニングタックルで使用。抜群の遠投能力を誇るペンシル。正確に飛ぶし、遠距離でもしっかり動く。 [写真タップで拡大]

シャワーブローズ【モード】

シャワーブローズ【モード】

ワンノ2011年のJBトップ50旭川ダム戦で大活躍。ずば抜けた遠投能力と、強烈なアクションで、ペンシルの可能性を一気に広げたルアーだ。ッカーペンシルの代表格で、そのサウンドの集魚効果には定評があります。アメリカでは不動の人気を誇り、伊藤さんも愛用する逸品。 [写真タップで拡大]

番外編「日本のペンシルベイト小史」

独断と偏見でまとめたペンシル史の要点整理

名著「ブラックバス釣りの楽しみ方」がバイブルだった70年代後半、ペンシルの代表格はオリジナルザラスプークだった。

そして80年代にかけて、バルサ50、ズイール、ハトリーズなどの哲学を持ったトップウォーターブランドが出現。それぞれ、ビッグラッシュ、テラー、ブッシュペッカーなどの名作ペンシルを輩出。

80年代の終わりに登場したレッドペッパーは、画期的な「小魚逃走アクション」で革命を起こした。90年代中盤から空前のバスブームが到来し、ジャイアントドッグXとサミーはあまりの人気で、入手困難な状態に陥った。

ブーム後に登場したヒット作はヤマトとシャワーブローズ。どちらもスプラッシュ系だ。ペンシル史はその後途切れている。

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