プロも熱中させる!関東でも人気急上昇中「フリーリグチニング」の魅力とは【渡邉長士の海釣り今日もいいチョーシ!】

渡邉さんの連載記事第5回。渡邉さんといえばアジングなどのライトゲームのイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、実はショアジギングやエギング、ロックショアゲームなどあらゆるソルトルアーゲームに精通しています。そんな渡邉さんが今”再燃”している釣りがチニング。ムーブメントとなっている「フリーリグ」や、ベイトタックルのメリットを徹底解説。さらには過去に渡邉さんが考案したチニング用リグなども公開。 みなさんの釣りに役立つことまちがいなしです!

●文:渡邉長士(DAIWAフィールドテスター)

2024 シーバス特集

【渡邉長士(わたなべ・たけし)】
千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。
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チニングブームが再燃! チニングの発祥と地元でのゲーム成立まで

ルアマガ+をご覧になっている皆さま。

こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士です。

この連載ではサーフからのデカアジ狙い(第3回)、アジングでのポイントの探し方(第4回)など、ほぼアジングについて書いてきましが、今回は関東でも人気上昇中の “チニング”について書きたいと思います。

関東のチニングは毎年のように「今年は流行る」と言われていながらもブームにはならず、ごく一部の人が楽しんでいるだけでした。しかし近年は新たなリグの登場や魚影も濃くなっていることから釣果も出やすくなり、それに伴って人気も上がっています。

私も同じくチニング熱が燃え上がり、最近ではNewタックルを手にポイント開拓するなど、15年ほど前にチニングを始めた頃よりも熱中しています。

身近なポイントで手軽に狙えるので、まだチニングをしたことがない人は早めにチャレンジするのをオススメします!

チニングとはクロダイやキビレのルアーフィッシングのことですが、なぜクロダイなのにチニングと呼ぶのかというと、西日本ではクロダイのことをチヌと呼ぶため。(キビレの標準和名はキチヌ)

それからもわかるように、元々は西日本で流行りだした釣りです。

テレビや雑誌で取り上げられるようになってきたのが2000年代初頭頃で、広島県や山口県の瀬戸内海、または静岡県の浜名湖が人気のポイントでした。

瀬戸内海と浜名湖では主な釣り方が違い、瀬戸内海では夜のボトムゲーム、浜名湖では日中にポッパーなどのトップゲームが主流となりました。

当時ボトムゲームで流行ったのはMリグと呼ばれる7cmほどのシンキングミノーのフロントフックを外し、アイにガン玉を挟みテールにダブルフックを上向きで付けたもの。

これをボトムでズル引きして好物のアナジャコが逃げていくようにみせて誘います。

クロダイがルアーで釣れるのは知ってはいましたが、当時の私は「魚影の濃いエリアだから成立する釣りでしょ」と考え、地元の房総で試すことはありませんでした。

しかし、その考えが変わったのが2006年の夏。近くにある河川の河口域でポッパーを試しに引いてみるとキビレがヒット。千葉でも狙って釣れるんだ!と衝撃を受け、地元でチニングの開拓が始まりました。

ホームグラウンドの外房河川にある干潟。

2006年頃にキャッチしたチニング初釣果のキビレ。

クランクベイトを使用したオリジナルリグを考案!

キビレが釣れた河川で日中はトップ、夜はボトムゲームを試すと、トップでは釣れるもののボトムは苦戦続き。その最大の理由が根掛かりの多さでした。

ボトムにはカキ殻帯が点在し、Mリグでは根掛かりが頻発。

根掛かりする理由は、ルアーがバランスを崩した時や、リトリーブを止めると横に倒れ、いくらダブルフックでもその状態ではボトムに当たってしまうため。

そこで考えたのがバス用の「クランクベイト」を使ったリグ。

私は元々バスからルアーフィッシングを始めたので、根掛かりの多い場所でのクランクベイトの有効性というのは常識でした。

ちなみに、なぜクランクベイトが根掛かりしにくいかというと、リップが障害物に当たることテールが持ち上る逆立ち状態になりフックが障害物に触れにくく、ファットなボディーはフックを隠すような働きをします。また、高浮力のため障害物に当たった時にはリトリーブを止めると浮き上がり障害物を回避することが可能です。

プラグの中で最も根掛かりしにくいルアーといえるクランクベイトを使えば根掛かりを減らせると考え、そこで生まれたのが「ナベリグ」でした。

まず、ナベリグの名前の意味ですが、ただワタナベリグを略しただけ(笑)

仲間内でMリグと区別をするために適当に付けた名前です。

ナベリグはクランクベイトのフロントフックの代わりに2~3号程度のナス型オモリを付けたもの。

簡単に作れますが、リップが下向きのシャロ―ランナータイプを使うというのが重要です。

ボトムを攻めるなら急潜航するディープクランクを使った方がいいのでは?と思うかもしれませんが、リップが前に長く突き出たディープクランクはボトムにリップが刺さってしまい、引き抵抗がとても大きく軽快なリトリーブができません。また、刺さったリップを抜く時に横倒れしてしまい、フックがボトムを擦ってしまうことで根掛かりしてしまいます。

その点シャロ―ランナーはリップが下向きのため、ボトムや障害物に突き刺さることがないためバランスを崩さず軽快なリトリーブができ、リップがボトムにコンタクトすることで砂煙を発生させます。

リトリーブ中もステイ中も常にテールを上げた状態になるので、根掛かりが少なく後方の斜め上からバイトするクロダイの方向にフックがあるためフッキング性能も高いです。

オモリはスプリットリングで取り付けているため、狙う水深や飛距離によって簡単に変えられ、ルアーに固定していないので重くしてもアクションは悪くなりません。

フックはトリプルフックでもOKですが、根掛かりの多いところではダブルフックにするとさらに根掛かり回避能力がアップします。

このナベリグにしたことで根掛かりは大幅に減り、釣果も出るようになりました。

東京の多摩川において、ナベリグでキャッチしたキビレ。

山口県でのデイゲームでキャッチしたクロダイ。

ナベリグで使うクランクベイトですが、DAIWAの「ピーナッツ」がオススメ。

写真はピーナッツSR。

今ではクロダイ用ルアーは多数あるものの、私がチニングでもっとも使い、もっとも数多く釣っているプラグがバス用のピーナッツ。

発売から30年以上にもなる超ロングセラーのクランクベイトで、バスアングラーなら1度はお世話になったことがあるはずの国民的ルアー。

現在はシャロ―ランナーのSSRがライナップされていますが、2006年当時は潜航深度が約1mのSRと約1.5mのDRのみ。

そこでSRのリップを炙り、柔らかくなったところで平らな面に押し当てて下向きに変えて使っていました。

この時のコツは炎を直接当てないこと。リップの色が濁ってくれば柔らかくなったサインです。

(画像は撮影するためにロウソクを使いましたが、通常はライターを使っています。)

ピーナッツを使う理由は、適度なサイズ感とボリューム感、ボトムで横倒れしにくい平らで適度なサイズ感のリップ、そして今の時代に定価が720円というリーズナブルな点も大きな魅力。安くて良く釣れるのだからボトム系のクロダイ最強プラグといっても過言ではないかもしれません。

新チニングブーム到来の要因はメリットだらけの「フリーリグ」

冒頭で「関東でも人気上昇中」と書きましたが、その理由は新たなリグの登場によるところが大きいです。

そのリグというのが“フリーリグ”。

フリリグとも呼ばれますが、その名の通りシンカーが固定されずフリーになっているのが特徴。

形状はテキサスリグとほぼ同じですが、中通しのバレットシンカーではなく、アイ付きのティアドロップ型のシンカーを使います。

もともとはバスフィッシングで人気になったリグですが、ここ数年で一気にチニングの定番リグとなりました。

フリーリグの登場で素早いリアクション系からスローな一点シェイクまで、リグ1つ幅広い釣りができることで活性の低いクロダイも釣れるようになり、これまでは夏場の高水温時期だけとされたシーズンもほぼ一年中狙えるようになりました。

その結果、クロダイがより簡単に釣れるようになったわけです。

最新タックル&フリーリグでいざ実釣!

では、ここからは実際に地元の千葉県でフリーリグチニングをした時のレポートを書きたいと思います。

釣行日は7月12日。向かったのは魚影の濃い東京湾側ではなく、太平洋側の外房。そこに流れ込む河川の河口域で狙いました。

タックルの詳細は以下の通りですが、今回はベイトタックルを使います。

【当日使用したタックル】

  • ロッド:シルバーウルフ MX 76MLB-S(DAIWA)
  • リール:シルバーウルフ SV TW PE SPECIAL 1000XHL(DAIWA)
  • ライン:UVF PEデュラセンサー×4+Si² 0.6号(DAIWA)
  • ショックリーダー:モアザンリーダーEX II TYPE-F 16lb(DAIWA)
  • ソフトルアー:シルバーウルフ アーバンクローラー(DAIWA)
  • シンカー:バザーズワームシンカーTG ペアーリング 3/8oz(DAIWA)
  • フック:マルチオフセットエックス #1(Cultiva)

午後6時30分頃に釣り場に着き、アーバンクローラーにシンカーは3/8oz(約10.5g)のフリーリグをセット。

特に目に見える大きな地形変化はないため、とりあえず沖にキャストしボトムパンプで攻めていくと、所々にカキ殻帯のようなものと、足元にも敷石のような硬いボトムがあります。

扇状にキャストしていくと、ボトムパンプの着底後に何やら違和感。確信を持てなかったので次のアクションを入れようとすると、一瞬の重みの後にククッという魚信があり、慌ててアワセるもすっぽ抜け。

すると今度は足元の敷石付近でゴゴンという強めのバイト!アワセを入れるとまたもすっぽ抜けで、ワームを取られてしまいました。でもクロダイは確実にいるようですね。

その後、辺りがすっかり暗くなった頃、足元の敷石にリグが当たったので、そこでシェイキングをしていると、途中からシェイクの乾いた感触ではなくモゾモゾ感に変わり、これはもしや?と軽くテンションを掛けるとクンクンと明らかな生体反応。

そのままスイープにアワセるとフッキングが決まりロッドが大きく曲がります。これはまあまあのサイズ!

水面に出たところで無事にネットインしたのは49cmの立派なクロダイでした。

これで足元の敷石シェイクはアリだと確信したので、少し場所を移動して同じように攻めると5分後にすぐヒット。

これは35cmほどのキビレでしたが、ネットに入れる直前にフックアウト。

次はナベリグでも使ってみたいと思います。

その後もバイトは数回あり、まだ釣れそうでしたが雨も強くなってきたため撤収しました。

実はベイトタックルでチニングをするのは今回がほぼ初めて。

これまでのチニングはスピニング派でしたが、ボトムゲームではベイトタックルの操作感やダイレクト感は確かに魅力。

キャストもスピニングと同程度の飛距離が出ながらラインスラックは出にくいので、キャストからアクションを始めるまでスムーズに移行できます。

ゴロタやブロックの穴にリグを送り込みたい時もクラッチで簡単、即座にラインを送れるのも利点でした。

クロダイやキビレは都市部の海や河川にも多いため、アーバンチニングとして身近なポイントで手軽に楽しめるのが魅力ですが、今回の外房河川ように自然豊かなポイントでも当然狙えます。

また、クロダイは本州のほぼ全域に生息し、港湾、磯、サーフ、河川、干潟などあらゆるシチュエーションで狙えるのでチニングの楽しみ方は無限大。今後もさらに広がりをみせる釣りだと思います。

皆さんもまずは身近なポイントでチャレンジしてみてはどうですか?

DAIWAの「アーバンチニング」特設サイトも是非ともチェックすべし!


※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

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