NEW「月下美人EX」は一体何が変わったのか? 進化点をチェックし価格に見合っているのかを考察【渡邉長士の海釣り今日もいいチョーシ!】

DAIWAのライトゲームブランド月下美人の最高峰ロッドシリーズ「月下美人EX」がリニューアル。ルアマガプラスでお伝えした第一報に対してかなり多くの反響があり、同機種への注目度の高さを伺わせた。今回の渡邉さんの連載は、この新しい月下美人EXがテーマ。開発に深く携わった立場として、NEW月下美人EXを解説する。

●文:渡邉長士(DAIWAフィールドテスター)

【渡邉長士(わたなべ・たけし)】
千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。
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「アジ用」「メバル用」というジャンル分けをやめた

ルアマガ+をご覧になっている皆さま。こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士です。当連載は今回で6回目となりますが、今回はダイワから発売されたばかりのライトソルトゲーム用Newロッド「月下美人EX」について書きたいと思います。

2022年9月リリース予定の月下美人EXが今回のコラムのテーマ。 [写真タップで拡大]

まず、月下美人というのはダイワのライトソルトゲームのブランドで、ターゲットは主にアジ、メバル。ロッドだけでなく、リール、ルアー、ラインなど、ライトソルトゲームに適した豊富なアイテムがリリースされています。

その月下美人ブランドには様々なロッドがありますが、なかでもEXは最高峰のシリーズになります。これまでのEXシリーズもダイワのテクノロジーを惜しみなく搭載した素晴らしいロッドでしたが、今回リリースされた4アイテムは間違いなく歴代最高といえるでしょう。

そんなEXですが、今作はこれまでと変わったところがあります。それは「アジ用」「メバル用」というジャンル分けをやめたこと。

メバルの釣り方といえば、ジグヘッドリグやプラグをリトリーブを主体とした攻め方で、バイトに対して乗せるような釣りが主流。そしてアジの場合も黎明期はリトリーブを主体とした釣り方(トラウトタックルとナイロンラインしかないため)でしたが、現在は軽いジグヘッドリグを漂わせたり流れにドリフトさせたりするなどして、小さなバイトを掛けていくような釣りが主流です。

そのため、「乗せ」のメバルにはやや長めのスローテーパー気味のロッド、「掛け」のアジには短めのファーストテーパーのロッドと、魚種別に特化した専用ロッドになっていました。

ここで私の話を少しします。普段からアジもメバルも狙うのですが、ロッドは常にアジングロッドを使います。

新しい月下美人EXは、魚種でモデル分けするのをやめ、釣り方で選べるようになったのが最大の進化ポイント。 [写真タップで拡大]

手持ちのロッドのカテゴリーがほぼアジングロッドということもありますが、魚種でロッドを選ぶというよりも、釣り方によってロッドを選んでいるためです。

例えば、軽量ジグヘッドリグ用のアジングロッドは繊細で感度と操作性が高いため、港内の小型メバルにも最適。キャロやフロート用のアジングロッドはパワー、トルクがありながら軽量で高感度のため、磯やゴロタのデカメバルにもピッタリです。

その逆の場合も当然あり、メバルロッド特有の食い込みの良さを生かしたリトリーブ主体の攻め方でアジを狙ったり、チューブラーでパワーのあるメバルロッドで小型のメタルジグやプラグを使ってアジを狙うのもアリです。要は、ジグ単ならジグ単用ロッド、プラグならプラグ用ロッドでアジやメバルを狙うということです。

新しい月下美人EXのラインナップと、全機種に共通するテクノロジーを解説

さて、ここで新しい月下美人EXのラインナップを解説していきましょう。NEW月下美人EXは、全4機種で構成されています。内訳は以下の通り。

新しい月下美人EXは全4機種で構成される。 [写真タップで拡大]

NEW月下美人EX 全ラインナップ

  • 510UL-S・Q ~麗(REI)~
  • 66L-S・Q ~凛(RIN)~
  • 68L-T・Q ~冴(SAE)~
  • 74UL-S・Q ~絃(GEN)~

それぞれの詳しい説明をする前に、まずはこの4アイテムに共通する主なテクノロジーを挙げてみましょう。

NEW月下美人EX 全機種共通のテクノロジー

  • ESS[エキスパートセンスシミュレーション]
  • AGS[エアガイドシステム](ショートフット TYPE-R)
  • SVF NANOPLUS[エスブイエフ ナノプラス]
  • X45フルシールド(=X45コブラシールド)
  • CWS[カーボンラッピングシステム]
  • V-JOINTα[ブイジョイントアルファ]

DAIWAの先進テクノロジーを惜しげもなく投入。 [写真タップで拡大]

それぞれのテクノロジーを簡単に説明すると、ESSはロッドを曲げたときの反対側に起きあがろうとするエネルギー(復元力)を解析・設計するシステム。数値化することで明確に把握し、エキスパートの感性までロッドに反映する事が可能なテクノロジー。

AGSはもはやダイワの代表的なテクノロジーのひとつ。ラインの通るガイドのフレームは金属製が当りまえでしたが、AGSはカーボン製のフレームで軽量性、飛距離、コントロール性能、感度が大きく向上。軽さが感度に直結し、それが釣果にも直結するライトソルトゲームでは大きな武器になります。

AGS[エアガイドシステム] [写真タップで拡大]

また、金属フレームより軽いため一回り大きなガイドを使えるのもメリット。ガイド径が大きくなることでラインが放出されやすく軽量ルアーでも飛距離が出るのが特徴です。

SVF NANOPLUSはカーボン内のレジン量を減らす事で、より多くのカーボン繊維を密入した「SVF」に東レ(株)ナノアロイ(R)テクノロジーをダイワ独自の製法で組み合わせ、さらなる高強度化・軽量化を可能にしたもの。

X45フルシールドはロッドのネジレが最も発生しやすいブランクの先端からカーボン繊維を±45°に斜行させたX45で最も効果の高い最外層から締め上げることでネジリ剛性が向上し、ネジレを徹底的に排除することでキャスト制度の向上やパワーロスを抑えロッドの持つ本来の性能を引き出すもの。

CWSはガイドやリールシートをブランクに固定するダイワ独自の技術。通常は糸で固定し樹脂で補強するが、強固に編みこんだカーボンクロスでパーツを固定することで軽量化し、保持力(ガイド取り付け部のネジレ剛性)や耐久性(対ひび割れ強度)も向上。機能面だけでなく独自の外観はデザイン性と高級感も高くカッコいいです。

CWS[カーボンラッピングシステム] [写真タップで拡大]

V-JOINTαはナノプラスを含む高強度素材とDAIWA独自の超高精度ロッド設計・製造テクノロジーで、径が同じになる印籠継ぎのためシャープさが向上し節目のないカーブを描きます。

V-JOINTα[ブイジョイントアルファ] [写真タップで拡大]

愛用している510UL-Sと66L-Sをさらに詳しく解説

簡単に説明しただけでもこれだけ多くのテクノロジーが詰まっているのが月下美人EXですが、ここからは私がすでに愛用している510UL-S66L-Sの2アイテムを詳しく紹介します。

渡邉さんがメインに使用する機種は510UL-S66L-S [写真タップで拡大]

510UL-Sは自重が43gの超軽量のジグヘッドリグ専用ロッド。短めのレングスなので軽量ジグ単の操作性が高く、適度なしなやかさがあるため違和感なく食い込ませられます。しなやかさと感度は反比例するのが普通ですが、その相反する特徴が高次元で両立しています。

軽量ジグ単でシビアに攻める場合510UL-Sは最高の武器となる。 [写真タップで拡大]

使いどころとしてはジグ単のメインロッドでもいいですが、より効果を発揮するのが港内の小~中型相手の近距離戦。シャープなロッドでの近距離ではバイトを弾いてしまうこともありますが、510UL-Sは手感度でバイトを感じながらティップがバイトを受け止めフッキングに持ち込んでくれます。

66L-Sは私が監修したロッドで、こちらも基本的にはジグ単ロッドになります。ジグ単ロッドにしてはレングスはやや長めの6.6ftですが自重は47gと超軽量。

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凛としたシャープなブランクスは感度が非常に高く、ルアーの操作性も高いです。長めのレングスはキャストもしやすく、トップからティップ部分のガイドはΦ4mmのショートフットのAGS TYPE-Rで超軽量&ラインの抜けの良いので、飛距離も抜群です。そのため、遠投性能を生かした中長距離や、深めの水深、足場の高いところなど、魚との距離がある状況が得意分野です。

合わせるラインはエステルやフロロでもいいですが、私はPE0.15号を使うことが多いです。

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より伸びにくいPEを使うことで感度は地球上最高といってもいいほどのタックルとなり、沖や深場でのバイトもビックリするほど感じられます。その時のアワセもPEならタイムラグのない即掛けができるので、特に遠投をしてドリフトなどでラインスラックができる釣り方をしているときにはこのタックルでなければ思い通りのフッキングができません。

ちなみに、リールはルビアスエアリティFC LT2000S-Pと合わせるとタックルは197gという異次元の軽さになります。

岩崎さんは68L-Tと74UL-Sを愛用

残りの2アイテムは同じく月下美人テスターの岩崎林太郎くんが愛用しているので、ぜひ林太郎くんのインプレッション動画などを参考にして欲しいですが、簡単に紹介しておきましょう。

68L-Tは攻めと柔軟性を合わせ持つ、このシリーズで唯一のチューブラーティップモデルです。短めのレングスのため感度と操作性が高く、シンペンやトップといったプラグから、メタルジグ、ワームまで幅広いルアーを自在に操作できます。

DAIWAのフィールドテスターでメバルスペシャリストでもある岩崎林太郎さん(りんたこさん)が愛用する68L-T・Q ~冴(SAE)~ [写真タップで拡大]

74UL-Sはしなやかながら張りと粘りのあるブランクスで、小型プラグやジグヘッドリグの遠投が可能。長いことでラインスラックを自在に操りやすく、流れの中のドリフトやステイもやりやすいです。

釣りの技術向上にも対応するハイエンドモデルは、長期で見ればコスパもいい

今回もロッドの監修をさせていただきましたが、ロッドを制作するときは感度だけを求めるのはわりと簡単かもしれません。シャープな薄肉のブランクスにマイクロガイドを付ければ感度は上がりますが、単純にそれだけでは実戦での強度不足やキャストのしづらさ、バイトを弾くなど、デメリットが大きくなり本当の意味での「釣れるロッド」にはなりません。

釣り具はよく車に例えられますが、いくら先端技術を駆使したF1マシンでも普通のドライバーが運転すれば速くは走れませんし、乗り心地は悪く街乗りでは不便なことだらけです。

ある程度、釣りの技術が高い人は、ハイエンドモデルを選択することは合理的な選択と言える。 [写真タップで拡大]

実用を考えれば最先端の安全装備や走行サポート、充実した室内装備、デザインや外観、加減速やレスポンスが良く、誰でも簡単に運転できる車がベストだと思います。

特に66L-S~凛(RIN)~はレーシングマシンのポテンシャルに快適性や操縦性が伴ったような、最高の1本だと思っています。

ハイエンドモデルということで価格に関しても月下美人シリーズ中トップです。ただ、ハイエンドモデルは、自分の釣りの技術が高くなっても、それに十分対応できるポテンシャルを持つため、長く愛用できるという特性もあります。

仮に5年使えば1年あたりの金額はエントリーモデルと同じくらいになります。考え方次第ですが、ハイエンドモデルのロッドを長く使うのは決してコスパが悪いわけではありませんし、むしろ費用対効果は高いといえるでしょう。

現時点での、DAIWAのライトゲームロッドの最高峰を、是非体感してみてほしいと話す渡邉さん。 [写真タップで拡大]

ダイワのテクノロジーと関わった全ての人の思いが詰まった「月下美人EX」をぜひ体感して欲しいです。


※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

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