オフショアで人気のファイターがヒラマサ。とくにキャスティングでダイビングペンシルを使う“誘い出し”の釣りは、10kg超の大型が出ることも珍しくなく、釣り人の要望に応える遊漁船も多い。このビッフフィッシュゲームの登竜門といえるヒラマサの魅力と楽しみ方をプロアングラーの鈴木さんの実釣を通して紹介する。
※本記事は2020年6月に発売された別冊『1冊まるごとオフショア!』から抜粋し構成しています
●文:ルアーマガジンソルト編集部
鈴木 斉(すずき・ひとし)
ショア、オフショアを問わず様々なソルトゲームで活躍するプロアングラー。オフショアは近海のタイラバから外洋のジギングまで幅広くこなすが、とくにヒラマサやマグロを狙うキャスティングゲームで、ここ一番の勝負強さをみせる。シマノインストラクター。
実釣フィールド
鳥が伝えるベイトの気配。そして10kg超が水面を割るが…
2日間に渡る、玄界灘でのヒラマサゲーム。初日はキャスティングゲームで展開。その内容はすでに下記記事でお伝えした。
オフショアで人気のファイターがヒラマサ。とくにキャスティングでダイビングペンシルを使う“誘い出し”の釣りは、10kg超の大型が出ることも珍しくなく、釣り人の要望に応える遊漁船も多い。このビッフフィッシ[…]
本記事は、2日目の釣行を元に作成。キャスティングでは良型が狙えないという判断から、ジギングもローテーションに加えて展開することに。
形勢不利の濁り。朝は浅場で勝負を賭ける
実釣2日目、鈴木さんはタックルを追加して船に乗り込んだ。
鈴木「初日は濁りがきついエリアが多く、ヒラマサのトップへの反応も鈍い。キャスティングをメインに、状況に応じてジギングで大型のヒラマサを狙います」
6時50分、大島周辺の海域で実釣スタート。
鈴木「濁りはきついですけど、昨日も港近くで魚探にイワシの反応があった。今日は鳥がいる。イワシが入っていそうですね」
初日にはなかった視認できるベイトの気配。ルアーはヘッドディップ175Fフラッシュブースト。濁りがあるため瀬のトップが水深10m強の浅場を攻めると、ヒラマサの反応は早かった。開始から数投後、遠投して着水したルアーにワンアクション入れた途端、大きな水柱が立つ。
鈴木「喰った! まあまあ良いサイズです」
だが、かけたところが悪かった。水深は12m。鈴木さんは根に走るヒラマサの動きをロッドのバットパワーで止め、リールを力強く巻き、船も深場へ誘導しようとジワリと動くが、如何せん底があまりに近すぎた。ロッドを曲げたまま、魚の手応えが消える。
鈴木「根に入った…いや、外れた」
フックがボトムの岩にかかりルアーが固定。獲物はフックを外して逃げていった。
鈴木「10kgはあったと思います。リーダーは140lbで強度的には十分獲れるサイズでしたけど」
根に走るヒラマサは、浅いほど獲るのが難しい。わかってはいるが、攻めなければ釣れない日もある。
鈴木「シャローで遠投するとファイトの難易度はさらに上がります。でも、広く探らないとやる気のあるヒラマサに出会う確率が下がります」
初日から続く悪条件でジレンマゾーンに陥ってしまったが、2日目の朝は復調の兆しも見られた。7時30分すぎに鳥山が立ち、サワラがボイル。
鈴木「ボイルを直撃しても出ない。でも表層付近にベイトが居る。ヒラマサの目線が上を向けば、ダイビングペンシルで誘い出しやすくなりますからね」
ジギングで中層以深のヒラマサにアプローチ
鳥山が収束し、ヒラマサの反応が消えると、船は大型ヒラマサの実績が高い沖ノ島周辺に移動。
鈴木「このエリアは初日、トップに反応が悪かったので、ジギングにシフトします。春は中層から下で小イカを捕食して、トップに出ないヒラマサも多いですからね」
ヒラマサのキャスティングゲームが普及しはじめたのは、2000年代に入ってから。今や大人気のオフショアゲームだが歴史は浅く、ここ玄界灘でもジギングとの二刀流がスタンダードで釣果の堅いスタイルだ。
鈴木「玄界灘のヒラマサのキャスティングゲームは、ほぼ年間通して楽しめますが、例年でいうとGW頃から6月は産卵後で全体的にレンジが深い。産卵後の大型ヒラマサはジギングが有効です」
狙うのは水深70~100mのカケアガリや漁礁などボトムの地形変化や障害物だ。
鈴木「キャスティングと同じで、なるべく誘い上げて喰わせたい。ファイトが有利になります」
だが、この日は水深70~80mのカケアガリを探っても、ヒラマサの反応はイマイチ。
鈴木「誘い方はワンピッチジャークが基本ですが、アタリがないときは変則的なアクションを試します」
メタルジグは、キングスラッシャー200g(シマノ)。
鈴木「底潮は流れが緩い。上潮が流れて、ドテラ流しの船が滑っている感じです」
キングスラッシャーをボトムに落とし直すと、その後の一連の誘いでバイトに持ち込む。
鈴木「着底後、10m速巻き。棒引きで気づかせて、ワンピッチジャークに切り替えたら喰いました」
ロッドのオシアジガーコンセプトS S60-5を曲げ込んだのは、7kgオーバーの太ったブリだ。
鈴木「ベイトをたっぷり喰っているからルアーへの反応が悪いのかもしれませんね」
キャッチした魚のコンディションと過去の経験から釣り場の状況を分析。その後も同じ誘いで断続的だがアタリを出し、ヒラゴを追加。この日のヒットパターンを導き出す。
ジギング用使用タックル
沖上がり直前の“誘い出し”でサイズアップ!
場所を変えながらジギングで探り、潮が澄むエリアに入るとキャスティングを再開。
鈴木「海が青い。これが本来の玄界灘。ディープから誘い出せる。釣り人に有利な釣りが展開できます」
ヘッドディップ200Fフラッシュブーストをジャークするとブリが喰うがフックアウト。次のキャストで5kgオーバーのブリをキャッチする。
鈴木「群れで競い合いながら追ったので、活性が上がってしっかり喰いました。フラッシュブーストはアクションだけでなく、フラッシングでもアピールできるので日中に強いです」
12時45分。白昼に水面が炸裂。水深80mの底に沈船があるスポットに入ると、再びメタルジグを落とす。
鈴木「2つの釣りを行ったり来たりで忙しいけど、短い時間でチャンスをたくさん作れます」
13時36分にはヘッドディップ200Fフラッシュブーストで5kgクラスのブリをキャッチ。15時34分にはジギングでヒラマサ5kgクラスと、難しい状況下で二刀流の釣りを行い、着実に釣果を上げる。そして沖上がりの時間が迫る中、鈴木さんは船長と相談し、一つの決断を下す。
ジグのアクションに変化をつけて、喰いを立たせる
鈴木「キャスティングでヒラマサのサイズアップを狙います」
船は、朝イチに推定10kgクラスをバラした浅場に針路をとる。ルアーはヘッドディップ175Fフラッシュブースト。浅いので200Fほどアピール力は必要なく、ベイトフィッシュに近づけるサイズを選択。数投後、鈴木さんが操る175F付近で2発、3発と大きな飛沫が上がるがのらず、着水点と船の中間あたりまで引いたところで止めると、ドバンッと大きな水柱が立つ。
鈴木「違う魚が追い直して、止めて見せたら喰ったね!」
違う魚が追い直す? 7kgクラスのヒラマサをキャッチ後、釣れた状況を話してくれた。
鈴木「最初に10kgクラスのヒラマサが2〜3回出てのらず、次に違う魚が出てきた。その魚も喰ってくるけどなかなかのらず、止めて見せたらしっかり喰いました。浮かせるだけでキラキラ光って誘い続けるフラッシュブーストの効果が出ましたね。もう少し良いサイズをお見せしたかったけど、最後にサイズアップできました(笑)」
キャスティング用使用タックル
遊漁船Y’s(ワイズ)
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