10m以上潜るマグナムクランク『ブリッツマグナムEX-DR(O.S.P)』の実力と使い方を國澤高士さんが解説

これまで一般的に知られたマグナム系ディープクランクの最大潜行深度は8mくらいが限界とされていた(キャスティングの場合)。しかし、このブリッツマグナムEX-DRは禁断の10mレンジを超え、11m付近まで到達してしまった。この長距離潜水艦の扱い方を國澤高士さんが湖上で指南する!

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

國澤高士さんのプロフィール

國澤高士(くにさわ・こうし)

三重県出身。北湖西岸にてマリーナを経営する人気ガイド。琵琶湖オープンで2度A.O.Y.を獲得し、BATNETとB.A.I.T.という琵琶湖の2大プロトーナメントのクラシックも制覇した。大ベテランながら過去のスタイルに囚われず、最先端の釣法を追求し続けている。O.S.Pフィールドスタッフ。

クランクベイトを見たことがない深海魚たちへ

國澤「僕が風に乗せてフルキャストしたら飛距離は70mくらい。それだと11.5mは潜るね。10m潜らせるなら60mくらいの飛距離は欲しいです」

話のスケールがとにかくデカいのだ。思い切りぶっ飛ばして、ぐりぐりと巻いて潜らせる…10m以上のスーパーディープに潜むクランクベイトを知らないバスたちはあっさりとバイトしてしまう…かもしれない。國澤さんにパワー系バスフィッシングの最深部を見せていただこう!

ブリッツマグナムEX-DR【O.S.P】

左から、EX-DR、MR、SR。

条件によっては10mの大台を突破する、スーパーディープ対応のマグナムクランク。従来のディープクランクは8m程度が限界だったが、それを楽々とクリアした。深場のゲームチェンジャーとなるか!?

ボディ長重量カラー税込価格発売予定
90mm52g10色2,530円2022年10月

カラーチャート

誰でも釣れるマグナム入門ルアーと國澤さんはいう

國澤「ブリッツマグナムEX-DRは水がまあまあクリアでも釣れるんです。某有名マグナムディープクランクとかはクリアウォーターではキツい」

ブリッツマグナムEX-DR(以下、ブリッツマグナム)は従来のマグナム系とは一線を画す、ハイピッチで水押し弱めアクションなのだ。それでいて、これまでにないレベルで深く潜る。ということは、これまで大雨後の濁りのタイミングなど使いどころが限られていたマグナム系クランク、それがレギュラーで使える可能性が出てきた。その意味は小さくないかも…?

さて、当日の琵琶湖・北湖はどちらかといえばクリアな通常コンディションだった。朝、7時すぎに東岸の沖、水深10m付近にあるポイントからスタート。

國澤「ここはオダとかロープとかが沈んでいますね。1発で来そうやけどね…。1投目が一番肝心ですから」

想定しているのは、モロコの群れを狙って朝のフィーディングで入ってきたバス。比較的ピンスポットへブリッツマグナムを投げ続けている。そんなに投げてスレないんですか?

國澤「スレますよ(笑)。正直、投げてるのは半分暇つぶしで、ほかの魚が入ってくるのをライブスコープで見ているんです。群れの入りが悪いな、と思ったら移動しちゃいます」

狙いどころはオダやブレイクで、ベイトが絡んでいることは必須条件。仮にバスが映っていても粘ることはない。ルアーはオダに当てるんですかね?

國澤「そうとも限らない。完全に当てたほうが食うときと、中層を泳がせたほうが食うときがあるね。中層の場合は反応するレンジがその日によって違うかな」

國澤さんの豪快なフルキャスト。60~70mをコンスタントに飛ばし、水深10m付近にあるピンをかすめるように巻く。重機で積み木を積むような、豪快さと精密さが同居した釣りだ。

水深10mに沈んだオダを狙って60m級のキャストを連発する國澤さん。さらに深く潜らせるために14lbラインを使用していた。…そのとき。

國澤「食った! あ…切れた…。今のはデカいですよ。首を振ったのを確認してからアワセたら歯で切れました。ガッツリ丸呑みしてたんでしょう。16lbで獲れてたかというと怪しいですね」

14lbラインを切られ、デッキに卒倒する國澤さん。逃した魚は推定5kgクラス…という。ショックのあまりこのポイントで粘りすぎてしまった。

オダに当てていく釣りなので、根がかりは避けられないときもある。國澤さんはマーカーブイと根がかり回収機を組み合わせたものを自作。しっかり回収していた。

さて北湖東岸を北上し、水深10m付近にあるオダへと移動した。ここでもモロコの群れがオダの周辺を包囲しているようだ。ブリッツマグナムをフルキャストしミディアムスピードでリトリーブする。その繰り返し。ふと、國澤さんがリーリングを止めて、2秒ほど待っている。再びリールを巻くと…また止める。そこからひと呼吸後にリールを一気に巻いて、腰を回転させながら渾身のアワセを決めた。

國澤「ええサイズやないか?」

ネットに収まったのは59.5cmのマグナム級だった。

國澤「ベイトの群れにルアーが突っ込んだ時に、バーン! とアタったので、止めて。浮上して、巻き出して、オダに当てて浮上させたときにまた食ってきた」

なお、オダに当てずに中層リトリーブで食うときのほうが連発するので、本当はなるべく当てたくないそうだ。「これでええやろ…」と刀を鞘に収めた國澤さん。ババ荒れになったこともあり、午前中で実釣は終了となった。

ブリッツマグナムEX-DR基本的な使い方

リーリングは速くない

マグナムクランクというと速巻きのイメージを持っている人もいるかもしれないが、スーパーディープクランクということもあってか國澤さんのリトリーブはあまり速くはない。速巻きすると潜行深度が浅くなるのかもしれない。

使い方はただ巻くだけ。速巻きですか? と、國澤さんに尋ねると「そう見えます? ちょっと遅めに巻いているんです」という。まずは沈みモノには当てずに中層を泳がせる。反応するレンジがあるので探っていこう。それで食うなら連発の可能性もある。食わないなら、モノに当て、止めて、浮かせる。特別なことはしていない。

また、國澤さんは湖流に対して、下流から上流、上流から下流、あるいは横からキャスとして沈みモノを狙っていた。どの方向からのアプローチが食うのか、やってみなければわからないのだ。

ブリッツマグナムEX-DR狙うポイントは?

琵琶湖・北湖であれば、ディープのオダ、ブレイク。ただし必須条件なのはベイトが絡んでいること。ベイトはオダに付いていることもあれば、離れた場所に集中していることもある。ベイトの群れを散らしながらオダをかすめるように引くイメージだ。また他のタイプの釣り場では、リザーバーの岩盤と並行に巻くもの絶対にいいだろう、とのこと。

ライブスコープを見ていると、ベイトの群れもバスも1箇所にとどまっているのではなく、オダを中心に動き回っているのがわかる。広く探るのが重要かもしれない。魚探の反応は左からベイト、オダ、バスだ。

キャストは2通り

深く潜らせるために、ロングキャストは必須。40~50m級のキャストだと7~9mくらいしか潜らないが、國澤さんが風に乗せた本気キャストをすると飛距離は70m、最大で11.5mは潜る。その方法とは?

1. 頭上で円を描くように投げる

タラシを60~80cmほど取って、ヘビキャロを投げるときのようにルアーを頭上で円を描くようにフルスイングする。テンションが抜ける瞬間ができないので飛行中のルアーがぐるぐる回ることがなく、飛距離が伸びる。

2. 後ろに振りかぶったところから投げる

ジャイアントベイトを投げるときのように、一旦後ろに振りかぶって、止めてから、フルスイングのオーバーヘッドキャストをする。タラシは同じく60~80cm程度。普通のオーバーヘッドよりもバックラッシュしづらく、身体も楽。

タックルは?

ロッドは、レギュラーテーパー、8ftクラスのロングロッドがおすすめ。「パワーのあるクランクロッド。普通のディープクランク用よりももうちょいパワーがほしい」リールとラインは…? 「絶対にローギアですね。ただ単にモノに当てていくのはエクストラハイギアでもいいんですが、一日やると体への負担が大きい。ローギアは微妙な速度コントロールがしやすいのと、ブレないのもいいです。ラインは今日は14も使いましたが通常は16lb。6mくらいを重点的にやりたいときは20lbがいいこともある」(國澤)。

使用タックル(上から)

  • ロッド:アーテックス DCカスタム2【DRT】
  • リール:カルカッタコンクエスト200【シマノ】
  • ハンドル:バリアル117mm【DRT】
  • ライン:SF80 14lb【Sタイトル】
  • ロッド:アーテックス ゼロ【DRT】
  • リール:カルカッタコンクエスト200【シマノ】
  • ハンドル:バリアル117mm【DRT】
  • ライン:SF80 16lb【Sタイトル】

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

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