定番3/8ozスピナーベイト24種の性能を徹底検証考察してみた!

巻きモノの定番のひとつであるスピナーベイト。複数のパーツから構成されるその設計上、プラグのようなボディのデザイン性はなくともアイテムごとの個性は出やすいルアーだろう。そこで今回の検証企画では、最もオーソドックスかつ使用者が多いとされているダブルウィロータイプを中心に、3/8ozのアイテムに関して検証してみたい。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

【検証項目概要】

検証項目検証内容
巻き抵抗リトリーブした際の抵抗感の10段階評価
立ち上がり泳ぎだし時のブレードの回転レスポンスを5段階評価
実測重量各アイテムを電子ばかりで計測した重量
ワイヤー径メーカー記載の無いアイテムはノギスで計測
フック径ノギスで計測したフックの太さ
シルエットサイズ採寸から算出した全体のサイズ感

【THE検証】スピナーベイトを6項目で考察

【立ち上がり考察】

検証方法

各スピナーベイトの着水直後からの泳ぎだしや、リトリーブスピードによるブレードの回転を観察し、5段階で評価する。

立ち上がり評価が5のモデル

スピナーベイト名評価値
ハイピッチャー5
Dスパイカー5
ビーブル タンデム5
ビーブル ダブルウィロー5
キラーズベイト5

特別立ち上がりが悪いモデルはなかった

立ち上がりが高評価となったのは……表の通り。アッパーアームがフレキシブルに動くDスパイカーや、特殊な2連結ブレードを採用しているキラーズベイトの立ち上がりが良かったのは興味深かった。一方、ビーブル、ハイピッチャー共にスピナベサイトにうってつけなのはご存知の通りだろう。

全体的にはブレードの回転レスポンスが特別悪いモデルはなく、着水直後の立ち上がりに関していえば投げ方(着水のさせ方)による影響も大きいのではないかと考えられた。

【巻き抵抗考察】

検証方法

ロッドにデジタルスケールを取り付け、スピナーベイトとラインで結束し、泳がせた際の数値をもとに10段階で評価する。評価値が高まるほどリトリーブ時に手前に寄りにくいスピナーベイトとなる。

評価6以上となったモデル

スピナーベイト名評価値
キラーズベイト オーバー9
DゾーンTG タンデム7
ハイピッチャーマックス6
ビーブル タンデム6
Tボーンスピナーベイト タンデム6
SV-3 スローロール6
SV-3 ダブルウィロー6
Dゾーン ダブルウィロー6
クリスタルS6
スーパーイラプションJr.6
レベルスピン6

人気スピナーベイトの鍵は適度な引き抵抗

当検証では、リトリーブした際に感じる引き重りの強さを限りなく数値化し、10段階で評価した。評価値が高まるほどリトリーブ時に手前に寄りにくいスピナーベイトとなる。

最も引き抵抗が大きかったのはキラーズベイトオーバーで、次点のDゾーンTG(TW)よりも2段階強い印象を受けた。また、定番品となっているスピナーベイトの多くで評価6となっており、比較的引き抵抗の強いスピナーベイトが好まれている傾向が見られた。

【ワイヤー径考察】

検証方法

使用されているワイヤーの直径を比較。メーカー記載の無いアイテムの場合はノギスで計測した。

ワイヤー径最大と最小のモデル

スピナーベイト名ワイヤー径
Bカスタム1mm
ドーン1mm
Dゾーン ダブルウィロー0.6mm
DゾーンTG タンデム0.6mm
クルコマ0.6mm

最大1mm、最小0.6mm

各バーツを繋げ合わせるワイヤーは、ブレードアクションの伝達を始めとする動きへの影響がある一方で、魚を釣り上げるための強度面へと影響を及ぼすパーツである。

そんなワイヤー径が最も太いスピナーベイトはビーカスタムとドーンの1mm径。逆に最も細かったのは0.6mm径でDゾーン、DゾーンTG、クルコマとなった。引き抵抗やフックの太さなど、その他の項目との関連性は見られなかった。

【実測重量考察】

検証方法

電子ばかりにて各モデルを計量した。

最重量最軽量それぞれのトップ3

スピナーベイト名重量
キラーズベイトオーバー22.58g
DゾーンTG タンデム19.16g
Dゾーン ダブルウィロー19.13g
D-スパイカー15.85g
Dα-スピナーベイト15.41g
ジンクスミニスーパーブレード13.52g

同じ3/8ozでも最大で倍近いウェイト差が!

一般的にスピナーベイトの製品ウェイトとして明記されているのはヘッドウェイトであり、各種パーツ類の重量は含まれていない。今回用意したスピナーベイトは全て3/8oz≒10.6gと明記されたモデルだが、計量の結果全てのアイテムで3/8oz以上となった。

最も重かったのは、キラーズベイトオーバー。引き抵抗も最も大きかっただけあって、ブレードのサイズがほかのモデルよりも明らかに大きかった。一方、最も軽かったのはジンクスミニスーパーブレードとなった。非常にコンパクトなシルエットに加えて、使用しているブレードも極薄素材を使用していることが要因であると考えられる。

同じ3/8ozモデルなのにも関わらず実測値で倍近い差があるため、「3/8ozのスピナーベイトで釣った」のような情報は精査する必要があるだろう。なお、全体の平均ウェイトは17.43gとなった。

【シルエットサイズ考察】

アッパーアーム、アイからフック、アッパーアームの先端からフックポイントまでの長さを計測。ヘロンの公式を使用してシルエットの面積として算出し、比較した(可動式のDスパイカー、ヘルターツイスターは除く)。

シルエット面積の最大最小トップ3

スピナーベイト名シルエット面積
Bカスタム1725
Tボーンスピナーベイト ダブルウィロー1564
Tボーンスピナーベイト タンデムウィロー1542
SV-3 スローロール771
SV-3 ダブルウィロー771
ジンクスミニスーパーブレード759
スーパーイラプションJr.644

アッパーアームとアイ~フックまでの差最大最小トップ3

スピナーベイト名アーム長
ジンクスミニスーパーブレード30
Tボーンスピナーベイト ダブルウィロー28
Dα-ファスピナーベイト27
スーパーイラプションJr27
キット タンデムウィロー14
キット ダブルウィロー13
ディーパーレンジ13

最大シルエットはBカスタム最小はスーパーイラプション

全体的なシルエットが三角形となるスピナーベイトは、時にそのシルエットの大きさが論じられることもある。そこで、スピナーベイトがもつシルエットの大きさを数値化し比較。

その結果、最もシルエットが大きいのはBカスタム、逆に最も小さいものはスーパーイラプションJr.であることがわかった。最も平均的なサイズのモデルはディーパーレンジとなった。

また、アッパーアームの長さがフッキング率やスナッグレス性能に影響を及ぼすともいわれていることから、各モデルのアッパーアームとアイ~フックまでの差を比較したところ、差が大きいモデルはジンクスミニやTボーンスピナーベイト、Dαピナーベイトなどであり、これらのモデルはフッキング性能が高いと考えられた。

一方、差の小さかったモデルは、ディーパーレンジやキット、ディーゾーンだった。これらのモデルに関しては、スナッグレス性能に優れていると言えるだろう。

【フック径考察】

検証方法

フックの太さをノギスで計測。

フック径の最大と最小

スピナーベイト名フック径
Tボーンスピナーベイト タンデムウィロー1.5mm
Tボーンスピナーベイト ダブルウィロー1.5mm
ハイピッチャー1.1mm
キラーズベイト1.1mm
Dゾーンダブルウィロー1.1mm
DゾーンTG タンデム1.1mm
ドーン1.1mm

その他の項目との関連性は見られず

ヘッドと一体しているため、プラグのようにフックを交換できないスピナーベイト。必要なフッキングパワーの強弱や、対でかバス的な視点において、針の強さは考慮するべきであろう。

当検証では、その数値化として、フックの太さを参考とする。

最も太いフックが使われていたのはTボーンスピナーベイトの1.5mmだった。一方、最も細いフック系を有していたのは、ハイピッチャー、キラーズベイト、Dゾーン、ドーンの1.1mmだった。引き抵抗の強さやワイヤー系など、そのほかの検証結果とフック径の関連性はあまり見られなかった。

3/8oz 定番スピナーベイト24種

キット【ペイフォワード】

キット タンデムウィロー【ペイフォワード】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり4
実測重量18g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.3mm

キット ダブルウィロー【ペイフォワード】

検証項目検証内容
巻き抵抗4
立ち上がり4
実測重量17.38g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.3mm

北大祐さんが手掛けた渾身のスピナーベイト。三角形の穴で接続されるオリジナル設計のブレードが特徴的。この働きもあってか、立ち上がりは非常にスムーズだった。

SV-3【メガバス】

SV-3 ダブルウィロー【メガバス】

検証項目検証内容
巻き抵抗4
立ち上がり4
実測重量17.10g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.4mm

SV-3 スローロール【メガバス】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり4
実測重量18.24g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.4mm

極薄のオリジナルデザインブレードに、太いワイヤーが組み合わさったコンパクトデザインのスピナーベイト。サイズ感の割に引き抵抗もあり、手元にはピッチの早いブレードの回転がよく伝わってきた。

クリスタルS【ノリーズ】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり3
実測重量17.27g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.3mm

多くのアングラーにとっての基準となっているスピナーベイト。巻き抵抗や立ち上がりの良さ、実測重量など、あらゆる項目で平均的な性能を持っていた。

ディーパーレンジ【ノリーズ】

検証項目検証内容
巻き抵抗3
立ち上がり4
実測重量15.86g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.2mm

ノリーズのスピナーベイトの中でもかなり弱い部類。実際、今回使用したものの中でも巻き抵抗はかなり弱かった。

キラーズベイト【ガンクラフト】

キラーズベイト【ガンクラフト】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり5
実測重量16.99g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.1mm

コロラドブレードにウィローリーフが接続されたブレードや、長く突き出したラインアイ部分など、非常に個性的なスピナーベイト。総じて優秀な印象だが、特に立ち上がりの良さが目立っていた。

キラーズベイト オーバー【ガンクラフト】

検証項目検証内容
巻き抵抗10
立ち上がり4
実測重量22.58g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.4mm

巨大なブレードの見た目通りのハイパワー系スピナーベイト。今回使用したアイテムではもっとも巻き抵抗が大きかった。またそのブレードのおかげか実測重量ももっとも重かった。

スーパーイラプションJr.【ジャッカル】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり4
実測重量16.82g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.2mm

非常にコンパクトでありながら、巻き抵抗がしっかりとした小さな巨人的スピナーベイト。使ってみるとそのギャップに驚くことだろう。

ドーン【ジャッカル】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり4
実測重量17.99g
ワイヤー径1mm
フック径1.1mm

適度な強さと泳ぎだしの良さを誇る現代スピナーベイトのお手本的存在。1mm径のワイヤーを使用しており、ビッグフィッシュにも対応する。

ジンクスミニ スーパーブレード【イマカツ】

検証項目検証内容
巻き抵抗4
立ち上がり4
実測重量13.52g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.2mm

高比重の0.2mm極薄ブレードを採用しており、立ち上がりの良さと引き抵抗の強さが両立されたスピナーベイト。実測重量は最も軽かったため、最適なタックルが他と異なると考えられる。

ヘルターツイスター【イマカツ】

検証項目検証内容
巻き抵抗3
立ち上がり4
実測重量18.75g
ワイヤー径0.8mm
フック径1.3mm

左右に分かれた可動式のアッパーアームをもつスピナーベイト。その見た目とは裏腹に巻き抵抗は意外にも小さく、重量も軽い。アッパーアームの挙動が一定ではないものの、立ち上がりも優秀だ。

G.C.クルコマ【一誠】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり5
実測重量16.82g
ワイヤー径0.6mm
フック径1.2mm

コンパクトなデザインながらも重めの総重量で使いやすいスピナーベイト。遠投性能にも優れると考えられる。立ち上がりも非常に良好だった。

D-スパイカー【ディスタイル】

検証項目検証内容
巻き抵抗2
立ち上がり5
実測重量15.65g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.2mm

アッパーアームの先端が可動する個性的なスピナーベイト。オリジナルデザインのブレードによって非常に巻き抵抗が小さくなっているのが特徴だろう。

Dα-スピナーベイト【ディスタイル】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり4
実測重量15.41g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.4mm

セミコンパクトサイズで使い所を選ばないスピナーベイト。非常にオーソドックスなスペックとなるが、フックのみ、ボディバランスに対して大きい印象を受ける。

Dゾーン ダブルウィロー【エバーグリーン】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり3
実測重量19.13g
ワイヤー径0.6mm
フック径1.1mm

「レーシングスペック」とも呼ばれる定番スピナーベイト。極細ワイヤーの働きで強力なバイブレーションが発生する。立ち上がりの良さは普通。

Dゾーン TGタンデム【エバーグリーン】

検証項目検証内容
巻き抵抗7
立ち上がり3
実測重量19.13g
ワイヤー径0.6mm
フック径1.1mm

極細ワイヤーを使用することでブレードの回転角が拡大し、非常に大きな抵抗感が生まれる。FECO仕様だが使用感はノーマルとほとんど変わらない。

Tボーンスピナーベイト【ケイテック】

Tボーンスピナーベイト ダブルウィロー【ケイテック】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり4
実測重量17.27g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.5mm

Tボーンスピナーベイト タンデムウィロー【ケイテック】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり4
実測重量17.27g
ワイヤー径0.9mm
フック径1.5mm

国産ソフトベイトでお馴染みのケイテックからリリースされているスピナーベイト。特徴的なヘッド形状や画期的なフロントビーズに注目されがちだが、基本性能が高く、立ち上がり、アピール力共に優れた評価となっている。

ハイピッチャー【O.S.P】

ハイピッチャー【O.S.P】

検証項目検証内容
巻き抵抗4
立ち上がり5
実測重量16.21g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.1mm

ハイプレッシャーフィールドや大会日など、極限状態にも頼れるコンパクトかつローアピールのスピナーベイト。また、抜群の泳ぎだしの良さも併せ持つ。

ハイピッチャーマックス【O.S.P】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり3
実測重量16.67g
ワイヤー径0.8mm
フック径1.4mm

その名の通り、ハイピッチャーのアピール力最大バージョン。ベースにある使いやすさはそのままに、より効果的に魚を引っ張ることが可能に。

ビーブル【ボトムアップ】

ビーブル ダブルウィロー【ボトムアップ】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり5
実測重量16.15g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.2mm

ビーブル タンデムウィロー【ボトムアップ】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり5
実測重量16.23g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.2mm

『スプリッター』と呼ばれる第3のブレードが設けられた次世代型スピナーベイト。着水直後からしっかりと立ち上がる圧倒的な立ち上がりの良さと、そのコンパクトさからは想像しがたい確かな使用感を持つ。スプリッターによって生み出されるヨコ振動は唯一無二の武器となるはずだ。

Bカスタム【デプス】

検証項目検証内容
巻き抵抗5
立ち上がり4
実測重量18.76g
ワイヤー径1mm
フック径1.3mm

比較的大型タイプのスピナーベイトだが、その巻き抵抗はさほど大きくはない。手元までしっかりと感じる縦揺れアクションを発生してくれる。

ミニブロス【デプス】

検証項目検証内容
巻き抵抗4
立ち上がり4
実測重量18.33g
ワイヤー径0.8mm
フック径1.2mm

Bカスタムのスモールサイズ版といった印象のスピナーベイト。適度な巻き抵抗があり、コンパクトだが使用感はしっかりとしていた。

レベルスピン【レイドジャパン】

検証項目検証内容
巻き抵抗6
立ち上がり3
実測重量18.11g
ワイヤー径0.7mm
フック径1.3mm

細めのワイヤーを使用することでより激しいブレード回転を狙ったスピナーベイト。手元にしっかりと伝わる振動と、独特のスイム姿勢が特徴だ。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

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※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。