シーバスフィッシングにおいて「バチ抜け」と言えば春を代表するパターンのひとつとして知られている。2023年もそろそろ本格的シーズンに突入! ということで、バチパターンの基本とルアーローテーションについてDAIWAの釣りウマ営業マン・岡本隆治さんにお話を伺ってみることに。 今回は、前回紹介した序盤の「長バチ攻略」に引き続き、後半戦の「クルクルバチ(トリックバチ)」&「引き波バチ」をテーマに解説してもらったぞ!
●写真/文:岡本隆治
解説はDAIWAの凄腕釣りウマ営業マン!
後半戦は「クルクルバチ&引き波バチ」が出現!
いよいよ2023年もバチ抜けシーズンが到来! 前回、岡本さんには序盤の「長バチ(ヤマトカワゴカイの仲間)」について解説してもらったが、引き続き後半戦のバチ抜けについてお話を伺った。
岡本「前回、長々と『長バチ(ヤマトカワゴカイの仲間)』パターンについて紹介させてもらいましたが、今回は後半戦に出現する『クルクルバチ』『引き波バチ』について解説させていただきたいと思います」
- 10~20cm程度で細長く遊泳力の弱いバチ「長バチ(ヤマトカワゴカイの仲間)」
- 1~5cm程度で短く遊泳力の高いバチ「クルクルバチ(トリックバチ)」
- 10~20cm程度で若干の遊泳力があり、引き波を作るバチ「引き波バチ」
岡本「バチにはいろいろな種類がいるのですが、東京湾のバチパターンとして考えると、種類は上記のように3つに大分されます。で、今回紹介するのが後半戦になると多く発生する、「クルクルバチ」と「引き波バチ」シーズンの狙い方がテーマです。
後半のバチは4月頃〜7月頃まで抜けていたりします。比較的海の近くで抜けるためか、釣れる魚は普段カタクチイワシ等を追っているような30㎝~70㎝程度の群れが多く、一発大物というよりは、数釣りを楽しめます」
引き波バチを食っているシーバスを重点的に狙う!
――序盤のバチとはまた違った動き方をするのですか?
岡本「序盤のヤマトカワゴカイ系とは対極で、川ではなく港湾部や河口周辺でよく同時に発生します。ちょっとした小魚程度の遊泳力があって、とくにクルクルバチはトリックバチとも言われるようにトリッキーな動きが特徴です。
遊泳力があると前述しましたが、魚のように上流に向いて流れに逆らって泳ぐのではなく、決まった方向性を持たずに泳ぎ、結果として川や潮の流れに流されていくので、釣り方としては、こちらもアップ(上流方向)へのアプローチが基本となります」
――序盤とは別の攻め方にしていく必要がありそうですね。
岡本「そうなんです。いくつかコツがあるのですが、ひとつは『マッチ・ザ・ベイトにこだわりすぎないこと』、もうひとつが『クルクルバチではなく引き波バチを食っているシーバスを重点的に狙うこと』…なんですが、マッチ・ザ・ベイトにこだわるなと言いつつも、クルクルバチしかいないことがあるのも事実…」
――その場合の攻略法も…ありますか?
岡本「はい。あります。それは…どんな卑怯な手を使ってでも口を使わせる! です(笑)」
港湾のバチパターンは異常な集魚力を発揮する『モアザン スライ95F(DAIWA)』の引き波が効く!
岡本「序盤の長バチパターンでは『モアザン ヒソカ120F』を激推ししましたが、港湾のバチパターンで最もお勧めなのが、『モアザン スライ95F』です! このルアーが軸になります」
――『スライ95F』と言えば、湾奥のプリンスこと大野ゆうきさん監修のシャローランナー。水面直下のレンジキープ力に定評がありますよね。
岡本「すでに人気のルアーなので、何を今さらといった感じですが、かわいいルックスに反して、凄まじい釣果をもたらしてくれます。クルクルバチは1cm~3cm程と序盤の長バチと比べても短めですが、スライ95Fは95mm。でも、小さなルアーを通すよりも、スライ95Fの方がヒット率が上がるケースが多々あります」
――なぜ95mmのスライなのでしょうか?
岡本「引き波ですね。スライはラクダのような凹凸が背中にあり、その部分が引き波のピッチを作ります。これにより、これまでの引き波系ルアーでは出せない引き波を作ってくれるんです。異常な集魚力ですよ」
岡本「さらに、引き波だけでなく、スライ95Fは他にもいいところがたくさんあるんです」
スライ95Fのストロングポイント【水面をキープしやすい】
引き波系は簡単に潜ってしまう物だったり、浮力が強すぎてフッキング率が悪いものも多いです。スライは絶妙な浮力で使いやすい!長バチの時でも、ヒソカと、水面・水中で使い分けが出来ます。
スライ95Fのストロングポイント【前のカップが水を受けて風が吹いても使いやすい】
オートマチックにルアーの頭の向きをコントロールしてくれます。最近流行りのフローティング系シンペンでは、実は難しいことなんです。
スライ95Fのストロングポイント【重心移動システムの搭載で意外と飛ぶ】
ヒソカほどは飛びませんが、重心移動システムのおかげで結構飛びます! 泳ぎだしの立ち上がりがいいのも魅力ですね。
後半のバチパターンを制する岡本流のルアーローテーション術!
スライの類まれなるルアーとしての性能がわかったところで、ここからは『モアザン スライ95F』を軸にした岡本流のルアーローテーションを紹介してもらった!
岡本「パイロットルアーは『モアザン スライ95F』一択ですが、状況ごとにルアーを使い分けることで可能性はさらに広がります! 参考にして、ぜひ試してみてください」
【ラフウォーターで水面に出にくい】
モアザン ヒソカ120F(DAIWA)やエリア10(ガイア様)など、少し潜るミノーにチェンジします。
【ラフウォーターで水面に出にくく、さらに細いルアーのみに反応する】
モアザン ガルバスリム80S(DAIWA)や、フィール(パズデザイン様)のような細身のシンペンが有効です。
【引き波が必要だけど、飛距離も必要】
モアザン キャロット(DAIWA)やマニックシリーズ(DUO様)、カッター(メガバス様)などの引き波系のシンペンにチェンジします。
【クルクルバチにサイズを合わせないと食わない】
クルクルバチしかいないパターンですね。こうなればルアーサイズを小さくします。月下美人しらすJ(DAIWA)や、ハイドロアッパー55S(APIA様)などのメバル用プラグを投入するのもアリでしょう。
後半バチパターンのタックルについて
岡本「リールに関してですが、シーズンを通して2500番~3000番が最適です。私は通常のシーバスフィッシングにはハイギアを使うことが多いんですが、バチ抜けのタイミングではノーマルギアを使うことが多いです。
ただ、クルクルバチの攻略では、等速巻きが重要になることが多く、ノーマルギアの2000番リールにダブルハンドルという、管釣りで使うようなリールセッティングにすることもあります。どうしても人間のリーリングスピードにはムラがあり、ギヤ比が速いほどそのムラがルアーアクションに大きく反映されてしまいます。そのため、ギヤ比が遅いモデルの方が繊細にルアースピードをコントロールしやすく、バチ抜けには向いていると思います。
もちろんラインスラックの回収が大変にはなりますので、大場所ではハイギアでラインスラック等のコントロールを優先するというのもひとつの戦略。そこは好みになりますね」
後半戦は少し先になるが、今から早めの準備をしておこう!
岡本「2023年のバチシーズンはまだまだ始まったばかり。序盤の長バチから本格シーズンが開幕し、徐々にクルクルバチや引き波バチが姿を現すようになります。みなさんも、この記事を参考に早めの準備をお願いします!」
「SLY95F」をプロデュースした大野ゆうきさんによる春の東京湾奥バチパターン解説動画はコチラ!
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