プロアングラー、メーカー勤務、フィッシングガイドにショップ店員、そしてカメラマンなど、釣り業界を支えるそれぞれのエキスパートたち。そんな彼らの職業とは一体どんな仕事なのか? どんな人向いていて、収入は一体どれくらいなのか? 気になる事情を徹底調査! 今回はハイピッチャーやドライブクローなど、サンデーアングラー、トーナメンター問わず大人気の「釣れる」ルアーをいくつも生み出してきたO.S.Pから、名物社員(?)麻生雅之さんにお話を伺った。
●文:ルアーマガジン編集部
麻生雅之さんのプロフィール
麻生雅之(あそう・まさゆき)
多くのバス釣り関係者を排出した東京水産大学卒業のO.S.Pスタッフ。
現在の業務は開発がメインで、名作スモラバ・05タッガーを手掛けた。TBCやNBCチャプターなどのトーナメントに参戦し、腕を磨くことも欠かさない。
この仕事についた経緯は?
のめり込める仕事がいいなとは思っていましたが…。
バス釣りにハマったのが高校生の頃。あるときテレビ番組の「情熱大陸」で並木敏成さんを見て、もっとバス釣りを勉強したいと思うようになり、並木さんも卒業した東京水産大学(現東京海洋大学)に進学したんです。サークルも釣り研究同好会で、ちょうど先輩にレインの篠塚亮さんやティムコの大津清彰さんがいたりと、濃厚な釣り漬けの生活を送ることができました。
そんな環境だったので釣具業界のリアルな話も耳に入っており、業界で働くのは大変だとは知りつつも、のめりこめる仕事がいいなと就活では大手メーカーを志望。でも残念ながらどこも落ちてしまい、一般の広告代理店で働くことになったんです。
やったらやったでそちらの仕事も面白かったのですが、あるとき雑誌でO.S.Pが採用募集をしているのを見かけて試しに応募してみたんです。そしたら丁度O.S.Pが探している人材に合致したらしく、うまいこと採用してもらうことができました。
それが2005年のことで、当時の社員は社長含めて従業員が4名程度で、入社してみると色々な仕事をかけもつことになりました(笑)。ですが時間とともに段々と会社が大きくなり、自分が出したアイデアの入ったルアーで結果が出たりして、徐々にルアーの開発に係わるようになていったんです。
そして現在。当初は全くもって考えていなかった、開発という職務の担当になっております(笑)。
仕事内容や1日の流れを教えてください
ルアーの開発がメインですがディレクション的な要素も多いです。
メインの業務はルアーの開発なので、モックを削ったり、テストをしてみたりのトライ&エラーで1日が終わることも多いです。 ルアー製造では工程やパーツが多いこともあり、3Dキャドを引いてくれるデザイナーやパーツ屋さん、製造工場、フックメーカーなど、合間に入る人たちに連絡や相談をするディレクション的な要素もありますね。それから発売予定の無い、実験目的のルアーを作ったりもしています。
やることは多いし、すべてがバス釣りにかかわることなのでやろうと思えば一日中いくらでも仕事はできますが、ある程度のところで切り上げてホワイトな仕事になるように心がけています(笑)。
仕事のやりがいはなんですか?
手掛けたものを性能の良さだけで使ってもらうことです。
この前のバサクラで、個人的な接点がまったくない早野剛史さんがタッガーを使ってくれていたんです。究極の大舞台で、自分の作った物が使われている。本当に必要な性能を持っているからこそ使ってくださっているのだと思います。ベタかもしれませんが、開発者冥利に尽きますよね。
O.S.Pジグ05タッガー(O.S.P)
どんな人に向いている仕事ですか?
誰よりも多く釣りたい人は、誰よりも多く釣れるルアーを作れます。
これにつきますね。誰よりも多く釣りたいと思い続けることができるのは才能以外の何物でもないと思います。少なくとも自分だったら、いかに釣果で出し抜くかという思考のもとで作られたルアーは買ってしまうと思いますね。
プライドや矜持を教えてください
探究心がなくなったらだめだと思うんです。
現場第一主義。フィールドに出て、自分の探究心から生まれるものが活かされてこそのルアー開発だと思います。言われた通りに何かを作るなら、自分の代わりはいるんです。自分の感性を大切にして、「性能」だけを評価して選んでもらえる、ほんの一握りのルアーを作りたいと常に思っています。
収入について教えてください
年収で、フロロカーボンライン400,000m分くらい。コレだけラインあったらラインには一生困らなさそう(笑)。
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