手作りルアービルダーの仕事のリアル教えてください!【釣り業界のお仕事紹介】

店頭に並ぶ多くのルアーは大きなメーカーが数千~数万個という大規模な単位で製造しているものである。その一方で、数こそ及ばないものの、ハイクオリティなルアーは手作りでも生み出されている。ここでは、それを生業としたハンドメイドルアービルダー・櫻井亮さんにお話をうかがった。仕事のリアル、収入は一体どれくらいなのか? などの気になる事情を徹底調査!

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

櫻井亮さんのプロフィール

「自分が使いたい」が原動力なんです! [写真タップで拡大]

櫻井亮(さくらい・りょう)

大人気ハンドメイドクランク「ワイルドボア」などを生み出すルアービルダー。

足繁く現場に通い続け、自分自身が使いたいと思えるルアーを作り続ける。クランクベイトの名手としても知られる。

長野生まれ埼玉育ち。

この仕事についた経緯は?

真木ルアーの真木さんに出会ったのが転機でした。

ルアー作りは小6の頃。ズイールのルアーが欲しかったけどなかなか手に入らなかったのがきっかけでスタートしました。

それからも色々作ってはいたのですが、25才のときにたまたま真木ハンドメイドルアーズの真木さんと知り合うことができまして、「ビルダー」としての生き方を学び、自分自信もこの道で食べていけたらいいなと思うようになったんです。

そこからしばらくは社会人を続けながらクランクベイトを作り続けていたのですが、2013年、当時はまだ結婚していなかった妻が言ってくれたんです。「そろそろじゃない? 」って。最初はああ結婚のことかって思ったんですが違いました(笑)。

専業にしたい気持ちもありましたが、不安もあった自分のケツに蹴りを入れてくれたんですよ。それで会社をやめて、専業のルアービルダーとなりました。

少し前には真木さんに「ルアー作りで食えるようになりましたよ」って報告することができました。真木さんは心の師匠なんです。

こちらが櫻井さんの自宅にある作業スペース。ここから数多のクランクベイトが生まれていった。 [写真タップで拡大]

仕事内容や1日の流れを教えてください

ルアーを作るか釣りに行っています。

今はだいたい1ヶ月で200個弱くらいのルアーを作っています。木材からの削り出しで1週間、下地作りのコーティングで1週間、塗装で1週間、リギングで1週間。このくらいのペースで進行しています。作業の合間には釣りにも行っていまして、そっちが楽しくなっちゃうとルアー作りの方が遅れてしまったりも(笑)。

ただ、現場に立たないと意欲がわかなかったり、自分が欲しい物を作れなくなってしまうんです。なのでオフシーズンなく、1年中釣りには出かけていますね。

ルアーのベースとなるバルサをナイフで成形する櫻井さん。なお、ルアー作り上達のための近道はとにかく数をつくることであるという。事実、櫻井さん自身も、短期集中的に100個単位でルアーを作ったことでスキルアップを実感したのだとか。 [写真タップで拡大]

ワイルドボア

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タイニーボアMR

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櫻井さんが手掛けるルアーのほんの1例。MPBルアーズのルアーは関東のリザーバーやマッディシャローフィールドはもちろん、全国各地で活躍している。なかでもフィールドが関東に似ている九州地方ではその人気が顕著だとか。

仕事のやりがいはなんですか?

自分が釣ったときが1番嬉しいです(笑)。

大前提として、誰かに使ってもらいたくてルアーを作っているわけではないんです。あくまでも、自分が使いたいルアー、使いたいカラーを作りたい。

というのも、人に喜んでもらうことが目的になってそれを追いかけてしまうと、最終的にはうちのルアーである必要はなくなってしまうと思っているからです。だから自分主導で作りたいものを作って、自分で釣ったときが1番嬉しいです(笑)。

プライドや矜持を教えてください

「現場主義」ですね。

釣りをしないで語るだけの人間にはなりたくないので釣りには行き続けます。そうしないと作りたいものがなくなってしまうし、第一釣りにいってないのにやたらと語る人間って、信用出来ないですよね。つまり現場主義ですね。これを目標にルアーを作っています。

精力的に釣り場に赴いている櫻井さん。トーナメントでの活躍はもちろん、市場のルアーも積極的に使用して、常に現場でのインプットを欠かさないのだ。 [写真タップで拡大]

収入について教えてください

1ヶ月でカル…高級リール10台分くらいですかね。作ってる個数が書かれているのでルアーの販売価格を元に計算できちゃうかもですが(笑)。

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